川流れ時々日記

流れ流され書いていきます

九月二十九日 
 旅路

 伊豆に行ってきます
 時がくるくると回るように、土地がさらさらと流れるように
 旅

九月二十八日 
 声糸

 朝方、ちりりちりりと虫が鳴いていた
 その声が細い糸となって、秋を引き寄せているような
 そんなイメージが、浮かんだ

九月二十七日 
 小輪

 先日生まれたであろう小さな蜘蛛が、うちの中をもしょもしょしている
 きっとヤモリに食べられたり、小虫を食べたりするんだろう
 小さなサイクルで食物連鎖なうち

九月二十五日 
 心配

 この先何年も何年も、うさぎを描いていくだろうか
 アイデアとか、枯渇しないかな、とふと思う
 でもまぁ、何とかなるだろう、未来は未来、今の方が大事だ

九月二十一日 
 遅歩

 くたんとすごす
 それでも作るべきものがあったりする
 追われるのはいやなので、ぼちぼちで、よろしく

 今夜から、東京です

九月二十日 
 雨手

 昨日の話
 遠くで限られた地域に雨が降っているのが見えた
 他のところより濃い雲の色が、地面に向かって伸びている
 まるで大気が大地をいつくしむようで、ほっと一息、ついた

九月十九日 
 霊地

 岩手から帰る
 東北は神とか、物の怪とか、精霊の気配の濃い土地だと、改めて思う
 交じり合って、交じり合って、そんな風に生きていけたら、素敵だなぁ

九月十四日 
 同居

 小さな小さなやもりを見かけた
 動きもちょっとおぼつかないけれど、きっと家を守ってくれるに違いない
 ありがたくかわいらしい、同居人、よろしく

 明日から岩手に行ってきます

九月十三日 
 悠々

 なんだかだるい
 ぼよんとしている
 そういう時は休むに限る、ああ、自由業

九月十二日 
 変況

 同じ仕事をしていても
 周りの状況が変わることで
 転がり方変わる
 面白い

九月十一日 
 違声

 えきょえきょと鳥の声が聞こえた
 見回してみると、からすが一羽
 なんともかわいらしい声で鳴くものだ、と感心した

九月十日 
 普通

 異常気象が多いそうだ
 では通常気象とは何か?
 数字の話だろうか?経験の話だろうか?

九月九日 
 九九

 きゅ〜きゅ〜の日
 製作意外ときゅ〜きゅ〜です

九月八日 
 薄明

 夜が明ける
 お抹茶にミルクを混ぜて、抹茶オーレになるように
 薄れていく、淡くなる

九月七日 
 秋色

 ぷくりと太った芋虫がむしゃむしゃと葉っぱを食べたり
 二匹の蝶がくるくると舞っていたり
 葉っぱの色のように、秋は命の色が、濃くなる

九月六日 
 遠見

 近所の林がなくなった
 遠く遠く、見晴らしがよくなった
 悲しい

九月五日 
 光波

 高い日に照らされながら、ざぱりと波しぶきが上がる
 白く、白く
 まるで光になろうとしているかのように

九月四日 
 輪回

 高い樹の枝の上で、鳥がぽとりと糞をしていた
 天然肥料
 くるりくるりと、まわっていく

九月三日 
 繚乱

 カレンダーの四月を仕上げる
 桜の花を一つ一つと描いていく
 意外と大変、でも、楽しい

九月二日 
 整列

 日陰で子供たちがコンクリートに腰掛けていた
 一列に並んで、視線は手元のニンテンドーDSに注ぎ、無言
 電線のムクドリが静かにしているようなものだ

九月一日 
 季声

 雨と雨の合間に虫の声が聞こえた
 秋の虫
 うつろうなぁ、うつろう

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