真神の原 飛鳥寺の蘇我入鹿の首塚。後方は
 蘇我一族の屋敷があったとされる甘橿の丘
大口(おほくち)の 真神(まかみ)の原に 降る雪は いたくな降りそ 家もあらなくに
                        舎人娘子(とねりのおとめ) 巻8‐1636

真神の原に、ああゝゝ雪が降ってきた。これから先、雪が止むまで待つような

家もない、そんなところで雪に降られたらたまったものではない。だから、雪よ

降らないでおくれ。

舎人娘子は、どういう人かわからないがなかなかの歌いぶりである。

「大口」は真神にかかる枕詞。口が大きいということで、「真神」すなわちオオカミ

にかかる、大口の真神の原は明日香の一帯をさす原っぱと考えられる。

あたりは昔、人の背丈を遙かに越えるうっそうとした葦の群生地で、オオカミが

出没。人も襲われたに違いない。一度人間を襲ったオオカミは、次から次へと

人ばかり狙い、もう止まることをしないとも聞く。

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