0007
■家相・風水の基礎知識■
占いによると・・・
黄色い財布はお金が溜まり
赤い下着は健康の元。
ならばと揃えた七色開運グッズ
これでもう、完璧ね!
でも、もう一色欲しいわね、
美人になる色とか〜。
あ・の・ね、それじゃ
八色(方)美人だよ。

■占いブーム?

 最近では若い方を中心に占いブームとか?動物占いや回転寿司占い、と色々なものがあるそうです。一方住まいに関しては、風水・家相などが関心を持たれていますね。
 でも、迷信と片づけてしまう方もいれば、これが無ければ家が建たない、という方もいらっしゃいます。ということで、今回は住まいを考える上で必ず出てくる家相・風水について、ご一緒に考えてみませんか?

■発祥は中国

 雑誌などでは「中国4000年の歴史の中で」とか「3000年もの長きに渡って中国に伝えられ」と語られている様に、その発祥の地は中国ですね。そして、家相・風水などに共通しているものがあります。それが「陰陽五行」です。これは、中国の人々が古くから考え方の基本原理としているもの、言い換えれば「哲学」とも言えるものなのでしょう。

■陰陽五行

 さて「陰陽五行」ですが、これは元々「陰陽」と「五行」という二つの別の考え方でした。それがいつからか相互に関係する様になって行きました。

●陰陽とは?

 「宇宙の原理は、陽(日なた)と陰(日陰)という相反した性質のもから成り立っており二つの関係が全ての現象の元となる。」というのが「陰陽」の考え方です。対となる陽の物と言えば太陽・春・南・昼・男であり、陰となるものは月・秋・北・夜・女となっています。
 さらに、陰と陽は二つに分かれて太陽・小陽、太陰・小陰となり。また、それぞれが二つに分かれて乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤となって行きました。これを八卦と称し、これを組み合わせて未来を占うのが易となります。ほら、易者の方が「当たるも八卦、当たらぬのも八卦」といいますが、これの事なんですね。

●五行とは?

 自然は「木・火・土・金・水の五要素(五行)」から成り、それらが消長することによって自然が移り変わり人の運勢も変わるとしたものです。つまり、あらゆる事柄をこの五つの要素の関係によって理解し占っているわけですね。
 この五つですが、元々はそれぞれが星を表していた、とも云われているそうです。洋の東西を問わず、星の運行によって季節を知り農作業の時期を決めていました。そして、これを元にしたのが暦の始まりですよね。
 天の運行が人間の営みに影響した事から五星の運行が西洋では占星術となって行きましたが、中国では単に星の運行ではなく自然に存在する要素に結びつけて行ったのです。つまり「自然や人間の原理として木・火・土・金・水の五要素がある」と、とらえました。この五つの要素を五行というわけです。

●五行の関係には。

 五行はそれぞれの要素だけでなく、お互いの関係も重要な意味があります。その関係とは「五行相克」と「五行相生」です。
 「五行相克」は五行がそれぞれの対立的な
関係にあり、木は土に、金は木に、火は金に、水は火に勝つという対立により物事が生じるというものです。一方「五行相生」は、五行それぞれが、木は火を、火は土を、土は金を、金は水を生み出すというが循環関係にあって、これにより物事が生じるという考え方です。この様に二つに分かれた考え方も、実際には融合されて用いられていますね。

■陰陽と五行の融合

 別々の考え方であった「陰陽」と「五行」ですが。時を経るに従って融合して行きました。その一例が暦です。
 五行それぞれに陰陽を付け、十二支を組み合わせたのが「十干十二支」と呼ばれる古い暦ですね。今でも時々目にしますよ。例えば、この年に生まれた女の子はオテンバだ、と云われるヒノエウマは「火行の陽で午の年」の意味なんですね。ちなみに、エは兄の意味で陽を示しています。

■陰陽五行と方位の関係。

 さて、これまでの説明では、家相や風水のメインとなる方位について、まだわからないですよね。実は、陰陽の八卦・五行は方位と密接に関係しているのですよ。
 八卦は方角と関係し、それぞれが。乾=北西・兌=西・離=南・震=東・巽=南東・坎=北・艮=北東・坤=南西と、各方向に割り振られており八宮とも呼ばれています。八卦はそれぞれが意味を持っていますので、方角にもその意味が適用されます。
 同様に五行にも方位との関係があります。ここでも方位は、それぞれの行の性格を有しているとされています。また、方位に数字を関連づけて用いています。(この数字配置は「落書方陣」と呼ばれて一種の魔法陣なんですが、成り立ちは長くなるので省略)
 具体的には、一白水星=北・二黒土星=南西・三碧木星=東・四緑木星=南東・五黄土星=中央・六白金星=北西・七赤金星=西・八白土星=北東・九紫火星=南の九つです。八方位に真ん中を加えた九つの位置に、それぞれ意味を持たせているんですね。
 という事で、陰陽五行では八卦と五行によって方位に意味が設けられ、これを元にしたものが家相・風水の基となっています。風水や家相を見る時に用いる図形(風水では風水羅盤と言います)を見ますと、これらの文字が記入されていますよ。

■方位の持つ意味。

 さて、方位には陰陽五行によって意味付けされているわけですが、それはどんなものなんでしょうか?興味がありますね。でも、これも諸説ありますし、方位角の大小もあるのですが、あえてその一例を書いてみますと。
・北 :高貴の方角で、幸福に関する。
     健康・子供運を支配。
・北西:富貴の方角で、万物成長に関する。
     地位・社会運を支配。
・西 :徳の方角で、百物収蔵に関する。
     金銭・恋愛運を支配
・南西:裏鬼門の方位で、障りの多い方位。
     家庭。業務運を支配
・南 :育成の方角で、真陽の方位。
     知性・名誉運を支配
・南東:活躍の方角で、産業や縁に関する。
     信用・結婚運を支配
・東 :発生の方角で、富と繁栄に関する。
     創造・発展運を支配
・北東:鬼門の方位で、病難に関する。
     親類・友人・不動産運を支配
となりますね。
 
■家相・風水の原理

 さて、方位についの意味を書いてみたのですが、実際に判断する時にどうするかと言いますと。これら方位の意味と、その方角にある部屋や設備・物・人々等の関係を見ながら吉凶を判断するわけです。しかし、これだけでは無いのですよ。「陰陽五行」を基本としながらも現代に至る長い間に、様々な生活の中での経験的知恵や知識がだんだんと融合して行ったと思われます。
 日本に暦と共にもたらされたのが奈良時代頃からと言われています。つまり、外国から輸入された考え方が、現在までの間に日本風にアレンジされ、日本に元々あった言い伝えや現象をミックスして行ったわけですね。この様にして日本版とも言える家相・風水等の考え方がまとまって行ったと思われます。

■家相・風水は迷信か?

 さて、家相・風水は「非科学的で迷信に近いもの」と思われる方もいらっしゃいますが、さてどうでしょうか?
 確かに、文言の中には首を傾げたくなるものも少なからずありますが、合理的な説明が出来るものも多々あります。ですから全て切り捨てるのでは無くて、耳を傾けてみる事も必要ですね。

■さいごに

 さて、様々なことを考えてみましたが、風水・家相等々には諸説・呼称や流派があり解釈もいろいろあります。ですから、ここに書いた事が全てではありませんし異なる解釈もありますので、興味ある方は勉強してみるのも面白いですね。
 ただし、あまり気にしすぎて捕らわれてもいけませんよ。「最上の女性(男性)が最上の妻(夫)になるとは限らない。」とも言います。最上の家相の家が住みやすい家になるとは限
らないのですから。

 ※[月刊-住まいの情報館/2000年7月号] (C) 1994-2003 HiroshiKouno.