BALDR FORCE EXE

戯画 製作


偏遊記のラインナップを見るといつもノベルやADV形式のゲームばっかりやっていそうな俺ですが、けしてアクションゲームが嫌いと言う訳ではありません。
実は結構好きだったりします。下手の横好きですが

このBALDR FORCE EXE は、エロゲーの世界では珍しいアクション+ADVと言う作品。
前々からやりたいとは思っていたのですが、ちょうどよくPC用ゲームパッドを手に入れたこともあり購入へ。


で、アクション下手な俺はどんな末路をたどったのでしょう?

と言う訳で BALDR FORCE EXE レビューです。

ちなみにこれは以前発売された BALDR FORCE に本編のボスキャラ数体と同時といった特殊なシチュエーションで戦闘パートを楽しめるヘルモードなどを追加したものなのですが、本編の内容自体は BALDR FORCE と全く同一なので同列に扱っていいようです。






それにしても、方向キーの押し過ぎで左手の親指が痛いなぁ

<ストーリー>

コンピューターネットワークの極度に発達した近未来。

主人公相馬 透は、ハッキングチーム ”草原の狼(ステッペンウルフ)”を友人達とともに結成し面白半分でハッキングを繰り返す毎日を送っていた。

しかし、そんな生活が永遠に続くはずもない。

”草原の狼”のリーダーであり主人公の親友でもある野々村 優哉の突然のチームも解散宣言。
動揺するメンバー達だったが、最終的には優哉の意向を尊重することになる。

が、同じく”草原の狼”のメンバーであり主人公の幼馴染である笹桐 月菜の「解散記念に何か大きなことをしよう」と言う一言に賛成した彼らは最後のハッキングとして軍のデータベースを相手に選ぶことにした。。

どこからか流出したセキュリティホールの情報を元に軍のデータベースに無事侵入。
”草原の狼”のチームサインを残し立ち去ろうとしたその瞬間だった。

周り中で始まる戦闘。なんと彼らはテロリスト”飛刀(フェタオ)”と軍との戦闘に巻き込まれてしまったのだ。
ほうほうの体で逃げ道を探し必死で脱出を図る主人公と優哉の前に現れる2対のシュミクラム(仮想空間内での戦闘ユニット)。

軍のものとテロリストのものだと思われるそれらの戦闘に巻き込まれ優哉は死亡、主人公もハッキングが発覚し逮捕。
最悪の形で解散を向かえる”草原の狼”。


警察で事情聴取を受ける中で軍から入隊の誘いを受ける主人公。

優哉の仇を討つためと自分を納得させ親友の仇が所属するはずの軍に入隊する主人公を待つのは巨大な陰謀であった・・・










てな感じで。
ちなみに世界観というか世界設定はバリバリの3流サイバーパンク(褒め言葉)です。
日本語に適当にカタカナルビ振っとけばいいや(「没入」に「ダイブ」、「粗雑」に「クルード」とか)って感じの投げやりのテキストも(ある意味)最高。


・・・こうして書くと褒めてるのかけなしてるのか良く分かりませんがシナリオの出来自体はいいです。
攻略順が固定されており、(多少自由度はありますが)それによって発生する「プレイヤーはそれまでにクリアしたシナリオの内容を覚えている&そのシナリオ以前にクリアしたシナリオが確定している」と言うことを見事に生かした伏線の張り方は素晴らしいです。

あるシナリオで本筋を離れたちょっとしたことが次では重要な伏線になっていたり、逆に重大に扱われていたことがその後でちょっとした小ネタになってたり。
ストーリー全体を貫く大きな謎があるのですが、次第にそれが明かされていくくだりはなかなか秀逸で後半になればなるほど盛り上がりますね。


逆に言うと核心にあまり触れない前半はいまいちなんですが。

<キャラクター>

相馬 透

主人公。凄腕のハッカーらしいです。
復讐復讐とうるさい序盤ははっきり言ってガキですが、話が進むにつれてそれなりに大人になってくれるのでよし。

燃える台詞、と言うより行動が燃えます。
月菜シナリオでの「ヒロインを救い出すため敵の本拠地に単身突入」とかリャンシナリオでの「敵に捕まってしまったものの、『俺を倒せば見逃してやる』と言われ一騎打ち(サポートはヒロイン)」とか。
そしてアクションパートで奮闘するのはプレイヤーたる俺自身なため感情移入度は抜群でした。



あと、普段は朴念仁のくせにHシーンだけエロ親父化というのはエロゲーの主人公さんたちに良く見られる現象ですが(笑)、こいつの場合その度合いが半端じゃなさ過ぎてもう笑うしかないです。

まいどまいど「今回はどんなことをしでかしてくれるんだろ?」ある意味楽しみでした。




以下ヒロインズ。

瀬川 みのり

軍に入隊した主人公のサポートを勤めるオペレーター。眼鏡っ娘なお嬢様。
過去のトラウマから軍へ入隊することへ。


・・・ごめんなさいこれくらいしか書くことないんですけど。
みのりシナリオは恐らく最初にクリアすることになるためストーリーの核心に全く触れないまま終わってしまうんですよ。
登場人物も少ないし。

個人的にはありふれすぎててつまらないグッドエンドよりも最高に燃えて余韻も残る終わり方のバッドエンドのほうが好きだったりします。

須藤 彩音

軍に所属した際の主人公の同僚。
本人以外には謎な理由からテロリストに対し過度の敵愾心を燃やし、そのために戦闘時においてチームワークを欠いて暴走することもしばしば。

彩音シナリオでは主人公の追い求める優哉の仇の正体が明かされるのですが、なんのひねりもなく完璧に予想どうりでした。
が、そんな話でも戦闘シーンを文章で読むのではなくプレイヤーがコントローラーで自機を操ってやるということがありきたりな話をそれだけのものにしていないのですよね。

あと、彩音シナリオバッドエンドは悲惨すぎ

笹桐 月菜

主人公の幼馴染。”草原の狼”解散後はネット警備会社V.S.S(Virtual Sphere Security)にスカウトされ主人公同様にシュミクラムを駆ることに。
月菜シナリオでは月菜とともにV.S.Sに入社し共に戦うことになります。やっぱ一緒に戦闘っていいよね。

また、恐らく全ヒロイン中一番幸薄いかもしれない人。
場合によっては知らないうちにプレイヤー自らの手で殺してたりしますし、最後まで生き残った場合でもそれなりに辛い境遇におかれてますから。

リャン

テロリスト集団”飛刀(フェタオ)”に所属し戦いに身を投じる武闘派少女。
ひょんなことから”飛刀”に所属することとなった主人公に反発するのですが・・・


一言で言えば武闘派+チャイナ=最高
ちなみに主人公は仮想空間での戦闘能力はピカイチですがリアルではヘタレなのに対しリャン姉さんはリアルファイト重視。
ゲンハ様(後述)すらノックアウトするその体術は素敵です。

主人公がリャンの格好(変形チャイナドレス)を見て「民族衣装」言うのは笑いました。
あれは民族衣装じゃねえだろ。

バチェラ

顔もプロフィールも一切が不明な天才ハッカー。主人公とは”草原の狼”時代からの付き合い。
何かと主人公に執着したびたび仮想空間内での勝負を挑んでくるお子様。

ふとしたきっかけで正体が明かされるのですが・・・


大好き。いやほんと。
ちなみにバチェラもシュミクラム(仮想空間内での戦闘ユニット)ユーザーなため当然のように戦闘シーンでは共闘します。
やっぱ一緒に戦闘っていいよね(しつこい)

バチェラの正体自体は容易に想像がついたのですが(パッケージ裏のキャラ絵であからさまに怪しい奴いますし)そんなことどうでも良くなるくらいシナリオが好き。

グッドエンドも良かったです。やはりエロゲーのお子様キャラは数年後の再会というのがデフォルトか。

水坂 憐

仮想空間内において主人公の周りにたびたび現れる謎の少女。
その様はまさに神出鬼没、どんな障壁も存在しないかのような振る舞いはネット接続中に実体が死亡し意識のみが仮想空間内に取り残された”電子体幽霊(ウィアードゴースト)”の都市伝説を髣髴とさせる・・・

プロローグから登場し、ことあるごとに主人公の周りに出没するのですが最後にプレイできる憐シナリオでやっとその正体が明かされることに。
まぁこれまでのシナリオで張りまくられた伏線からたいがいの人は既に憐と主人公の関係とかに気付いちゃってると思うんですがね。

パッケージに一人で載っていたり、憐シナリオのみスタッフロール曲が異なるなど恐らくこのゲームのメインヒロインだと思われます。
俺はバチェラのほうが好きだが。

全ての謎に決着がつき、全てのキャラクターがそれなりに救済されるのも憐シナリオのみですし。

ヒロインじゃないんだけど。

ゲンハ

テロリスト集団”飛刀(フェタオ)”のナンバー2。殺戮と陵辱を好む快楽主義者。
その異常なまでの戦闘能力の高さで持ってことあるごとに主人公達の前に立ちはだかります。

悪役中の悪役といった感じですが個人的には大好き。やはり悪役はこれくらい悪くないとw

こういう「男は殺し、女は犯して馬鹿笑い」的キャラと言うのは結構ありがちなんですが、こいつの場合台詞の狂いっぷりがあまりにも激しすぎてプレイしているうちに「次はどんな電波台詞を吐いてくれるんだろう」ゲンハ様の登場を心待ちにしている俺が。

最終決戦前の彼の発言
「なあに、住めば都ってやつだ・・・・・・ キ○ガイだって、なってみればそれほど悪いもんじゃねえ」
はこのゲーム一の名台詞だと思っていますが何か?

<グラフィック・音楽>

グラフィックはまぁまぁでしょうか。立ち絵がかなり微妙ですがCGはそれなり。

戦闘モードの背景や自キャラ&敵キャラのグラフィックなんかはかなり力が入っていて良かったですね。
細かい動きがよく表現されていました。



音楽は日常シーンの曲はどうと言うことのない普通のエロゲーサウンドだな、と言う感じですが戦闘シーン用の曲がなかなか盛り上がる曲ばかりで良し。
とくに、「静かに始まってしばらくすると激しくなる」タイプの曲を静かな部分で戦闘前の会話(「命乞いをするなら今のうち」とか「俺を止めて見せろ」とかそういった感じの台詞ですw)をやって曲が激しい部分に入る瞬間に戦闘開始、と言うのをきっちり合わせて来るのはありきたりですけど燃えますね。

<システム>

基本システムはアクション+ADV。
アクションパートは方向キー+4ボタンにいろいろな攻撃法を割り振って操作します。
適当に押しているだけでもそれなりに攻撃がつながってくれるのは初心者にも優しくていいんじゃないでしょうか。
慣れてくれば狙った風に連続攻撃をし大ダメージを狙ったり。

かなり激しく動くのですが、俺のメーカー品のPCでも何の異常もなく普通に動作するところはなかなかです。


ADVパートは文章読んで選択肢答えてといういたって普通のもの。
選択肢の数も少ないですし結果もみえみえのものが多いので攻略は特に難しいことはないでしょう。

むしろ詰まるとしたら戦闘シーンなのですが、戦闘の真っ最中以外ならいつでも難易度を上下できるので「ボスに勝てない!!」となっても安心です。

なに、難易度Easyですら勝てない? 
そんな貴方はいったんクリアしたシナリオを再度プレイして武器のレベルを上げましょうw(武器レベルなどのデータは引継ぎができます)



また、体力ゲージの続く限り敵と戦い続けるサバイバルモード、ありえない組み合わせ(ゲンハ様×3とか)の敵キャラとの戦闘が楽しめるヘルモードが本編以外に搭載されており戦闘モードだけを楽しみたいと言うニーズにも応えています。

<総括>

正直言ってプレイ前はそれほどシナリオに期待していなかったのですがそれを見事に裏切ってくれました。
攻略順の固定による伏線の張り方は見事です。
アクションパートの付属品に堕することなくシナリオで燃えるシチュエーション演出→プレイヤーたる自分がアクションというのはただ文章を読んでいるより燃えました。


もちろんアクションゲームとしても期待を裏切らない出来です。難易度も絶妙ですね。
俺のメーカー品PCでも全く不具合なく動いてくれたのはちょっと驚きでした。

唯一欠点を上げるとすればちょっと(かなり)微妙なキャラ絵ですかね・・・ やっているうちに慣れるといえば慣れますが。


アクション好きにもシナリオ重視な人にもどちらにも薦められる稀有なゲームではないかと思いました。