平城京 朱雀大路 早春

      春の日に 張(は)れる柳を  取り持ちて 見れば都の 大路し思ほゆ

春の日に芽ぶいている柳を手に持って見るとしみじみ奈良の都大路が思われることだ
                                         天平勝宝2年3月2日

          植物を折り取って手に持ちながら歌う2首     他はつぎの巻19−4143

もののふの 八十をとめらが 汲みまがふ 寺井のうへの堅香子の花

大伴家持。聖武天皇の発願により建立された奈良の東大寺。今から大凡1250年前、大仏

建立の詔が宣言され、都は世紀の大事業に向かって動き出しました。聖武天皇の壮大な夢

に大いに情熱を傾けた一人の青年がいました。大伴家の嫡男、大伴家持です。聖武天皇の

熱い信頼を得て家持29才の時。越中の国司として赴任します。これは、大仏建立の財源を

確保するための重要な仕事でした。奈良から9日間の距離を隔てた越の國は当時天離る鄙

と言われ万葉人にとっては遠い存在でした。家持は5年間、越の國で勤務をしたのですが、

当然の事として、都の大事な仕事を持って来たものですから、いつもいつも都の事を考えま

す。都では聖武天皇が大きな大仏建立を進めている。そう言う政治状況の中でした。新しい

政治を進めている政治状況です。家持の望郷の思いは日に日に募って行くのです。家持はこ

こにやって来て3年半が過ぎた頃です。天平勝宝2年3月1日深い物思いで

     
「春の苑  紅にほふ 桃の花 花下照る道に 出でたつをとめ」   天平勝宝3月1日

を歌い都に何があったのか解りませんが、3月1日夕方からずーとその日も寝ないで、又2日

もずーと物思いに沈み。3日になって、はじめて心が少しずつ晴れていったのです

      「朝床に 聞けば遙けし 射水川 朝漕ぎしつつ 歌ふ舟人」    天平勝宝3月3日

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