2012年第1回定例会 本会議のページ

待機児童対策等について【近藤議員】
 次に、待機児童対策等について伺います。
 

第1に、来年度当初の待機児童の見通しについてです。

 新宿区は、第一次実行計画の4年間で、認可保育園で391名、子ども園で15名、認証保育所で436名、その他で47名とで受け入れ枠を889名増やしていますが、来年度4月1日の待機児童数について、新定義・旧定義で何名と見込んでいるのか、まずお聞かせ下さい。
 

第2に、待機児童対策についてです。

 2012年4月入園の募集人数が昨年と比べて92名も少ないことから、昨年度以上の待機児童が予想されます。区は認証保育所を誘致し、現在、18園677名まで拡大させてきました。しかし、そこもあっと言う間にいっぱいです。多くの保護者は、費用負担が軽く、園庭などの施設に恵まれた、認可保育園への入園を望んでいます。これまでも繰り返し要求してきましたが、認証保育所をこれだけ増やしても実態として待機児童数が減らないのですから、区は認可保育園を増やして対策をすべきと考えますがいかがでしょうか。
 渋谷区は、来年度予算案の発表と同時に「これから2年間で待機児童ゼロを目指す」ことを宣言しました。新宿区は、年度当初の待機児童ゼロを目指してきましたがそれをいつまでに達成するのかお伺いします。同時に、当面、待機児童解消が見込めないことが明白ですから、区立戸山第3保育園は存続すべきと考えますがいかがでしょうか。

 

第3に、認可外保育施設の保護者負担軽減事業の変更についてです。

 私たちは、保育料については認可・認可外にかかわらず、所得に応じた負担とするよう区に求めてきました。今回の認可外保育施設の保護者負担軽減事業の変更は、年齢ごとに助成額を変え所得制限を導入をするものですが、支給方法が、助成額を区が施設に直接支払う方式から、保護者が一旦全額を施設に払い3か月ごとの後払いで区から保護者に支払われる償還払い方式に変更するというものです。これに対して、パブリックコメントでも「これでは困る」という意見が出され、区の説明を受けた各施設が保護者に説明したところでは、「あとから戻ってくるにしても保育料8万円を毎月払うのは大変。」などと、切実な声が寄せられています。なぜこのような不利益が生じるやり方にするのかお答えください。区が開始年度を一部遅らせる決断をしたことは当然の措置ですが、認可保育園に入れなくてやむにやまれず預けている保護者については、せめて費用面では認可保育園と同様の措置をとり、不利益を是正すべきと考えますがいかがでしょうか。

 

待機児童対策等について【中山区長答弁】
 待機児童対策等についてのお尋ねです。
 はじめに、来年度当初の待機児童の見通しについてです。
待機児童の解消については、区政の最重要課題の一つとして、計画事業と緊急対策の両面から取り組んできました。待機児童数は、出生数の増加やその他様々な要因により保育需要が年々高まり、平成20年度から増加傾向に転じました。第一次実行計画当初の受入れ枠の拡大予定は314人でしたが、その後積極的に対策を見直しながら推進し、889人の拡大となりました。その結果、待機児童数は当初計画のままでは、平成23年4月には300人を超えていたと推測できますが、92人にまで抑えることができました。
 来年度当初の待機児童数は、最終入園児童数や認証保育所等の入所状況が確定しないと算出できず、現時点では具体的な数値はお示しできません。しかし、平成23年4月と平成24年4月の比較で236人の受入れ枠増となりますが、申込状況からみると、残念ながら待機児童数は増える見込みです。

 次に、待機児童対策についてです。
 区は、これまでも待機児童の解消については、受入れ枠の拡大を中心に、開設までに複数年を要する認可保育園及び子ども園の建設や改修とともに、施設基準や職員配置が認可保育園とほぼ同じで、年度内に開設が可能な認証保育所を増設してきました。
 平成24年度から平成27年度までの第二次実行計画期間においても、引き続き地域需要を考慮するとともに、幼児への繰り上がりにも配慮しながら、0歳児から2歳児への定員設定が過半数を占めるように、私立認可保育園の整備支援、保育園及び幼稚園の子ども園への一元化及び認証保育所の増設の計画事業を中心に、保育施設全体で1,000人規模の受入れ枠拡大を図ります。
 そして、これらの取り組みを積極的に推進していき、平成27年4月現在の待機児童ゼロを目指します。
 さらに、これまでも繰り返し答弁してきましたが、私立(仮称)国立国際医療研究センター内保育園設置及び区立戸山第三保育園の新園への移行計画は、認可保育園の移転により定員を拡充するほか、専用室型一時保育や病児・病後児保育の新規実施など保育サービスの拡充も図ることができ、待機児童解消対策としての意味も大きい計画と考えています。
 また、第二次実行計画期間中は、これまで以上の限られた財源の中で、的確に保育ニーズに対応しながら効果的効率的にサービス提供できるように、他の地域での保育施設建設や施設改修などによる受入れ枠の拡大を行います。
 よって、総合的判断の結果として、区立戸山第三保育園を、平成25年4月に新園に移行する考えに変わりはありません。

 次に、保護者負担軽減事業の助成金の支払方法の変更についてのお尋ねです。
 これまでの一律助成から所得制限を導入したことにより、区において、利用者の所得の把握を行い、助成対象の判定をすることになります。そのため、私立幼稚園の保護者への助成などと同様に、利用者が区に直接申請して、区が利用者の口座に振り込む方式に変更しました。
 パブリックコメントではこの助成制度のあり方についても、多くの方からご意見を頂戴したところですが、できるだけ保護者の負担を軽くできるよう、支給回数を増やして、年4回としました。

 次に、認可保育園と認可外保育施設の保育料についてのお尋ねです。
 認可保育園は、国の制度であり、国、都、区が運営費を補助しています。保育料については、保護者が負担する基準が決められています。
 一方、認証保育所は、東京都の制度で、都、区が運営費を補助しています。保育料については、上限は定められていますが、事業者が設定しています。
 このように制度が異なる施設ですので、保育料等を全く同じにすることは考えていませんが、保護者の負担軽減の視点から、よりよい助成制度についての検討は続けてまいります。
 

学校選択制度と学校適正配置について
 次に、学校選択制度と学校適正配置について質問します。
 新宿区教育環境検討協議会が1月17日に取りまとめた「新宿区立小・中学校の通学区域、学校選択制度、適正規模及び適正配置の基本的なあり方について」の答申を受け、教育委員会としての基本方針(素案)を作成し、現在パブリックコメントを実施しています。
 以下質問です。

 第1に、学校選択制度についてです。

 基本方針(素案)では、学校選択制度は維持することを基本にしながら、小学校については「通学区域内の児童だけで3学級編成となりうる学校等については、…必要に応じて通学区域外の児童は選択できない学校として指定する」「選択希望校に兄姉がいる場合における抽選時の優先取扱は、平成25年度より廃止し、ただし経過措置期間を設ける。」としています。この「選択できない学校」を、どのような基準で選定するのでしょうか。
 来年度の学校選択では、抽選となった小学校が6校あり、抽選から漏れた児童は101人もいました。一方で、来年度も含め兄弟姉妹優先廃止の経過措置期間は在学する兄姉と同じ学校を選択する弟妹は全員繰り上げる方針で、その結果35人を超えても1学級40人まで弾力運用を行い学級数は増やさないとしています。来年度、新1年生で弾力運用する小学校は5校あり、例えば市谷小学校は7人繰り上げたために2クラスで78人、1クラス39人になります。これでは35人学級を導入した意義が失われます。一方で、5校のうち3校は普通教室に転用可能な特別教室等があります。来年度を含め、必要な普通教室を確保し、35人学級を堅持すべきではないでしょうか。
 学校選択制度と言いながら選択できない学校を作ったり、35人学級を推進すると言いながら35人以上の学級を作ったり、こうした矛盾は教育環境が変化しているにもかかわらず学校選択制度を維持しようとすることで無理が生じている事の現れに他なりません。小手先の見直しではなく、学校選択制度は廃止し指定校変更制度で必要な選択を可能とする制度に戻すべきです。いかがでしょうか。

 第2に、学校適正配置と適正規模についてです。

 教育環境検討協議会の答申では、「通学区域制度が原則」だが「学校選択制度は定着してきている」ので維持する、として、学校選択制度について積極的な評価をしているわけではありません。逆に、区の教育目標や学習指導要領を実現するためには「学校の望ましい規模=適正規模を確保する必要がある」とし、その「適正規模」をどのように確保していくのかという視点を持って検討した、とあります。平成4年答申と今回の答申が大きく違うのは、『存置の目安を下回る学校を一律に統合の対象校として位置づけるのではなく、統合を含めた「適正規模化」の検討が必要な学校として弾力的にとらえていくことが望ましい』としていることです。これは、「学校適正配置というのは適正規模にするために統合するだけでなく他の対策を行うことも検討する」ということで、このことを基本方針にも明記すべきと考えますがいかがでしょうか。
 そして、「適正規模」確保の道筋は、学校選択制度を廃止し、その上で通学区域内の児童生徒数の差が大きければ保護者・地域関係者の合意を得た上で通学区域を見直し「適正規模」化していくべきで、結果として当面、統廃合は必要なくなると考えますが、教育委員会のご所見をお聞かせください。

 第3に、パブリックコメント等、区民からの意見聴取についてです。

 学校選択制度や通学区域、適正配置等、学校に関わる重要事項については区民の大きな関心事です。区と教育委員会の持っているあらゆる媒体を使って周知を行い、区民から意見をいただくよう最大限努力すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 各学校では年度末ということもありPTAの会議や保護者会等が頻繁に開かれる時期です。教育委員会は、いくつの園、学校に説明に行かれる予定ですか。少なくとも来年度、兄弟姉妹優先廃止に伴う弾力運用をする予定の小学校6校の保護者には説明をすべきです。地域説明会も3カ所しか予定されていませんが、特別出張所ごとに行うべきです。いかがでしょうか。お答えください。


学校選択制度と学校適正配置について【中山区長答弁】 
 まず、選択できない学校の指定の基準についてです。
 選択できない学校は、通学区域内の児童だけで3学級編制となり得る学校等を対象に、普通教室の確保及び学校間の児童数の差を緩和するという観点を踏まえ指定していく予定です。

 次に、普通教室の確保と35人学級についてのお尋ねです。
 平成24年度は、小学校第1学年の定員を35人としていますが、補欠順位を上位にしている在学生の弟妹について全員繰り上げました。
 そのため、定員を超える学校が生じていますが、児童数の将来的な増加に備え普通教室を確保すること及び今後の転出入者の動向を踏まえる必要があることなどから、現在のところ弾力的運用の適用を考えています。
 なお、平成24年度の学級編制は、4月1日の児童数を踏まえ、正式に決定します。

 次に、学校選択制度は廃止し、指定校変更制度に戻すべきとのお尋ねです。
 35人学級の導入と未就学児の増加傾向という教育環境の変化の中にあって、特に抽選校となるような規模の大きい学校では、通学区域外の児童をこれまでどおり受入れていくことは困難な状況となってきています。このことは、学級編制や児童数、普通教室数等がその要因となっているため、学校選択制度を廃止しても、その状況は変わらないものと考えています。
 意識調査の結果や教育環境検討協議会における議論も踏まえ、学校選択制度は維持しますが、教育環境の変化への対応を行い、よりよい教育環境の整備を進めてまいります。


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待機児童、学校選択制