エアーウォッシュ

 突然、3つの大きな鼻がカベをつたってやってきます。"何これっ?"と見ていると、研究員らしき人が出てきて、新商品エアウォッシュ
の説明をはじめます。

 この商品、イヤな匂いをつかまえて取り込んでしまうところが新しいのだそう。つまり、鼻が出てきたのは「鼻も驚く新商品」と言いた
いからなのです。

 それにしても突然登場する鼻にびっくりして、その後の商品内容が刷り込まれてしまうと思いませんか?

 ここにはどんな仕掛けがあるのでしょう?

 本来だったら画期的な新商品にびっくりするのは人です。これを鼻に置き換えているのですから、ここには擬人法が使われていま
す。夏目漱石の「我輩は猫である」で使われている表現方法だと小学校あたりで習いましたよね。あれです。

 同時に鼻だけを、それも3つも使って表現しています。このグロテスクさにぎょっとしてしまう。

 ここにはレトリックの異形が使われています。異形は言いたいことをヘンなものに喩えて驚きを作る表現方法です。例えば、ビートた
けしの笑いの作り方がそうですね。いつも毒っぽい言い方をしてそこから笑いを作ります。

 また鼻を通常より大きくして目立たせています。

 ここにはレトリックの誇張が使われています。誇張は言いたいことを意味するもの以上に拡大表現すること。例えば「クールミントガ
ム」はミントだけでもすっとするものを、クールを加えて超クールになることを表現しています。

 つまり、このTVCMは3つのレトリックの合わせ技によって表現されているのです。

 さらにこの3つの鼻は、お笑いの「森三中」のものというオチもついています。これで口コミから話題になることは間違いないでしょう。

 巧みに計算された驚きの作り方。そしてそれが話題になるように意図されたキャスティング。このTVCMのうまさは、こうした緻密な企
画にあると思います。



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