School Days

Overflow 製作


事前情報を見る限りでは生ぬるい三角関係の繰り広げられる純愛ゲームだと思い、全くもって気に留めていなかったこの「SchoolDays」
しかし発売後「三角関係のもつれで刃傷沙汰」「鬱エンドばっかり」等々の俺の心の琴線に触れるキーワードが頻出し、更にとんでもない邪悪ヒロインが居ると聞いてついに購入決定となりました。
さて、そこに待っていたのは果たして俺の期待に応えることが出来る作品だったのでしょうか?

というわけでSchool Daysレビューです。

<ストーリー>

〜好きな子を携帯の待ち受け画面にして、3週間隠し通したら想いが叶うんだって〜

主人公『伊藤 誠(いとう まこと)』が、隣のクラスの『桂 言葉(かつら ことのは)』を見つけたのは2学期の始めだった。
彼女は、同じ沿線から通っていて、いつも同じ時刻の電車に乗り、本を読む。
それに気が付いてから、誠は、単調な毎日の通学が少しだけ楽しみになった。

別に付き合いたいとか、気づいて欲しいわけじゃない。
遠くから眺めていられるだけで、その日がちょっとはマシになるような気がしたんだ。
流行のおまじないなんか信じているわけじゃないけど…

ある日、隣の席になった『西園寺 世界(さいおんじ せかい)』に待ち受け画面に映った言葉の写真を見られ、察しのいい彼女は誠の密かな想いを知る事になる。

誰にも言わないと約束させる傍ら、突然応援されることになった誠。
それは何か作戦じみていて、平凡で曇った毎日がとたん鮮明な色を持ち始めた。

始めは強引に誘われた3人のランチタイムから。
次第に打ち解け誠と言葉が急接近する中、世界は物思いにふけることが多くなった。

夕焼けのホームで、初めてデートに誘った言葉を待つ誠。
そこに、学校帰りの世界がやってくる。
順調に進んだ作戦、誠は世界に感謝しなんでもお礼をすると約束した。

「それじゃぁ……」 世界の突然のキス。

呆然としたままホームで立ちすくむ誠。
電車の中、世界の手にした携帯には誠の写真の待ち受け画面。
委員会が終わり、嬉しそうな表情で駅へと急ぐ言葉。
三者三様の表情で物語が始まる。
(オフィシャルサイトより引用)




……うーん、青春ですねぇ。友情と恋愛の狭間に揺れるってか。
内情は全くそんなことのない昼メロ的愛憎劇なんですけど。
1話を見た時点ではまさかあそこまでドロドロの修羅場が繰り広げられる物語が始まるとはとても思えなかったです。

「リアル」と言うには行動が突飛すぎて少々語弊がありますが、エロゲ的お約束人物像をことごとく裏返したかのような黒い人物造型はあえてそういう道に走ったことを含め見事の一言。

このゲームには女の子からあからさまに好意を寄せられてもそれに気付かない鈍感な主人公や、三角関係におちいって自分ではない相手が選ばれたら潔く身を引くヒロイン、世間知らずで純真、一心に主人公のことだけを見てくれるヒロインなんてものは存在しません。

代わりに居るのはちょっと好意を寄せられると嫌がられてるのに無理やり迫っちゃう(そして拒絶されると別の女に走る)主人公と、あきらめるあきらめる言いながらライバルから寝取る気満々だったり「純粋で一途」と言うより単なるストーカーなヒロイン達。
他にもあるキャラが「男に媚ばっかり売ってるウザイ奴」なんて言って別のキャラをいじめていたりといった一般的エロゲのテンプレからは外れまくった人間ばかりです。

そんな頭のネジが1本、というか10本くらい緩い奴らばかりなのでとにかく皆が修羅場を自ら作り出す方に作り出す方に動くため、すっきりと後味よく物語が終わりを迎えることなどはっきり言って皆無。
刃傷沙汰からハッピーエンド、3P孕ませまで20種類弱のエンディングがありますが全く後腐れのないように思えるのが3P孕ませエンド(世界と言葉の両方と付き合う)しかないのは正直どうよ。

普通のハッピーエンドのように見える結末も人間関係が完全に清算されていないためエンディングからしばらくしたらバッドエンドor死人が出るエンドへまっしぐらなこと間違いなし。
むしろ普通に振られるエンドから、死人の出るエンド(主人公とメインヒロイン2人に死亡エンドがひとつずつあると言う念の入れよう)まで用意されているバッドエンドたちのほうがよほど気合が入っています。
発売直後にネット上でさんざん話題になった「鮮血の結末」のエンディングテーマの入り方には鳥肌が立ちましたよ。そしてエンディングの内容にも鳥肌が立ちました。

まぁ、あんな優柔不断主人公と頭のネジが外れがちなヒロイン達では普通に三角関係を清算できるはずがないのである意味これは必然ともいえるのですけど。


ここまで見ていると単なる嫌な話みたいですし、それは確かに間違っていないのですがそれだけではありません。

主人公にもヒロインにも感情移入しづらいので我がことのように楽しむというのは無理ですが(ていうかこんな学園生活は嫌だ)、ドラマを見るようにドロドロ愛憎劇を第三者視点から見る話だと割り切れば無問題。
自分の欲望に正直な登場人物たちが繰り広げる物語は、お世辞にも「楽しい」お話だとはとてもいえませんがそれゆえの魅力があることも確かです。


そしてその魅力を盛り立てるのはやたら豊富な分岐パターン。
まるでTVアニメのように歌付きのオープニング、エンディングで区切られた全6話構成で、各話ごとに世界寄りか言葉寄りかによって分岐するため最終話(第6話)までの行きかたは40ルート弱にものぼります。
さらに世界or言葉のどちらかを選んだルートだけでなく、それ以外のサブヒロインとも(各キャラひとつだけとはいえ)エンディングがあったりと分岐パターンの多さは見事。
1つのエピソードの間でも最終的な結果(世界or言葉寄り)とは別に選択肢の選び方によって分岐したりと相当なボリュームがあります。
毎回毎回新しい展開を見れるためエンディングを回収するための繰り返しプレイがあまり苦になりませんでした。

これが上述のオープニング、エンディングが入るタイミングがなかなか秀逸なのとあいまって、「先を見たい」と言う気持ちにさせてくれる構成になっています。
特に仕掛けがあるとか伏線が凄いとかそういうわけではないのに途中でプレイを止める気になれないのは流石かと。

いつもマルチエンド型のギャルゲー・エロゲーをやると1キャラクリアするたびに(または一つエンディングを見るたびに)疲れてすぐに再プレイする気が起きない俺がぶっ続けでやる気になった久しぶりのゲームでした。


しかしこの分岐の多さはまた欠点でもあり、行ったことのない場所に行ったことになっていたりやったことのない事をした事になっているなど序の口、場合によっては整合性など何処吹く風な矛盾だらけの展開になってしまうことも。
最新のパッチを当てればかなり改善されるようですが、攻略サイトと首っ引きで矛盾の無いように注意してルートを選んだ俺はともかくとして自力のみで攻略している人にはなかなか厳しいのではないかと思いました。

そこまでのルートで言葉寄りに進んでいたのに、突然世界と半同棲してるルートに進んでしまったときにはあまりの整合性のなさに開いた口がふさがりませんでしたよ。フラグ管理のミスどころじゃないですアレ。

<キャラクター>

伊藤 誠

主人公。甘いマスクと穏やかな物腰、そしてHの上手さでSchool Daysの世界に君臨する最強のプレイボーイ。
黙っていても女の子が寄ってくるその様はまさに天性としか言いようがありません。
彼女に弁当作ってこさせて「うん、これなら及第点だね」なんてぬかせるくらい料理が出来るのはもちろん普通にババロアが作れたりと何気に家庭的だったりする所も多分チャームポイント。

そして、
究極のへたれ

お前の「本当に好きな人」っていうのは「Hさせてくれる娘」の間違いじゃねぇかと。
「俺が本当に好きなのは○○(任意のヒロイン名)なんだ!!」なんて最後の最後、それこそエンディング直前で言うべき台詞をお前は序盤〜中盤で言うなと。

他にもプレイヤーの意思を無視して勝手に彼女に別れを告げる等々の素敵すぎる行動を連発。
ここまで感情移入が出来ない主人公は初めてでした。

むしろ選択肢で行動を制御しようとしても嫌な方嫌な方に行動がそれるので、選択肢は分岐を見るためのものと割り切り神の視点からこの男の行動を眺める話だと思わないとやっていられません。
俺は途中から「決定的な選択を迫られたら先送り」(このゲームには選択肢を選ばないでほうっておくという「選択肢の選び方」があります)「とりあえず女の子には常に優しくしておく」「彼女以外の女の子から体を使って迫られたら流されて抱いちゃう」等の「この場面でこのヘタレ野郎だったらこうするはず」と言う選択肢の選び方をして案の定彼がドツボにはまっていく様をニヤニヤしながら眺めると言う屈折した楽しみ方をしていました。


以下ヒロイン達。紹介の力の入れ方が違うのは俺の思い入れの差だと思ってください。

桂 言葉

メインヒロインその一。容姿端麗、プロポーション抜群、実家は大金持ちと言う文句なしのお嬢様。
毎朝の通学電車で自分の事を見ているように思える主人公の事を微妙に意識しており、世界の仲介もあって主人公と付き合い出すことになる。
人目を引く容姿から男性恐怖症の気があり、時には主人公の積極的なアプローチに拒否反応を示してしまうことも……


腹黒い登場人物ばかりの中で、典型的エロゲヒロインな性格付けな彼女。
内気で純情、一途に主人公の事を愛してくれるけど主人公に手を握られただけでも恥ずかしがって逃げてしまう、そんな彼女に心惹かれるプレイヤーも多いのではないかと。

しかしそんな人がこのゲームの世界で無事で居られるはずがありません。
主人公は「ちょっと触っただけでこれだもんな」なんてほざいてHさせてくれる世界に走るし、内気で純情と言うのは悪く言えばコミュニケーション能力0のためクラスの女子からは「男に媚ばっかり売ってるウザイ奴」なんて言われていじめらることに。
「こんな奴現実にいねーよ」と言われがちなエロゲヒロイン達がもし現実に居たらこんな目に合う、と言うのを極端に誇張して描いたのが言葉の境遇なのではないかと。

そしてこの程度でへこたれないのが「言葉様」とまで言われる彼女の真価。
一度主人公と付き合ったと言う事実を盲信し、

主人公から別れを告げられようが、主人公と世界がキスしているところに鉢合わせしてしまおうが、たとえ主人公と世界がHしている現場を押さえようが言葉が主人公と付き合うことを快く思わない女子連中にけしかけられた男子からレイプされようが不死鳥のように蘇ってきて

「誠君は私の彼氏ですから」

それは「純粋で一途」と言うより「単なるストーカー」じゃないかと突っ込みたくなってくる終盤の行動はまさに圧巻。
主人公が世界とよろしくやった後家に帰ってきたら夜中なのにドアの前で待ってるとか普通に怖かったです。

他にも、

・主人公「俺、○○のことが好きなんだ」 言葉「それは、ちょっと魔が差して……
・(恋敵に対して)「誠君は○○さんの思っているような人じゃないんです!!本当は私のこと好きなんです!!
・言葉「誠君、いま○○さんに誘惑されてどうかしているだけなんです」 主人公「違う!!俺はずっと○○のことが……」 言葉「そう思い込まされているだけです、○○さんに」(○○は言葉以外のヒロイン名)

等々の頭のおかしい論理を駆使して迫ってくる様にはお前人の話聞けよと言いたいです。
別れ話を「ちょっと魔が差して…」で片付けるのは並の神経では出来ないよ。アレはもう笑うしかないです。

そんな彼女もいつかは現実を思い知ることになるわけで、そのときこそ壊れ系ヒロインの真骨頂。
何が起こるのか?それは自らの目でぜひ確認してください。

……ちなみに普通に主人公とくっつくハッピーエンドも一応ありますが、あまりにも薄っぺらい「とりあえず救済してみました」という感じのものばかり。
あんな人が普通に幸せになれるはずなんてないってことですか?

西園寺 世界

メインヒロインその2。明るい(小うるさいとも言う)クラスのムードメーカー。
友人も多く、男子からの人気も上々。主人公とは席替えで隣同士になったことから親しくなるが、実は以前からずっと主人公のことが好きだった。
自らの想いを押し殺し、言葉と主人公を付き合わせようと画策するのだが……


あくまでもエロゲの枠内ではありますが、言葉とは正反対の「リアルな女の子(ちょっと貞操観念軽め)」
前からずっと好きだったことを押し隠して主人公と言葉を付き合わせようとし、でも主人公が自分の事を見てくれるようになると気持ちを抑えきれなくなってしまう恋する女の子。
とにかく「誠君は私の彼氏ですから」に凝り固まっている言葉よりある意味では可愛げが有るとも言えますね。

が、それだけで済まないのがこのゲームのキャラクター達、表面上は言葉と付き合っている主人公とあたかもセックスフレンドのような関係をずるずると続けることによって既成事実を積み上げて寝取ろうとしたり、自分の友人を利用して間接的に言葉へのいじめがエスカレートするよう仕向けたり、「私、桂さん(言葉)と友達になっちゃった!」なんて主人公には言っているくせに行動を見る限りではちっとも友達だと思っていなさそうだったり黒さも十分


しかし自分は直接的ダメージに弱く、ちょっとショックなことがあるとすぐ家に引き篭もって泣いてばかりだったり。

こんな人なので言葉と主人公を巡って直接的に争うシーンはほとんどないのですが、数少ないそういったシーンで完膚なきまでの正論or上記のような頭のおかしい論理を淡々と述べる言葉に毎回言い負かされてるのはある意味見物です。

加藤 乙女

主人公の中学時代からの友人。進学してからは部活に忙しくて主人公とは疎遠になっている。
実は中学時代からずっと主人公のことが好きだが、気持ちに気付いてもらえずやきもきしている。
また、言葉をいじめるグループのリーダー格でもある。


主人公の前では純情な恋する乙女、言葉の前では冷酷ないじめっ子。
この2面性がまったく違和感なく発揮されているのは本気で凄いです。豹変とかそういうのではなく全く普通。
軽くおかしい人な言葉やうじうじしてばかりの世界と違って正統派「エロゲ的恋する女の子」してるんですけどいじめモードが全てをぶち壊しにしていますね。

いや、あの性格付けなら言葉を嫌うのはむしろ当然なのでキャラ立てとしては上手いんですけど。

黒田 光

主人公のクラスメイトで世界の友人。
世界と主人公が付き合っていると思っており、それを快く思わない彼女から主人公への風当たりはきつい。
鋭いツッコミの冴える元気娘。


そしてちょっとバカ(笑)
黒いキャラたちの中で裏表のない彼女のツッコミは一服の清涼剤なのですが、光エンド(ちゃんと存在します)の展開を見る限り少々頭足りないんじゃないかと。
あそこで主人公の口車に乗せられるとか本当ありえないから。

甘露路 七海

主人公のクラスメイトで世界の友人。サバサバした性格のスポーツ少女で、乙女と同じバスケ部に所属。
言葉と同じ中学出身だが、「とろい上に空気読めない」といって嫌っている。


うじうじしがちな世界を元気付けるきっぷのいい姉御肌とで言うべきの彼女。
普通なら「主人公のいい友人」で済んでしまうところですがそれだけでは終わらないわけで、世界と主人公が付き合っていると誤解した彼女はそれを横からかっさらおうとしている男受けばっかりいいフェロモン女(主観)の言葉にたいしてきつく当たることに。
そして唯一主人公の毒牙(笑)にかからない人。


あと、彼氏がコテコテのオタクというあまり生かされていない設定があったり。
彼氏との兄妹プレイを盗撮されるというシーンがあるのですが、正直エロいというより痛々しかったです。

清浦 刹那

主人公のクラスのクラス委員のちびっ娘。基本的に無口だが、口を開けば的を射た一言を放つ。
世界とは幼馴染で、言葉を交わさなくても分かり合えるほどの間柄。
実は以前から主人公のことが(略  俺もうこの文章書きたくないよ(泣)


人呼んでSchoolDays唯一の良心
目的のためには手段を選ばないという点では十分えげつないのですが、そもそも行動に目的があるのかどうか不明な奴(主人公)や既に失われた目的を無駄に追い求める奴(言葉)、いまいち行動に思い切りが足りなくて状況を悪化させていく奴(世界)をさんざん見ていると刹那がやたら素晴らしく見えてくるんですよね。

自分の行動がもたらす結果を正確に予想し、目的を達成するために最適の手段を取ることができる人物というのが見ていてこれほど気持ちいいとは思いませんでしたよ。

……他がツッコミどころ満載な行動を取りすぎなだけなんですけど。

澤永 泰介

主人公の友人(男)バカ

言葉寄りのルートで進んだときは愛すべきバカという感じでまだ許せるのですが、世界寄りのルートに進んだときのこいつの行動には真剣に殺意が
……とりあえず俺に寝取られ属性はないみたいです。

<グラフィック・音楽>

「TVアニメ70話相当の大ボリュームで送るノンストップアニメーションアドベンチャー」の売り文句の通り本編は全てアニメで進行。
明らかに手を抜いたのがわかるシーン(電車内で他の乗客を描かない等)、動きの少ないロングショットや口パクのみで済ませているシーンなどもあり売り文句どおりかどうかは少々疑問ですが、作画は基本的にまともなので見ていられないというほどのものでもなし。
70話相当と言っているのは時間だけであって、実際のデータ量ではそれよりはるかに少ないのではないかと思えるくらい動きが少ないのは少々気になりましたが。
絵自体は癖のないヲタ万人に受け入れやすいものかと思います。


音楽について言えば、普段は基本的に効果音程度しか流れず、重要なシーンでのみ流れるのですが台詞の聞き取りやすさを重視しているのか少々音量が小さいのであまり印象には残りませんでした。
しかし各話ごとのOP、EDムービー、劇中の挿入歌と最終話後のスタッフロールで流れるボーカル曲はそんなことがどうでも良くなってくるぐらいのクオリティ。
KIRIKO、栗林みな実、桃井はるこ、yozuca*、橋本みゆき、いとうかなこ、rino、YURIAというこの手の歌手にあまり詳しくない俺でも聞いたことがあるような人たちを複数そろえた布陣は凄いです。

曲自体もポップな曲から切ない曲、荘厳な曲まで取り揃えており、場面との親和性も十分。
特に死人が出るエンディングのときに流れる「悲しみの向こうへ」(いとうかなこ)の、まるでこれがトゥルーエンドだとでも言いたげなやたら厳粛な曲調にはたまげました。

<システム>

インストール容量7.6GB、ディスクレスプレイ不可。そして箱を見てもマニュアルを見ても何処にもインストール容量が書いていないのはどういうことよ。
バグも多く、発売直後の状態ではとてもプレイできたものではない状態だった人もいたようです。
二次出荷版に最新のパッチを当てれば結構安定して動作しましたが、それでもたまに落ちました。

フルアニメーションということもあり、要求スペックが最低でPentium4 1GHz・RAM256MB以上・VRAM64MB以上とかなり高いです。
俺の場合CPUが水準ぎりぎりだったものの、メモリを768MBも積んでいるのとBIOSいじって無理やりVRAMの割り当てを64MBまで引き上げているので特に問題なく動作。
一部の大量に描画を行なうシーンで多少コマ落ちするだけでした。

とにかく普通にプレイするまでの敷居が高いゲームと言えますね。


ゲーム内のシステムは早送り(2,3,4倍速から選択可)、一時停止、数十秒戻る(最新のパッチを当てた場合のみ可能)等の最小限の機能しかありません。
セーブは100箇所可能ですが第何話でセーブしたか表示されるのみでコメントが付けられないため、膨大な分岐パターンを誇る本作の攻略用としては少々辛いものがあります。
本気で全てのルートを見ようと思ったら攻略サイト+どのセーブデータがどのルートの何話かの記録は必須です。
俺は必死でメモを付けていました。

また、普通内部パラメーターとして扱われる「好感度」が明示的に表示されているのも特徴かと。
画面上部に左右両端が言葉と世界になったゲージがあり、選択肢の選び方によって中立(ゲージの真ん中)から左右に目盛りが移動。現在自分がどちら寄りのルートを進んでいるか確認が可能です。
……ひたすら片方のヒロイン寄りの選択肢を選んでいって目盛りが完全にゲージの端に行ったのに、主人公が勝手に別の女に走ってゲージが中立に戻るなんて事もあるので安心はできませんけど。

<総括>

死人が出るエンドの存在といったエキセントリックな部分ばかり注目されがちですが、見事なまでに腹黒くて自分の欲望に正直な(そして少々頭悪め)登場人物たちの織り成すドラマもなかなかな作品でした。

相手への執着心や、その裏返しである嫉妬といった恋愛の負の部分をこれでもかというばかりにクローズアップしたストーリーは黒いの一言。

まるで性欲のないかのような鈍感主人公と、物分りが良くて心優しく主人公のことだけ見ていてくれるヒロインで構成されたエロゲワールドに食傷気味の方にはよろしいかと。
凡百のエロゲには到達できない世界があなたを満たしてくれることでしょう。

……それ以外の人には全くもってお勧めできませんけど。