TYPE-MOON 製作
※今回のレビューでは、a-parkの友人某氏の言葉を引用していますが、かなり誇張が入っているのでご了承ください。
彼は本当はあんな事やこんな事言うわけないナイスガイです。いろんな意味で。
・・・とまぁいきなり妙な前書きからはいる月姫レビューです。
それはというのもこのゲーム、前々から手元にはあったのですが、忙しくて放置プレイが続いていたところで友人に薦めてみたら
そいつが「月姫超面白いよ〜 アルク萌え〜」(誇張あり)
とか叫ぶようになったので奴をそこまで変えてしまったこのゲームはどんなものかと思いプレイ開始。
(プレイ中)
・・・。
(コンプ後)
俺「(;´Д`)<琥珀さ〜ん!! 」
気が付いたらすっかり奴と同類(それ以上かも)になってました。相変わらず痛いな俺。
預けられていた親戚の家から、8年ぶりに資産家である実家に戻る事になった主人公。
何の変哲もない学生である彼には唯一つ他の人間と違うところがあった。
────それは、モノの死の線が
見えるということ────
何とか自分の目と折り合いをつけ平凡な日常を送る彼が新しい生活の中で出会う少女達。
それは、
記憶のなかの姿とは別人のようになってしまった妹であり、
自分付きだという無表情なメイドの少女と正反対に明るいその双子の姉であり、
何かと世話を焼いてくる先輩であり、
そして、白い吸血姫だった。
自らの”モノの死が視える目”に導かれ、数奇な運命をたどる主人公の未来はいかに?
とまぁこんな感じで。
人外キャラ大好きな俺にとっては吸血鬼ものってだけでもう大満足でした。
主人公の血筋に隠された真実が明らかになる裏ルートの”遠野家ルート”なんてもろに伝奇小説のノリですね。
また、シナリオライター氏の文章力の高さには脱帽です。
個人的に主人公が狂いかけているときの内面表現の文章にかなり衝撃を受けました。
「訳わかんない文章」を狙って書けるというのは正直凄いと思います。戦闘シーンの文章も派手さはないもののなかなかグッド。
そしてストーリーの内容も素晴らしいの一言。
天真爛漫な笑顔の裏に隠された悲しみを知るアルクェイドシナリオ、何気ない日常のかけがえのなさが涙を誘うシエル先輩シナリオ。
秘められた想いとやるせなさすぎる決着の秋葉シナリオ。
表裏一体、あまりにも悲しい過去が痛すぎる翡翠&琥珀シナリオ。
前述の友人が
「アルクシナリオからやりなよ〜」
としきりに薦めてくるのであまのじゃくな俺はまずシエル先輩に特攻。こういう日常に戻る話は好みなので結構高評価。
その後アルクシナリオ→秋葉シナリオと制覇。
その段階では、確かに楽しいのですが何か物足りない物も感じていました。。
そりゃアルクは可愛いですし、秋葉はいじらしいですが、
こう、フォント特大で叫びたいと言うような気持ちが湧かなかったのですよ。
これは今回はレビュー書くのは無しかなと思いつつ翡翠シナリオへ。
翡翠照れ顔萌え〜とか痛いことを言いながらやっていたらなんか深刻な雰囲気になってきました。
そして終盤。
・・・翡翠&琥珀の子供時代のイベント絵が最初モノクロなのはそういうことだったのね。
まぁこのトリックは中盤で読めましたよえぇ。しかし、
翡翠トゥルーエンドでの琥珀さんの告白に撃沈。
痛い話、アンハッピーエンド好きな俺の好みにもろにヒット。
その勢いのまま琥珀シナリオへ。
序盤から琥珀さんの言動の裏に隠されたものを想像し不憫になりながらプレイ。
そして迎えた琥珀トゥルーエンドラスト、幸せそうな琥珀さんに腑抜けにされる俺。
あれは反則ですって。
アルク&シエル&秋葉シナリオで定まった評価が翡翠&琥珀シナリオで2段階くらい跳ね上がりました。
「モノの死の線」が見える主人公。ナイフがあればこの世に切れないものはない!!な人。
ていうか刃物持つと性格変わってませんかあなた。
ストーリー中でうじうじ悩んでいる事が多いですがヘタレではないので好感が持てました。
Hシーンでのあのはっちゃけぶりは初めてみたときかなり引きましたね。
以下ヒロインズ。
「月姫」の正ヒロインにして最強を誇る純白の吸血姫。
・・・のくせしてあんまり出てきません。最強っぷりもとある事情により弱っているためあまり発揮されず。
天真爛漫、奇抜な行動で主人公を振り回します。
最初の頃はそのあまりにアレな言動からただのアホかと思いましたがその理由を知って納得。
「私は誰かと話すのって大好きだけどなー」にこめられた深い意味にはちょっと感動でした。
ラストの戦闘シーンはかなり格好いいです。
何かと主人公の世話を焼いてくる学校の先輩。
しかしその正体は・・・とまあそんな人。
ちなみに自分以外のヒロインのシナリオでは設定の説明役として大活躍しています。
そっちの方が印象に残ってしまうのはいかがなものか。
かりそめのはずの日常がいつしかかけがえのないものに、というストーリーはありがちですが上手くまとめていましたね。
こちらもトゥルーエンドラストの戦闘シーンに燃え。
妹。(お兄ちゃん大好き)
それだけでこの人を説明するには十分かと。
主人公と一つ屋根の下で一緒に生活しているという環境から全シナリオに登場するにもかかわらず常に(自分のシナリオでさえ)
報われない幸薄い人。
あと、琥珀シナリオでの秋葉は普通に怖いです。
メイド姉妹その1。料理が苦手で掃除が得意。
常に無表情な主人公付きのメイドの少女。何かしら裏の面を持っていたり過去に何か抱えていたりする月姫ヒロインズの中で
唯一そういうところのない(全くではないですが)人。
実は無表情とか言いつつ表情豊か(わけわからん) 照れ顔は萌えます。
翡翠シナリオはトゥルーエンド、グッドエンドともにかなりの鬱シナリオです。
俺は全く救いの無い翡翠トゥルーエンドが月姫の全シナリオ中で一番好きですがね。
メイド姉妹その2。料理が得意で掃除が苦手。
常に笑顔を絶やさない明るい少女。ですが秘められた過去の悲しさは恐らくこのゲーム中で一番かと。
ていうか主人公と同年代だとはとても思えないんですけど。
翡翠シナリオをクリアしないと琥珀シナリオに入れないため、この人のシナリオをプレイする人は皆翡翠トゥルーエンドでの
琥珀さんの悲痛な告白を目にしているわけで、やっている最中真相を知っているというのはなかなか辛いものがありましたね。
まぁその分ラストの幸せそうな彼女が引き立つのですが。
ちなみにこの人はエンディングは一つしかありません。琥珀シナリオエンドは月姫のグランドエンドと言ってもいいでしょう。
ヒロインじゃないんだけど。
通称さっちん。遠野家ルート(秋葉&翡翠&琥珀シナリオ)に登場するサブヒロイン。
実は以前からずっと主人公にひそかに想いを寄せていた少女。
ごく普通の女の子だった彼女ですがふとしたことから主人公達の関わる事件に巻き込まれてしまい・・・
この人も幸薄いです。もうほんと。
一部ファンから「さっちんシナリオはないのか!!」と言われているのもよく分かります。
ずっと前から想いを寄せていたのにあの結末ですからね・・・
主人公と結ばれて幸せになる結末と言うのも見てみたいですよ。
絵は・・・。正直微妙です。なんていうか独特です。
が、同人作品と言う事を考えるとイベントCG枚数も多いですし水準以上ですね。
それに長時間プレイしていれば慣れます。
今ではもうあの絵じゃないと月姫じゃない!!と思えるのだから不思議なものです。
音楽も・・・。同様に曲数が少ないかな、と思うのですがそこは同人ですから。
少ないながらもそれなりでした。
欲を言えば戦闘シーンに音楽が欲しかったですね・・・
普通のビジュアルノベルのシステムです。バックログがないのはちょっといただけないですね。
また、既に読んだ事のある文章を一括で飛ばす機能がついているため2周目以降便利です。
また、バッドエンドを迎えたときのヒントモードがやたらと充実しています。
俺はこの「知得留(しえる)先生の授業」を見たいがためにあえてバッドエンドに進んでみたりしてました。
若干のグラフィック・音楽の不備を感じさせない質の高いテキストに裏打ちされた上質のストーリーは一見の価値あり。
残酷なシーンや鬱なシーンもありますがなんだかんだいってご都合主義でなく綺麗にまとめてくれるのでプレイ後に
はさわやかな気持ちが残る事でしょう。
ぜひ貴方も、「直死の魔眼」を持つ主人公の数奇な運命を体感してみてください。