毎日新聞奈良版
毎週木曜日連載

藤原京大極殿の夜明け 手前、天の香具山

奈良を詠む

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2006.10.14
長屋王を ここに思はむ 歌姫うたひめの 秋立つ杜もりに こころ恋ほしく
    歌姫神社は、古代、国ざかいの手向けの神があった.長屋王の歌碑が一基
2006.09.21
巨勢山の 鳥居のほとり こもり沼 菱の実つみて 食ひし日はるか
         巨勢山の中腹に、式内.巨勢山口神社鎮座
2006.08.29
二上の 山をふりさけ 旅びとは 高家たいえの村を さして登りぬ
     桜井市高家の栢木邸に、画家熊谷守一の書の万葉歌碑が一基
2006.07.30
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とほき世の 高きみこころ 思へよと 雲さへにほふ 田原西のみささぎ
             志貴親王墓前
2006.07.13
夏山の 青香具山に 竹なびき 天つ空なる 風渡りゆく
        天の香具山は藤原京東方を守護する神の山
2006.07.04
枝うちの 梯子はしごは道に くされつつ 竜在峠に 降る杉の雨
 竜在峠は明日香から吉野への古道.しと、しと、.古代を偲べと杉に降る雨 
2006.06.15
うねび山 ここよりは見えぬ 狭井川の なほ水上に 百合はにほほむ
 17日 奈良率川神社の三枝祭. 酒樽を飾る笹百合は三輪山から
2006.05.29
清き一生 終りし国の わからねど ここに寂けし 山部赤人の墓
 榛原町山辺三に2メートル近い巨大な五輪塔.万葉歌人.赤人の墓という
2006.04.27
青旗の かつらぎ天に 近ければ 群れて清しき かたかごの花
  葛城山に万葉の名花カタクリの花がそよぐ
2006.04.02
やぶ椿 音のなく散り 巨勢寺の 礎石の丘の 春はとこしへ
 万葉集に、つらつら椿と春の古瀬野が歌われている
2006.03.26  
知る一人 なき奈良駅に 下り立ちし 朝をしきりに 一日思ふよ         
 55年前3月31日、夜行「大和」.翌朝8時23分奈良駅着
2006.03.02
本陣の 庭に見下ろす 梅林の 村を登りし 芭蕉を思ふ
 元禄7年、追分梅林、くらがり峠を越え、芭蕉は大阪で客死.さいごの旅
2006.02.24  
沙弥世阿弥 生誕のむら 結崎の 川瀬の声の 白き面塚
    寺川の堤防に観世発祥の地を誌して面塚がある
2006.02.12  
高市皇子の み墓いづくか 人麻呂の 城の上の宮と 歌ひし奥つ城   
  墓は広陵町馬見中の見立山公園付近と想定されている
2006.01.31  
冬の芽の 柳の枝を 結ばむか 老の幼き 恋を願ひて
 佐保橋の下方に万葉歌碑.柳が一樹、枝をなびかせている
2006.01.14
降る雪に 年の吉事を 祈りたる 家持を思ふ 三輪のみ山に
       正月、崇高な三輪山に古往を思う
2006.01.01  
朝の月 恋ひて出づれば 紅梅の 一つが咲けり告げやらましを
     早朝、庭前にも大和の春到来のきざし
2005.12.02  
大口の 真神原は しぐれつつかりそめならぬ 首に降る
飛鳥寺の西方に、大化のクーデターで殺害された入鹿の首塚がある
2005.11.10   
 秋草の 乱れて歌碑の ありければ こころもしのに 古へ思ほゆ
橿原市大軽町の春日社に「こもり妻」を詠んだ万葉歌碑.小清水先生の染筆
2005.10.25
長屋王を ここに思はむ 歌姫 秋立つ杜に こころ恋ほしく
歌姫神社は、古代、国ざかいの手向けの神であった.長屋王の歌碑が一基

2005.10.07
   
人麿の ゆかりの柿本 田に沼に 立ちあがり咲く 布袋葵 らさき
   新庄町柿本に柿本神社.めぐりの田に布袋葵むらさき
2005.09.24
玉くしげ 二上山に 浮く雲の 黄に澄み透り 大和し暮れゆく 
 686年10月3日(陰暦)大津皇子は自死.二上山に皇子は移葬された
2005.09.04   
清き一生終りし国の わからねど ここに寂しずけし山部赤人の墓
  榛原町山辺に2メートル近い巨大な五輪塔.万葉歌人.赤人の墓という
2005.08.20   石舞台 巨石運びし 農民は 何を履きしか 草鞋か跣
   妻と別れ飛鳥に集合した農民は何を食べ、何を着、何を思ったか
2005.08.05 妹の墓所 たづね迷ひし 人麿の 歌のあはれに 暮色ふすま路
    天理市中山町の衾田陵の近くに、人麿の恋びとの墓があった
2005.07.20 石橋を 渡り妻問ふ かとも ほたるさまよふ飛鳥川稲淵
   万葉に歌われた橋が今も稲淵に.宵々の蛍は万葉人の魂である
今年(2005年)傘寿(80歳)を迎えられた万葉学者、歌人の猪股静彌先生

毎日新聞奈良版で連載されている「奈良を詠む」に寄稿されている数々の歌を

当サイトにて紹介致すことにしました.先生の歌を拝読しますと、万葉人の燃え

たぎる心情が心に強く響きわたり、万葉の時にタイムスプリップしたような思い

が致します.月に2度ほど更新予定を致しております.今年5月傘寿を記念して

『木簡は語る〜万葉百話』
(和泉書院)より発売されました.万葉集や、考古学の

ロマンを愛し親しんでおれる全国の多くの皆様にぜひ御紹介致したく先生の著

書の一部を紹介させて頂きます.『万葉への誘い』へ起こし下さい.


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