高岡市 渋谷 雨晴海岸より立山連峰遠望
天離あまざかる 鄙ひなに名懸なかかす 越こしの中 國内くぬちことごと

山はしも 繁しじにあれども 川はしも 多さはに行けども 皇神めかみ

うしはきいます 新川にひかはの その立山に 常夏に 雪降りしきて 帯

ばせる 片貝川かたかひがはの 清き瀬に 朝夕あさよひごとに たつ霧の 

思ひ過ぎめや あり通がよひ いや年のはに 外よそのみも 振り放け見つ

つ 万代よろずの 語らひ草と いまだ見ぬ 人むにも告げむ 音のみも 

名のみも聞きて  羨ともしぶるがね        大伴家持  巻17‐4000

立山の賦                                        

遠い地方の国で名高い越中の国の内中に、山はたくさんあるけれども、川は

たくさん流れているけれども、皇神が領しておいでになる新川のその立山に、

夏でも雪が降り積もっており、山をめぐる片貝川の清らかな瀬に、朝夕ごとに

立つ霧の絶えないように、この立山を思い忘れることがあろうか.この山に、

いつも通って、いよいよ年ごとに、よそながらもふり仰いで見ながら、万代まで

の語りぐさとして、まだ見ない人にも語り告げよう.その評判だけでも、名前

だけでも聞いて羨しがることであろうから.
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