2012年第3回定例会 本会議のページ

保育園の5園子ども園化について少数意見を報告【雨宮議員】(12.10.15)
 日本共産党の雨宮武彦です。
 私は福祉健康委員会において、川村のりあき委員とともに、第87号議案「新宿区子ども園条例の一部を改正する条例」に反対し、少数意見を留保いたしましたので口頭にて報告いたします。この条例の4項目の改正点のうち、第1項目の新宿区立保育園を廃止し、新たに新宿区立子ども園を設置する点について反対です。

 

第1は、本来の保育園としての役割を阻害することになること。また、区長の掲げる子ども園としての理念を実現する内容になっていないことです。

 新宿区が取り組んだ初めての子ども園は、四谷子ども園で、保育園と幼稚園を一体化して新設し、0歳児から5歳児までの子どもの保育教育を行う、子ども園としてきました。子ども園の理念は、「就学前のこどもの成長と発達段階に応じた保育教育を一体的に行い、生涯にわたる人間形成の基礎を培う。」としています。しかし、今回の子ども園化は、現在設置されている保育園の名称だけを替え、幼稚園に該当する子どもの枠を数名増やして保育教育をする、保育園型子ども園です。例えば、信濃町保育園が、「しなのまち子ども園」と名前だけが変わり、施設は3歳児の部屋にアコーディオンカーテンをつくるだけで、その他は何も変わらず、そのままの広さです。9時から15時までの短・中時間預かる4歳児、5歳児を各2名計4名増やして、今までの保育園の園児といっしょに保育教育する。保育園の子ども達が午睡をしている時間は、アコーディオンカーテンで仕切られた隣の6〜8畳ぐらいの部屋で、保育教育をするということになります。質疑では、天気の良い日はできるだけ公園や園庭で遊び、雨の日はお絵かきをするなど午睡に影響のないようにするとのことでした。短・中時間の4名の園児は、長時間保育の園児が午睡の間、4名だけで保育教育を受け、午睡している子に気を使って静かにすごさなければならないような保育教育は、区長の掲げている子ども園の理念とはほど遠い姿なのではないでしょうか。ましてや午睡を必要とする本来の保育園としての役割をも阻害するものです。

 

第2は、詰め込みの保育、教育になることです。

 施設の広さは、まったく変わらないところに4・5歳児が4名から10名増えます。面積基準の範囲内と説明していますが、保護者会でも「詰め込みになりませんか、心配です」との意見が多数出ているように、今より詰め込みになることは間違いありません。
 

第3は、小学校との連携についてです。

 「子ども園にすればさらに連携が進む」と説明していますが、子ども園化を推進する理由にはなりません。信濃町保育園では、四谷第6小の1年生と一緒に遊ぶなどの交流をして連携をしています。今でも小学校入学前の幼稚園児と保育園児は、お互いの園を訪問し、交流する事で小学校でも早くなじめるような取り組みがされています。
 

第4は、保護者が不安で納得していないことです。

 職員の体制が決定していないため、保護者も現場の職員も不安を持っています。保護者説明会でも子ども園になったら保育教育がどのように変わっていくのか、「午睡する子、しない子が居て大丈夫なのか」、「1回だけの説明会で終わりなのか」という不安の声が多く出されています。6月に開かれた説明会では、各園の出席者は36名〜54名で約5割〜6割の参加者であり、疑問、質問が沢山だされていると同時に、まったく説明を受けていない保護者が4割もいます。まだまだ説明不十分であり保護者の理解を得たとはいえません。

 

第5は、健診についてです。

 子ども園になることによるメリットとして、「4・5歳児に対して耳鼻科健診・眼科健診・尿検査が加わり子どもへの健康管理が良くなる」と説明していますが、保育園の子ども達に今までこのような健診をしてこなかったことが問題であり、同じ就学前の子どもに対して差別していたことになりませんか。直ちに保育園児にも幼稚園児が受けている健診を受けられるようすべきです。
 今新宿区は、第2次実行計画に基づいて保育園型子ども園を来年度から進め、全園子ども園化を進めようとしています。保護者や区民の意見を無視した幼稚園廃園計画に対しての署名は一万人を超え、区立保育園の子ども園化は多数の疑問の声をおきざりにしようとしています。今こそあるべき幼児教育保育のあり方、子どもを真ん中にした保育教育のあり方を議論するためにも、第二次実行計画を見直すべきです。そして新宿区が取り組むべき最重点事業は、待機児をゼロにするために全庁あげて対策をとることではないでしょうか。以上で少数意見報告とします。

 なお、少数意見と関連いたしますので、10月15日付け「広報しんじゅく」の記事の内容について意見を述べます。
 広報の3ページの、25年度幼稚園・子ども園園児募集の記事に「(仮称)大木戸・しなのまち・戸山第一・西落合・北新宿の子ども園は、平成25年4月から開設します。開設については平成24年第3回区議会定例会に提案し、議決(10月中頃)を経て確定します。下記のとおり説明会を開催します。」としています。この記事は約1ヶ月前に編集されており、区議会でまだ審議もされていない条例案を編集し、かつ、議会で可決決定していない条例案を広報で区民に知らせることは、明らかに議会軽視であり、区民をも軽視したことになるのではないでしょうか。今後、このようなことのないよう意見をのべておきます。
 

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既存保育園の子ども園化に反対!(12.10.15)