めぐり、ひとひら。

キャラメルBOX 製作


誰でも好みのタイプの異性というのは存在するはずです。

例えば俺ならショートカットの娘が好きというように。


そしてここを見ているようなエロゲヲタなら、何かしら(2次元での)異性の好みというのはあるでしょう。
例えば義妹とか、メイドとか、巫女さんとか、ロリとか。

明らかに現実にはありえない設定も架空の世界にならごろごろしています。別にそれをどうこう言うつもりはありません。所詮虚構ですし。

では何を言いたいのかというと、


俺は人外キャラ萌えなんだよ (痛っ!!)

ということで。


そんな俺の前に彗星のように現れた「めぐり、ひとひら。」
ヒロイン5人中4人が人外(魂の宿った御神体、刀の精、幽霊、女神)、つまり人外率80%!!




これをやらずしてなにをやるというのですか。



そんなわけで、「めぐり、ひとひら。」レビューです。

めくるめく人外の世界へようこそ。(こう書くとなんかいやな感じ)

<ストーリー、キャラクターなど>

一風変わった絵を描く事で知られる画家である主人公。
彼の絵にはいつも不思議なものが描かれる。

そこにいるはずの無い人物。そこには無いはずのもの。だが彼にとってはそれは”見えている”のだ。

”見えざるもの”が見える自らの目を疎ましく思う彼が写生旅行で訪れた田舎町の神社「ゆかり神社」。
ふとしたことから目にしたその神社の御神体は、3年前に死んだはずの彼の義妹、こまにそっくりであった。
そしてこまの魂を宿し動き出す御神体。

東京から主人公を追いかけてきた許婚の少女こりす、死してなお「ご主人様」を探し続ける幽霊メイド千草、神社の祭神である
縁結びの女神(ゆえ)、そして全てが謎に満ちた無口な少女鏡架

ひょんなことから始まるゆかり神社での主人公と彼女達の共同生活。
それは孤独な主人公に家族の温もりを与えてくれるものだった。


そう、あの事件が起こるまでは・・・







とまあこんな感じで。
出会いを描く第1章、日常の第2章、事件の第3章、後日談かと思えば全ての真相が明かされる第4章の4章構成です。

とりあえず

共通シナリオが死ぬほど長いです。

時間にして20時間以上。
一周目プレイ時、「いつ終わるんだよこれ・・・」って感じで本気で疲れました。


3章ラスト、ED曲のボーカルなしバージョンが流れ始めたときは

「やっと終わりか・・・」

と思ったんですけどさらに4章開始、そしてエンディングまで5時間くらい。

いやぁ、あれは長すぎ。まあ今まで信じていた事が覆され真実が明らかになる4章は悪くないですが。

ちなみに、全ての鍵を握る黒幕的人物がいるのですが、その人
「冥土の土産だ」とか言ってくどくどと事の真相を語る黒幕はその余裕が仇になってやられる
という黄金パターンを踏襲してくれたのは笑えました。

いや、本当こいつ喋るんですよ長々と。
おかげで感動のラスト近くのはずが「喋りすぎ!!」なんて画面に突っ込む俺の姿がそこに。




そして共通シナリオといえば

共通シナリオのはずなのにこれはこりすシナリオですか?と言いたくなるような展開ばかりなのはいただけないですね。

他のキャラのシナリオに進んでも違いはラスト近くの少しだけなので正直主人公がこの期に及んでこりすを捨てる理由が
いまいち判りません。

いや、こりすシナリオは最高ですし、俺はこりすが好きなので別にいいんですけどね。

この辺は構成をもうちょっと工夫して欲しかったですね。


ちなみに俺は初回こりすシナリオに進んだため総計約30時間の感動ストーリーを味わうことに。

2周目以降ほとんどが既読になってしまうため1周4〜5時間で終わってしまったのはションボリですが。



そしてキャラ達。


人外といっても義妹のこまは”魂が宿って動き出した御神体”という設定なので見た目まるっきり人間です。
以前一回死んでいるというのはなかなかいない属性な気もしますが。

あまり人外という気はしません。

ちなみにかなりのブラコンです。





だが、他の3人は違います。

縁結びの女神様由(ゆえ)。
本名は結乃由姫命(むすびのゆえのひめみこと)なんか物凄く適当っぽい名前ですがまぁ気にしないであげましょう。

ところで貴方は神社に祭られた縁結びの神様と聞いてどんなのを予想しますか?
まぁおだやかなで気品のある大人の女性といったところでしょうか。


しかしこいつは

ピンク髪
身長約80cm(他のキャラは太もも程度までなのに直立した状態で頭からつま先までが画面に入る)
口調だけ尊大
超ロリ体型


こいつにご利益があるとはどう見ても思えません




そして幽霊メイド千草。

なんたって幽霊ですから
呼べば即登場
壁抜けなんて当たり前
息白くならないし(演出で屋外シーンのとき人間キャラは白い息を吐きます)

この人の「うふふ〜ご主人様〜」「いい子、いい子」「ふきふき〜」等の台詞では声優さんの演技があまりにもはまりすぎていて
俺はモニターの前でニヤニヤしながら一人悶え苦しんでいたのは秘密です。



人外最後の一人刀の精の鏡架。

普段は人間の姿なのですけど、某キャラのシナリオで折られてた(本体の刀が)のにはびっくり。
あと、千草エンドでの扱いは双方にとってひどいと思うのは俺だけでしょうか。

この人、最初は超ぼそぼそ声でなに言ってるか判らない位の音量で喋るのですが、シナリオが進むにつれだんだんと普通に喋るように
なっていくのは良かったですね。

エンディングのあれは反則。






とりあえず人外好きとしては千草さんにかなりノックアウトされました。「うふふ〜ご主人様〜」最高。


まあこんなとこですか、ってあ一人忘れてるや。


そうそう、唯一の人間キャラこりす嬢がいました。

この人は本当に不憫です。

暇さえあれば妹の事ばかり考えている真性のシスコン(しかもヘタレ)の主人公に惚れたばっかりに
いろいろ苦労することになるのですから。

あまりの健気さにそれに応えようとしない主人公に怒りがこみ上げてきましたよ。

この主人公ナチュラルにシスコンですからね。妹のことばかり考えてるんだけどそれが不思議と不自然に感じられないという。
正直「死んだ妹の代わり扱いでもいい」とか言ってこの男に尽くす心境がわかりません。

が、こりすシナリオではそれが報われるためかなり気分がいいです。主人公もこの時だけはヘタレじゃないですし。


まぁストーリー・キャラクターはこんなところでしょう。

(クリア後のおまけモードでのスタッフコメント、シナリオライターの項を読んで)














裏設定ではこりすも人外だってぇ!!

人外率100%かよ。

<システムとか>

普通のノベル形式かと。
前の選択肢に戻る(5個までさかのぼれる)という機能があったのは良かったです。

あと、設定画面での項目がとても少ないのですが、レジストリを編集する事によりかなり詳細な設定が可能になります。


ちなみにこれ、マニュアルに載っていません。(おまけモードのスタッフコメント、プログラマーの項で説明あり)
デバッグが面倒くさかったからこんな仕様にしたんじゃないのかと疑うことしきりです。

別にゲーム本編にバグは見当たりませんし誤字脱字も少ないのでいいんですけどね。

<総括>

テキストのレベルは台詞回し、地の文ともにそれなりで、ストーリ自体も普通の感動ストーリーといった感じで良作の予感はするのですが、
いかんせんほとんど一本道(しかもその共通部分がかなりこりすシナリオ寄り)という構成上の難点が全体のレベルを下げているように感じます。

せめて4章は各キャラごとの個別シナリオにするとか工夫の仕様はあったと思うのですがね・・・

地雷ではないのですが、今一歩何かが足りないという印象でした。