川流れ時々日記

流れ流され書いていきます

九月三十日 
 落し物

 抜けるような空、くっきりとした遠景、砕ける大波、射すような日差し、唸る風、大きな富士、いつもより深い闇、輝く星空
 全て昨日の台風が落としていったもの
 台風の非日常性が少しだけ残った日、いろんなところに少しだけある、きらきら
 少し、いつもと違った日

 明日からは伊豆、いってきます

九月二十九日 
 一休み

 台風が日本に来ている
 静岡には深夜の十二時に来る、という話だった
 十二時を過ぎたころ、ごうごうと風がなり、雨がトタンをたたいた
 二十分ほどそれが続くと、ぴたり、とやんだ
 ほんの少し、ほんの少しだけ、台風が寄っていったようだ
 ちょっとこちらで一休み、といった感じに

九月二十八日 
 月言

 日が変わるころに携帯を見ると、いくつかのメールが届いていた
 中秋の名月、そんな単語が決まって書かれていた
 まるで月が、それを見た人たちの中にすっと入り込み、僕はきれいでしょう、みんなに僕がきれいだと教えて、とささやいたかのようだ
 月を見上げる、ああ、君はキレイだ

九月二十七日 
 夕灯

 午後に雨が上がった
 空にあった雲はゆるり、ゆるり、と次の旅へと向かい、青空がそそと顔を出す
 日が沈む一瞬、夕の灯が灯った
 もう見えない太陽からの光が覆う空、その空に散る小さな雨雲たち
 雲がやわりと光を反射し、世界を包む
 やわらかい光、やわらかい夕方、やわらかい雨上がりの夕方だった

九月二十六日 
 

 来年一月の横浜出展が決まった
 前回仲良くなった人たちも何人も出ているようで、その人たちに会えるのが楽しみだったりする
 昨日もいろんな人とつながりを持てたが、そういう人とのつながりってすごく大事だと思う今日この頃
 一度繋がった糸っていうのは、どんなに細くなって決して切れないものだと思う
 何かのはずみに太く、強く、できる
 人過ごすのは得意ではないが、人といるのは好きだ
 自分の周りの全ての人に、感謝

九月二十五日 
 夜の葉

 スノードールにてパーティーがあった
 知っている人も、知らない人も、いろんな人がいた
 人がさわさわと話している空間、そこから少しはなれて上を見上げる
 木の葉の裏に光が当たり、ひらりと輝いて見えた
 さわさわとした人の気配、夜に浮かぶ木の葉たち、ゆったりと、心が和む

九月二十四日 
 きらきら

 人はみんな、人の心に触れることのできるものを持っていると思う
 何気ない言葉や、ふとした気遣いや、温かいやさしさや、はじけるような面白さや、焦がれるような情熱や
 そんなきらきらしたものを人は持っていると思う
 自分にはそれがなかった
 みんながきらきらしたものを納めているところに、鉛のように黒く、ごろんとしたものがあった
 涙に濡れて錆びつき、嫉妬の炎で焼けただれていた
 ほんの二年ほど前、つくることをはじめた
 たったそれだけのこと、でも、とても大きなことだった
 つくるたびに、自分の胸の中の鉛が、少しづつ磨かれていった
 さびが落ち、煤が払われ、いま、少しだけ、きらりとしはじめている
 つくることに出会えてよかった、これからもつくりたい、みんなと同じきらきらをいつの間にか持っているようになるかもしれない
 ただ、ただ、今はつくっていたい、つくっていたい

九月二十三日 
 

 グループ展の打ち上げをした
 みんなでいろいろと持ち寄って、飲んで食べて、笑った
 一人暮らしをしているせいか、人と一緒に食事をすることをとても楽しく感じる
 何人もの人が笑う、それだけで、料理が美味しくなっていく
 人が人と一緒にいるということのなんとすばらしいことか
 いっぱい食べた、笑顔を調味料にして、美味かった

九月二十一日 
 雲遊び

 空にぽかりと浮かぶ雲が、ぐわりと曲がる腕のようだった
 しばらくして見上げると、ほんのりと赤に染まりながら、オムライスのようになっていた
 もう一度見上げると、大きく口をあけた真っ赤な魚がいた
 雲が形を変える、雲が色を変える
 まるで子供のようだ、空で遊ぶ子供
 遠くの空の、大きな雲、一緒に遊ぶ、友達

九月二十日 
 炎咲く

 一週間ほど前から、家の前ににょろにょろと何かが生えてきていた
 今日その緑の茎の上に真っ赤な炎がぽっと灯っていた
 彼岸花
 毅然と立つ茎の上に、悠然と開く、真っ赤な花、煌々と燃える炎
 一年の夕暮れ時、軒先に炎が灯った

九月十九日 
 いつもあるところ

 たまに、いつも見ているような何気ないところが、すごく綺麗に目に映ることがある
 街路樹の立つ道路とか、何気ない青い空とか、ぽとりと花の落ちているアスファルトとか
 ふとそこを見つめると、すぅ、っと細かい部分まで浮き上がったり、ふわりとフレームができたりする
 ああ、こんなに綺麗だったのかと驚かされる
 くるりと見回してみると、手の届くところに、素敵な景色があったりする、実は

九月十八日 
 

 久々にぼへっとすごす
 風の中に身をおいて木の葉の音を聞く
 作りたいものが沸いてくる、風、月、木の葉、体に流れ込み、形になっていく
 この手を動かして生きていきたい、何かを形作りたい
 周りにあるすべてがこの身をつくる

九月十七日 
 

 まっすぐな瞳が好きだ
 自分の夢があり、それに嘘をつくことなく、ただ、ただ、未来を見つめる
 世間がそれを否定しても、何とか足を踏ん張って、誰のためでもない自分のために
 自分の夢をかなえることをためらいたくない、自分の夢を追うことをあきらめたくない
 つらいことがあっても、泣きたいことがあっても、生きるために、夢を追う
 手を伸ばし、足を進め、まっすぐ前を見つめる
 そんな生き方が好きだ

九月十六日 
 くじら

 大きなトレーラーが横を走っている
 ゆったり、ひやりとした闇は海の水のようで
 その中にあるトレーラーはくじらのようで
 つと伸ばせば触れるような距離がなんだか無性に心地よかった
 空には星がひとつ
 ここは夜という海の底

九月十五日 
 秋降り

 空にはぺたりと雲があり、風がぴうぅと吹いている
 涼しさが降る、もう夏ではない空から、夏とは違う雲から
 時がまわる、ゆっくりと
 今日から秋にしました、そう言われたような空だった
 ゆっくりと、秋が降っていた

九月十四日 
 最終日

 R+ing展終了
 初めてのメンバーとのグループ展、なかなか楽しかった
 新しい人と出会い、仲良くなりつつ作り上げる、楽しい時
 そして終わりは物悲しい、どんなイベントでも、そう感じてしまう
 そう感じるのはそのイベントが楽しかったから、楽しい分だけ悲しくもなる
 ああ、いいグループ展だったんだな、そう思った

 今日はかなさん、太郎、柚木さんズ、松浦さんが来てくれました、そして先日遠津さんも来てくれていたようですね、ありがとうでした、そのほか見に来てくれた皆さん、ありがとうです

九月十三日 
 七日目

 豆腐の味噌汁を作る
 …うんまい、豆腐って、うまいなぁ
 先日は秋刀魚の刺身を食べた、いまとても食べ物の美味しい季節だ
 四季が巡ると食べ物もめぐる、旬のものはなんとも美味しい
 日本人でよかった、食べ物がうまいと、毎日幸せだ

 今日は石川さんが来てくれました、ありがとうです〜、パルシェは終わってしまいましたよ〜

九月十二日 
 六日目

 ギャラリーに行く途中に金魚屋さんの脇を通った
 藻のせいで緑くなった水槽の中に、何匹かの赤燈いろの金魚が沈んでいた
 目に優しく、ほわんと金魚が見える
 なんだか優しい気持ちになった、夏の終わりの、昼
 まだ少し、日差しが暑い

 今日はえんさん、はじめくんが来てくれました、オオツカさんとも久々にお会いできました、ありがとうでした〜

九月十一日 
 五日目

 悲しい、愛しい、苦しい、そんな気持ち
 人を思うのが嫌いで、人を信じるのが嫌い
 それは人を思いたいから、信じたいから
 傷つくのが怖くて、自分が傷つきたくなくて
 ずるい
 一番好きなのは自分で、でも、自分の中の一番は他の何かで
 手を伸ばしても、その先にある手は、ぎゅ、っと握ってひらかない
 届かない、届けない、この手じゃ

 今日もいろんな人が来てくれました、はじめくん、Jellyちゃん、ののさん、おおはたさん、ゆたかさん、見てくれてうれしいです、ありがとう

九月十日 
 四日目

 昼にパルシェを覗いた帰り、ふ、と見るとお気に入りのインドネシア料理屋がなくなっていた
 なぜ!
 結構お客さん入っていたように思っていたけど、美味しかったし、移転したのかな…
 いろいろ考えたが理由も結果も出るわけもない
 気に入ったものが消えていくのはやっぱり悲しい
 ただ、それも時の流れでは当たり前のことでもある
 でも、悲しい気持ちは変わらない
 せめて覚えていることにしよう、あの辛さ、あの味

 今日は画廊石上にさのさん、ちぃさん、いまいずみさん、さかいさん、YUが来てくれた、ありがとう

九月九日 
 三日目

 三日目終了後、画廊石上から帰る途中空を見上げると、明るかった
 街中で見上げると灰色に、郊外で見上げると白と紺の二色に
 なぜだか夜空がきらきらと明るかった
 少しきれいで少し楽しげな夜
 空が夜を楽しんでいるような、そんな素敵な夜の空

 昨日は市川さんがパルシェに来てくれたそうで、ありがとう
 今日は杉田君が画廊石上に来てくれた、ありがとう

九月七日 
 一日目

 台風が近づく中の一日目、合羽を着て会場へ
 大野さんと一緒に準備をし、留守番をする
 …人が来ない
 内職をしながらぼちぼちとすごす、ぼちぼちぼちぼち
 毎日新聞の取材が来ましたが、そのままぼちぼちと、終了
 今日はちぃさん、さのさん、いまいずみさん、YUが来てくれた、ありがとう

九月六日 
 いよいよ

 グループ展の第一会場の搬入が終了した
 明日は当番、朝起きなければ
 第二会場の作品もあと少し、いくぞいくぞ
 その後にもいろいろなイベントが目白押しだ
 大丈夫か?いけるか?なんとかなるか

九月四日 
 遅々

 進まない進まない
 もうすぐにグループ展だというのに思うように作品ができていかない
 いつものことながらぎりぎりだ
 大丈夫か?大丈夫なのか?

九月二日 
 秋兎

 夏のプレゼントの参加賞、秋の兎が完成
 明日増刷して送る予定
 だんだん兎のはがきの数が増えてきた
 いいプリンターを手に入れて、いい具合にプリントアウトして、ぼちぼち売り出してみたいと思う今日この頃
 グループ展の作品にも兎のはがきの集合体が出る
 うさぎうさぎ
 もっと色っぽい兎が描きたいなぁ

九月一日 
 太陽と月

 日がだんだんと短くなっている
 夕焼けが早めにやってくる、夜の入り口、月の世界
 太陽と月がシーソーに乗って、きこり、きこり、と遊んでいる
 一年に一回づつ、傾く
 今、太陽が地面を蹴った
 だんだんと、日が短くなっていく

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