川流れ時々日記

流れ流され書いていきます

十月三十一日 
 落差

 消防車のサイレンが聞こえる中、民家からはお昼のバラエティの笑い声が聞こえる
 なんとも緩急激しい世の中だ

十月三十日 
 液化

 昨日銭湯に行った
 サウナに入った後、五分ほど水風呂に浸かるようにしている
 後半には、水の音がひどく大きく聞こえるようになる
 たぶん体にはよくないだろう、でも、水になったかのようなその感覚がすき

十月二十九日 
 強欲

 人に何かをしたとき
 いいよいいよといった態度をとりつつも、どこかでありがとうといって欲しい自分がいる
 なんともかんとも欲張りだ

十月二十八日 
 完成

 カレンダー、完成
 いいできいいでき、まんぞくまんぞく
 なんとも、嬉しい

十月二十七日 
 鯉口

 口が半開きの人とすれ違う
 ぽっと鯉が浮かんだ
 空気が薄いのか、食べ物が飛んでいるのか、どうなのか

十月二十六日 
 逆降

 今日も秋晴れ
 粉砂糖を散らしたような雲が、丸く広がっていた
 まるでくるりとひっくり返して、さらさらと雪が降ったみたいだ

十月二十五日 
 

 かん、と一色に空が広がっていた
 その上の端っこをつまんで、つい、と投げてみたら
 どこまでも晴れた空になりそうな、そんな気がした

十月二十四日 
 異匂

 うちに帰るたびに違ったにおいがする気がする
 なんか得した気分

十月二十三日 
 起立

 なんだか木の幹が気になる
 真直ぐからひょんひょんとはえたり、するりするりと枝分かれしていたり
 なんだかとっても、存在感

十月二十二日 
 風景

 親子とか、夫婦とか、友達同士とか
 そんな感じの人たちが、てろてろと道を歩いている
 ああ、日曜日

十月二十一日 
 選択

 表通りはざわざわしている
 裏通りはさわさわといった感じ
 どちらが好きかは、人による

十月二十日 
 期限

 奥歯が痛む
 親知らずを抜かないと治療できないところらしい、病院への紹介状をもらったのは七月
 紹介状の有効期限って、あるのかなぁ

十月十九日 
 自然

 ふっと顔の力を抜いてみる
 ふあん、と笑顔が広がる
 人ってそういうものだろう

十月十八日 
 鋭角

 朝の空気が冷たい
 きゅっと肌が引き締まると、きゅっと感覚も引き締まる気がする
 なるほど、芸術の秋だ

十月十七日 
 道連

 外を歩くと服にいっぱい種が付いた
 引越し屋さんになったようだ

十月十六日 
 黄緑

 オコゼがぽとりとアスファルトに落ちていた
 あわやかな黄緑色、さされると痛い
 アスファルトの上だと、なんだか儚げ

十月十三日 
 実月

 カレンダーが実際の月に追いついてきた
 ただいま十月作成中
 みんなかわいい子に仕上がっている、なんとも不思議だ

 今日から三重に行きます

十月十二日 
 空景

 空を仰ぐ
 空に走る電線と、空に浮かぶ雲と、空に架かる蜘蛛の巣が見えた
 おもしろい、見上げてみるものだ

十月十一日 
 眠蛇

 とろんと眠い
 眠りというのは蛇のように頭の中にとぐろを巻くようで
 なかなかほどけないので、そのままにしておく

十月十日 
 落書

 十月十日
 数字を縦に書いて横にすると、眉毛と目

十月九日 
 濃夜

 滋賀の夜に
 交流会が終わり駐車場に歩いていると、目の前の夜の闇の中を、さらに濃い闇がいくつも、いくつも舞っていた
 闇夜の烏、そのまま空を覆い、濃い、濃い、夜が来るかのようだった

十月六日 
 狂流

 なんとも自分の時間の流れが狂っているように感じる
 ふらり、ふらり、ふらり、と時が漂う感じ
 こういうときは、あまり求めてはいけない

 今夜から滋賀です、いぇー

十月五日 
 下穴

 気づくとサンダルに穴が開いていた
 なんとも地面がよく見える

十月四日 
 選択

 目の前で何かが起こると、頭の中でいろんな感情がくるくるとめぐる
 そのどれを選択するか、どれを選び出すか
 そんなことが、ゆったりとできるようになった、前よりもいい感情を選び出せる
 ぼちぼち、だ

十月三日 
 時砂

 美術館のギャラリーで過ごすと、時が早く流れた
 時が砂になって、降り積もるような
 そんな、静かな、時の流れ

十月二日 
 秋光

 朝方まで降っていた雨が、ぱさんと晴れる
 その光も柔らかい
 秋が深まる


 明日からグループ展です

十月一日 
 雨幕

 テントの中で雨の音を聞く
 ぱさぱさとテントの布に音が当たると、雨の音が雨の音を大きくしているみたいだ
 雨に包まれる

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