天理市 布留川の高橋

石上(いそのかみ) 布留(ふる)の高橋 高高(たかたか)に 妹が待つらむ 夜ぞふけにける

布留の高橋が高いように、高々と爪先立ちで背伸びして、あの女は自分を待ちわびているであろうに、夜はふけてしまった。
「高々に」は、今日でも子供をあやして、「高々しなさい(背伸びをしなさい)という言葉があるように、文字どおり爪先立ちで背伸びすることを言うのでしょう。妹(妻、恋人)の許へ通う男は、自分を待ちわびているであろう妹の様子を日頃見慣れている布留川に架かる高橋のように足を長く背伸びをして待っていることと想像する。

万葉の(布留の高橋)が今のそれと直接結びつくものではないが、現在の「布留の高橋」へは、石上神社の拝殿。桜門の前を、真東に向かい、次第に下り坂になる道なりに歩めばよい。神宮の森を出て、橋にさしかかる迄約100メートルの坂道は、両側に低い梅林が続き3月中頃の梅の盛りの頃は見事といっていい道となる。橋のイメージはすっかり変わってそこに「布留の高橋」の金文字のプレートが輝く。高々と感じさせる橋杭も、もはやない。ただ覆っている茂みの中に、そこを渡りつつ妻のもとへと急いだ男の姿を思いやるばかりだ。

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