農業生産法人

 近年、農業で起業したい、という人や株式会社が農業に参入したい、という声をきくよう
になりました。また、国も農地の利用集積の促進や農業分野のてこ入れの施策に取り組
んできています。そういった中、農業法人に注目が集まり始めています。

1.農業法人とは?

 農業法人とは、法人形態によって農業を営む法人の総称です。この農業法人には、「農事組
合法人」と「会社法人」の2つがあります。また、農地の権利取得の有無によって、「農業生産
法人」と「一般農業法人」にわけられます。
しかし、ここで注意してほしいのは、例えば、「社会福祉法人」とか「NPO法人」というような何ら
かの許認可を必ずしも必要とするものではなく、また、明確な定義があるものではない、という
ことです。
 もう少し詳しく説明します。
(1)農事組合法人
   農業協同組合法72条の8に規定される組合型の法人で、農業生産活動の協業化によ 
   り、組合員の共同の利益を増進することを目的とした法人。
   @1号法人・・・機械施設等を共同利用するために設立した法人
   A2号法人・・・農業経営を行う法人
(2)会社法人
   会社組織(株式会社(株式譲渡制限があるもの)、有限会社、合名会社、合資会社)によ
   り農業経営を行う法人。
(3)一般農業法人
   農地を利用せずに農業を行う法人。例えば、工場での野菜栽培、鶏舎での養鶏等です。
(4)農業生産法人
   農地法で規定された法人で、農地や採草放牧地の権利(所有、賃借)を取得して農業経
   営を行うことのできる法人です。この法人になるためには、農地法に規定された一定の要
   件を満たす必要があるのです。

2.農業生産法人をつくろう!
(1)その要件
  農業法人の仕組みはわかった、よし、農業生産法人をつくろう!と思っても、そう簡単には
  作れません。農業生産法人と認められるにはいくつかの要件を満たさないといけません。 
  その要件とは、
   @法人形態要件 A事業要件 B構成員要件 C業務執行役員(経営責任者)要件 
  の4つの要件です。

(2)法人形態要件
  農業生産法人の法人形態は、農事組合法人、合名会社、合資会社、有限会社、株式会社
  (定款に株式の譲渡について取締役会の承認を要する旨の定めがあるもの)のいずれか 
  でなければなりません。

(3)事業要件
  農業生産法人の主たる事業が農業と関連事業(法人の農業と関連する農産物の加工販売
  等)であることです。具体的には、農業と関連事業が売上高の過半であることが必要です。
  逆に言えば、過半であればその他の事業も営むことが可能です。

(4)構成員要件
  農業生産法人の構成員(社員、株主、組合員)の要件は、その法人に対して
  @農地の権利を提供している者(農地を売ったり貸したりした人)
  A常時従事者(原則年間150日以上従事)
  B農地を現物出資した農地保有合理化法人
  C地方公共団体、農協、農協連合会
  D産直契約を結んでいる消費者、農作業の委託者、品種登録を受けた種苗の生産ライセ
   ンスの供与契約を結ぶなど特定の技術を提供する企業など一定の範囲内で法人の行う
   事業と継続的取引関係にある個人、法人
※議決権に注意
  上記Dについては、その社員の数又は議決権の合計は全体の4分の1以下でなければな
  らず、しかも、構成員が株式会社又は有限会社の場合は、それが10分の1以下に制限さ 
  れます。
※議決権の特例
  農業経営改善計画について市町村の認定を受けた場合は特例があります。
 ※農事組合法人は、農業協同組合法によって、事業内容、組合員(構成員)の要件が定め 
  られています。

(5)業務執行役員(経営責任者)要件
   農業生産法人の役員の要件は、
  @農業生産法人の業務執行役員の過半の人が法人の農業や関連事業に常時従事(原則
   年関150日以上)する構成員であること
  A@に該当する役員の過半が省令で定める日数(原則年間60日)以上農作業に従事する
   こと  
 
(6)農地法の許可申請
   以上4つの要件を満たすだけではまだできません。実際には、農地の権利取得に伴う申
   請(農地法3条申請又は5条申請)をすることにより、許可行政庁によって審査され、それ
   らの許可がなされて初めて農業生産法人となるのです。

3.農業生産法人になったあと・・・
   農業生産法人として認められたからといって安心はできません。農地の権利を取得した 
   後も要件を満たさなくてはなりません。毎年の農業委員会への報告もあります。


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