ケロQ 製作
「モエかん」
いかにも頭の悪そうなタイトルです。絵柄もいかにもなもの。
俺はどうせシナリオなんて無いに等しいただの萌えゲーだろうと思っていました。
しかし巡回先サイトのレビューで、
前半は萌えゲー、後半は燃えゲー
であるとの情報を仕入れ、俄然プレイ意欲が湧いた俺は気が付いたら「モエかん」を購入していました。
さて、内容は期待どうりのものだったのでしょうか?
そんなわけでモエかんレビューです。
時は21世紀半ば(だと思われる)、企業国家”萌えっ娘カンパニー”が席巻する世界。
カンパニーの戦闘メイド最終訓練所 南南部諸島第2563号島(通称萌えっ娘島)に、前世紀の
型遅れメイドアンドロイド「リニア」が配属される事になる。
カンパニーにしては不自然なその命令に疑問を抱きつつも、彼女を受け入れる訓練所所長である主人公。
だが、それは世界を揺るがす陰謀の始まりであった・・・
重厚なオープニング、それに続く主人公とライバルとの皮肉の応酬など、萌えとはあまりにも無関係に物語は始まります。
が、少し経てば文句なしの萌えゲーに。
絵は普通にかわいらしい絵柄ですし、CG枚数も多めだと思います。
ヒロインたちの紹介でも。
ボケボケなメイドアンドロイド リニア。
萌えっ娘島の図書館司書メイド 実相時 冬葉。
主人公の護衛&監視役としてカンパニーから派遣されてきた戦闘メイドの 朝霧 かずさ。
夜な夜な訓練所の館の中を徘徊する正体不明の少女 鈴希。
主人公を補佐する有能な秘書 霧島 香織。
なんたって舞台は絶海の孤島のメイド訓練所ですから基本的に
島にいる女性は全員メイド
というある種の嗜好を持ったおおきなおともだちなら悶絶必至の状況です。
日常のドタバタ劇&ギャグはなかなかです。
メイド達に囲まれての楽しい日常劇が前半は繰り広げられます。
そして主人公 神埼 貴広。
以前はカンパニーの特殊部隊PIXIESを率い、「漆黒の神崎」として恐れられたが、左遷され、
萌えっ娘島のメイド訓練所所長を務める事になっている彼。
このプロフィールからどんな男が想像できますか?
クールな2枚目の大人の男性ってとこでしょうか。俺も最初はそう思っていたんですがプレイするうち
こいつバカ(褒め言葉)
と思うことに。
例えば図書室でのヒロインの一人 実相時 冬葉との出会いのシーン。
仕事で島の図書館にやってきた彼は、居眠りしている冬葉を見つけます。
(ゲーム内の選択肢)
・そのままにしてやる
・ムカついてきたのでたたき起こす
・むにゅむにゅ
上二つは判るがむにゅむにゅって何だよ!!思いつつ「むにゅむにゅ」選択。
主人公(地獄を見せてやるぞ・・・下級社員め)
冬葉の頬をこねくり回したり鼻をつまんだりしていたずらをする主人公。だが冬葉は起きない。
(中略)
主人公「俺の攻撃を全て受けきるとはな、ならば、この技はどうだ!!」
おもむろに冬葉の胸を揉みだす主人公。だが冬葉は起きない。
(中略)
なおも起きない冬葉。
主人公「仕方が無い、この罰で許してやるぞ・・・」
冬葉の服を脱がせ始める主人公。
主人公「ここのメイド服の構造は熟知している」
お前それ誇らしげに言うことじゃないから。
最終的に寝たままの冬葉を半裸にしての主人公の一言。
「これを、いたずらと呼べるのかどうか、俺自身判断のつかないところまで来てしまったな・・・
ただの痴漢行為にも見えないこともないし・・・
いたずらのような気もするし・・・」
いやお前それ普通に痴漢だって。
主人公「くそ、めんどくさい。なまじっかパンティなんてあるからいけないんだ!!!
そうだ、パンティなんて脱がしてしまおう」
どういう思考回路をしていたらそういう結論が出るのか俺にはさっぱりわかりません。
とまあクールとは程遠い男です。ていうかバカです。
他にも愛読書が江戸川乱歩の少年探偵団シリーズだったり等行動がかなり笑えます。
設定的には立派な大人の男のはずなんですけどね。
主人公のバカさとあいまって前半は明るいストーリーが進むことに。
が、それだけでは終わりません。
様々な要因が噛み合い、結果的に萌えっ娘カンパニーを敵に回す事になり、カンパニーの私設軍隊と
壮絶なバトルを繰り広げる事になる後半。
前半のバカな行動はどこへやら、愛する人を守るために全てを敵に回してでも戦おうとする
主人公は正直格好いいです。強いし。
主人公の島のメイドに対するスタンスが、「カンパニーから預かった大事な商品」というものなので
何があろうと彼女達を守ろうとするその姿勢は、こういったシチュエーションだと(メイドだらけの島)
調教とかそういう方向に走りがちなエロゲーの世界では結構珍しいのではないでしょうか。
戦闘シーン描写は激燃え。リニアシナリオ終盤、かつての能力を完全に取り戻した主人公と
カンパニーとの戦いは素晴らしかったです。
シナリオによって銃撃戦あり、素手での格闘あり、剣での斬り合いありと燃えさせてくれます。
結構凄惨なシーンも展開されるのでそういうのが苦手な人にとっては要注意ですかね。
また、選択によっては(俺は未プレイですが)後半鬼畜ルートが存在するキャラもいます。
難点としてはシナリオによってちょっとレベルの差があることですかね。
戦闘シーンの燃え度
リニア>>かずさ>>>>>>鈴希>>>>>>>>>>>>>>>>>>冬葉=霧島
シナリオのレベル
リニア>>冬葉>>>>>>>>>>>>>>かずさ=鈴希>>>>>>>>霧島
つまりはリニア最高。俺の場合これを最初にやってしまったのは失敗でしたね。
霧島シナリオの評価が低いのはやっててよく分からなかったからです。
俺の頭が足りないのかもしれませんが。
(というかこのゲーム、膨大な裏設定が存在するようで、それが明かされないため)
あと、クリア後に各ヒロインのおまけシナリオが読めるのですが、そこでの主人公の
あまりの鬼畜っぷりに正直引きます。
純愛エンドで感動したあとすぐにそれを読むを計り知れないダメージを受けるので注意しましょう(笑
頼むから、洗濯バサミとか、ピアスとか、痛そうなのは止めてよ、と思いましたね。
また、会話文はそれなりなのですが地の文のレベルがいまいちです。
3点リーダー(「・・・」の事)を多用しすぎかと。時間の経過をいつも(・・・)で表されるのはうんざりでした。
そういうところの描写をきちんと出来るか出来ないかでライターの腕が良く判りますね・・・
「吸血殲鬼ヴェドゴニア」をプレイしてニトロプラスのシナリオの内容はどうあれ質の高い文章に触れた直後に
このゲームをプレイしたため余計にギャップが目立ったのかも知れません。
共通ルートがかなり長いのですが、それであの既読スキップの遅さは問題かと。
既読スキップをするまで2段階踏まなければいけないのもちょっと使いづらいですね。
クイックセーブ&ロードは選択肢が多いので結構役に立ちました。
緊急回避機能(ボタンを押すとダミー画面に切り替え)というよく分からないものがついていますが
これはどうだかなぁ・・・。
他に特筆すべき事は無かったように思います。(ただ忘れているだけかもしれません)
萌えと燃えを兼ね備えた逸品。絵は万人受けしそうな絵柄ですし、戦闘シーンに抵抗が無ければ
やってみて損は無いかと。あとメイド萌えの人も是非。
普通の格好をしている女性は霧島だけで後は女全員メイド服(サブキャラ含む)ですからね。
地の文のレベルが低いとかけなしてますが、エロゲとしてみれば標準かと。
真性の活字中毒者な俺の要求するレベルが高いだけですので。