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2009年11月27日(金)  
コミュニティバスについて一般質問します。 【みどり土木部長が答弁】


 日本共産党区議団の近藤なつ子です。


 私ごとですが、中高生時代にスポーツに励む中で痛めたひざが今でも時々故障し、ふだんは何でもない歩行がそのたびごとに大変な動作なのだということを実感いたします。まちで一歩一歩前に足を踏み出すことにも苦労していたり、休み休み買い物などに出かける高齢者や障害を持った方を見かけると、もう少し負担を軽くしてあげることはできないのだろうかと悩みます。坂道はもとより、地下鉄などは階段が怖くて、私でさえひざが痛いときには利用するのに勇気が要ります。
 そんな外出困難な方々への支援策として、大通りだけではなく、比較的狭い道も通り、商店街や公共施設、病院などをつなぐコミュニティバスは大変有効です。
 既に十分交通が便利な地域と思われている23区でも、15区が地域住民の足を確保することを中心に自治体がかかわったコミュニティバスを運行させています。新宿の隣接区では、来年度には実施予定である豊島区以外、千代田区、港区、渋谷区、中野区、文京区、みんな実施しています。新宿区民から「なぜ新宿区ではコミュニティバスを走らせないの」「一日も早くコミュニティバスを走らせてほしい」などの声を私たち議員は何度となく聞いているのではないでしょうか。
 しかし、区はコミュニティバス実施の条件としている「交通不便地域は新宿にはない」「永続性と安定性が求められるから、後年度負担を伴う運行補助を前提にするのは妥当ではない」という方針により、地域住民が主体となって事業を立ち上げ、独立採算を実現できるようなルートをつくり、不足した経費も自前で確保するのがコミュニティバスなんだと言っています。これでは幾ら機運が高まっても、なかなか実施に踏み切れないのは明白です。
 実施している自治体では、行政の事業として交通弱者を支援し、地域活性化に寄与するのであれば、一定の支出は必要と認め、踏み出しています。
 とりわけ、最初から机上どおり採算が見込めるわけではなく、実施後もさまざまな改善を重ね、財政の支出額を減らせればなおよしとするスタンスで臨んでいます。今の区の姿勢では、ただの一つも区民の求めるコミュニティバスは実現できません。区民の要望を受けた陳情採択した新宿区議会では、その実現のために自民、公明、民主、そして我が党と、主な4会派が繰り返し要望し、四谷などでは具体的に勉強会、準備会などもつくって運動も担っています。区としても、ここで方針の再検討をすべきです。

 まず第1に、交通不便地域は新宿にはないという姿勢ではなく、区には移動困難者が存在することを前提に支援策を講じなければならないという姿勢に立てないでしょうか。


 「人に優しいまち」を目指す新宿区として、どちらを行政の姿勢として堅持すべきか明らかだと思います。区長の見解をお聞かせください。

 第2に、運行補助を何が何でも出さないという姿勢を改めることです。


 実施に際して、自治体が単独で補助している場合もありますが、国や東京都の補助をできるだけ使えるような努力を初期投資も含め行うことや、それでも新宿区の現状からすると、該当するものがないというのならば、制度の改善・創設を国や都に要望し、区民とともに実現のために動いていくべきです。
 当然、国や都に要望する以上、区自らも一定の支援をすることが前提になるでしょうから、その点でも今の区の姿勢では前進しないことは明白です。区長の見解をお聞かせください。

 第3に、区民が求めているコミュニティバス実施に向け、新宿駅循環バスの新宿WEバスと区別して実施するということです。


 今年9月27日に新宿WEバスは開業しました。私も先日の夜の7時台に一周乗車してきましたが、私以外に乗ったお客さんは5人でした。新宿区新聞の報道によれば、最初の1カ月間の1日乗車数は平均246人にとどまり、1台の平均利用者数は5.2人だったようです。1日平均1,000人がこの路線の採算ベースと聞いていますが、黒字になるだろうと見込まれていても、最初はこの程度です。
 区が議会で繰り返し言われている「新宿駅周辺の循環型バスを成功させることが今後の検討につながる」ということになれば、地域住民、移動困難者はいつまで待てということになるのでしょうか。区も、区民の利用というより来街者の利用を見込んでつくっている循環バスと地域バスの役割の違いを認識しているのですから、この点についても改めていただきたいと思います。区長の答弁を求めます。  ここで、新宿WEバスの早急な改善をすべきことも言わせていただきます。
 今年度の予算で、実施のために車両改善に約4,500万円、バス停などの設置に約1,000万円、初期投資に合計約5,500万円、区民の税金を投入しています。利用者が伸びないのは、単に認知度が低いだけではく、バス停の間隔が長いことや、10カ所しかしないバス停なのに、2カ所で時間調整があり、1周に45分かかること、また駅以外に公共施設や公園などに連結せず物足りないことなど、幾つか気になる点もありました。できる改善は早く行うべきと思います。この点でも、区の積極的な関与は必要と思いますが、いかがでしょうか。

 第4に、現在の関東バス百人町線の支援についてです。


 区は、1999年の第1回定例議会で、「新宿区コミュニケーションバス運行に関する陳情」が採択されたことを踏まえ、地域密着型バス検討委員会を同年4月に設置し、2001年3月に報告書を出しました。
 この報告書作成時に、区から各事業者にコミュニティバスの計画提案が要請されていました。約2年間の検討期間を経て関東バスの子会社であるケイビーバスが2002年3月に高田馬場駅と東中野駅間のバス路線を運行することになりました。当時の区の支援は、バス停など施設整備だけでしたが、約1,000万円を支出しました。
 改良した当時、1時間に3本の運行が赤字のために2本になり、2007年には1本になっています。ケイビーバスからは運行補助をしてほしい旨の申し出があったようですが、区はこれを拒否し、さらに区民の利便を後退させ、経営を悪化させることになっています。
 私はこのことが報告された環境建設委員会に当時所属していましたので、運行補助の検討、バスの存続と本数の復活を求めている地域住民と事業者、区などが一緒になって利用が促進されるよう、バス路線の改善やその他の問題についても議論できる場を持つ必要があるのではという主旨の要望をしました。
 ことし11月1日からケイビーバスは撤退し、親会社である関東バスが運行することとなりましたが、区は本腰を入れて支援するべきではないでしょうか。ここでも、現在の支援の枠組みの一つである「新宿区地域公共交通会議」、通称交通会議は2006年度以降の事業からしか対象にしないと区はおっしゃるかもしれませんが、交通会議の設置要綱では、協議事項は第2条で「その他交通会議が必要と認める事項」とあり、第3条の構成員として「住民又は利用者の代表」が会議に参加できるとなっています。
 交通会議もしくは独自の検討会を設け、運行補助を出してという要望も含め、地域住民と事業者、区などが一緒になり、利用が促進されるよう、バス路線の改善やその他の問題について大いに協議し、対策を講じていくべきと思いますが、いかがでしょうか。

 最後に、以上の質問を踏まえ、区民がコミュニティバス実施の希望が持てる施策を早急に打ち出していただくことを要望します。


 地域の中でコミュニティバスの話になると、本当にいろいろな意見が出され、実現されればという期待を膨らませながら、こんな話が出ます。病院や買い物に行くのに利用したい、大事な用事で特別出張所に行くにもタクシーを使っていたけど、利用できたら経済的にも助かる、ことぶき館やスポーツセンターなどにもっと行きやすければ、定期的に趣味や運動などができて、もう少し元気になれそうなのに、などです。
 さらに、バスの愛称を出し合ったりします。早稲田の地域では、夏目漱石の小説「坊っちゃん」にちなみ、「猫バス」がいいなとか、高田馬場の地域の方などは、「アトムバス」がいいよね。四谷の方は「アンパンマンバス」、また新宿しんちゃんの「しんちゃんバス」などユーモアある案が出されます。本当に実現したら、知名度抜群、人気抜群になるのではないでしょうか。
 こういった事業を推進するのは、苦労の要ることです。しかし、夢とロマンのある事業、持続可能な環境に優しい事業としても、区の財政を使って実施するにふさわしい事業ではないでしょうか。この点からも区長の見解をお聞かせください。


◎みどり土木部長(野崎清次) 近藤議員の御質問にお答えします。  

 まず、移動困難者への支援に対する区の姿勢についてのお尋ねです。


 高齢者や障害を持った方々が外出しやすいまちづくりを進めることは重要であり、そのための施策は必要だと考えています。移動困難者の移動させる交通手段としては、コミュニティバスに限らず、乗合タクシーやデマンド型交通などさまざまなものがあります。  区は、今後、移動困難者を含めた地域の方々の交通手段のあり方について、新宿区地域公共交通会議の場などで検討を進めてまいります。

 次に、運行補助についてのお尋ねです。


 区は、これまでもバス停周辺整備や車両改造など運行開始時の初期費用の一部を支援してきました。しかし、コミュニティバスを含めた地域の公共交通は、継続して運行することが重要であり、自立した運営が欠かせないことから、後年度負担を伴う運行補助は適切ではないと考えています。  なお、国や東京都の補助制度については、運行事業者が活用しやすい制度への改善などを要望してまいります。

 次に、新宿駅循環バスと地域バスを区別して実施することについてのお尋ねです。


 御指摘のとおり、新宿駅循環型バスである新宿WEバスと地域バスでは、コンセプトや利用対象者などが異なることは認識しています。四谷地域では、平成18年から地域の方々が主体となって、地域バス導入についての検討を進めております。  区は、地域主体の活動に対して技術的な支援をしてきましたが、実現には課題も多く、困難な状況です。

 次に、新宿WEバスの改善についてのお尋ねです。


 新宿WEバスのバス停のわかりづらさやバス停での時間調整などに課題があることは認識しており、運行事業者と改善策について協議を始めています。あわせて、現在、利用実態の調査を実施しており、利用者の動向や要望等を把握した上で改善策を検討し、利用促進に努めてまいります。

 次に、関東バス百人町線の支援についてのお尋ねです。


 百人町線については、平成14年の運行開始に当たって、バス停周辺整備などの支援を行ってきました。本年11月1日よりケイビーバス株式会社から関東バス株式会社へ運行が継承されましたが、採算面で厳しい状況が続いていると認識しています。  区は、今後、地域住民の方々や運行事業者も入れた新宿区地域公共交通会議などの場で、運行ルートや利用促進策などについて協議していきます。

 次に、コミュニティバス事業の推進についてのお尋ねです。


 新宿区内は鉄道や路線バス網が整備され、公共交通の利便性は高い状況にあります。こうした中、コミュニティバスを運行するためには、利用者である地域の方々が自立し、継続した運行が可能かどうかを事業の採算性を含めて検討し、導入の是非を判断することが必要と考えます。このことから、区は財政的補助ではなく、技術的な支援を行ってまいります。  以上で答弁を終わります。



◆20番(近藤なつ子) 御答弁ありがとうございました。  半分想定どおりの答弁ではありましたが、やはり陳情が出されて既にもう15年が経過しています。それなのに、区では、その思いが達成されたバスがいまだ通っていない、それは乗合バス、タクシーでも何でも構わないと思うんですけれども、そういった事業に着手するためには、幾つか実施している区の担当者にもお話を聞きましたが、当初から丸々運行経費を出さないというような対応はなかなかこの都心区でも難しい、そういうこともはっきり言われました。  ですので、やはり今はそこの施策の転換を私はするべきだと。そこをもとに幾つか質問いたしましたが、あるのではないかというふうに思いましたので、引き続き、また住民の皆さんとも一緒に取り組んでまいりますが、ぜひ区も検討していただくようにお願いして、長くなって申しわけありませんが、一般質問終わります。


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2009年11月27日・一般質問 コミュニティバスについて