装丁は選択の重要なファクター


 皆さんは、本をどのように買われていますか?
お気に入りの作者の本を迷わず選ぶ? 話題の新刊につい手が伸びる?
ハードカバーは高いから文庫が出るまで待つ?

 私が本を買う時には、実は2つのパターンがあります。
まず一つは、作者名だけで迷わず選ぶ。やはり皆さんもこのパターンがいちばん多いのではないでしょうか?

 いま私が躊躇なく作者名だけで買う というのは、前にご紹介した新保裕一、「リング」の鈴木光司、「八月の博物館」の瀬名秀明、お
なじみ“ノワール”馳星周、「亡国のイージス」福井晴敏、「テロリストのパラソル」藤原伊織、それに大御所 筒井康隆 (実は私、熱狂的
な筒井ファン=ツツイストです)、それに忘れてならない、このHPの主宰者 村山涼一くらいでしょうか。

 もうひとつの選び方。それは「装丁」です。 
 
 村山氏がコラムに編集者について書いてますが、どんなに「いい本」でも、編集者の纏め方、装丁の創り方ひとつで読者が手に取る
確率が大きく変わります。

 本屋さんの書棚に並んだ何千冊もの本。どれもみな「読まれること」のみを願って佇む本たち。その中でふと目にとまる一冊。体裁。
書体。手に取ってみ る。「ふん。悪くない。」そこで私はおもむろに本を“脱がし”にかかります。

 こうるさい腰巻きを取り、「着物」の素材を確かめながら「ぺろん」と脱がすときの得も言われぬ期待感。時々「おっ!」というボディが隠
れていたりす る。そんな装丁に出会ったときは、迷わず買います。どんなジャンルだろうと、全く知らない作者だろうと、買います。(そ
の結果、購入冊数に読書量がつい ていけず、未読の本の平積みができるという有り様なのです)

  読んでみると???というのもありますが、ほとんどの場合、装丁のいい本は中身もいい。

 前置きが長くなりましたが、今回ご紹介したいのは、もう20年も前に、装丁だけで買ってしまったミヒャエル・エンデ「はてしのない物
語」岩波書店  2860円

 みなさんご存知の「ネバー・エンディング・ストーリー」の原作本です。

 子供たちの無限の想像力を糧として成り立ってきたファンタージェンというおとぎの国が、本を読まなくなった子供たちのために「虚
無」という怪物に襲われる。一人の本好きの少年が行きつけの本屋から借りた「はてしない物語」、いつのまにか自分自身が主人公と
なって物語に入り込んでいるというファンタ ジーですが、この本自体もまた、物語の重要なファクターとして描写されていて、また小憎ら
しい位そのとおりに装丁されています。

 初版は82年ですが、す でに50刷以上されている本の中の本。必読です。エンデ作品では「モモ」が有名ですが、「鏡の中の鏡」とい
う、ちょっと暗めの精神世界みたいな本もお勧 め。この装画は彼のお父さんが描いているなんていう話を聞くと、ちょっと手に取ってみ
たくなりませんか。

 最近の本の中では、夢枕獏の『陰陽師』シリーズや京極夏彦(グラフィックは祖父江 慎さん。この方の装丁は衝撃的ですね)。馳星
周も脱がすと違ってた り、あとクラフト・エヴィング商曾の装丁なども要チェックでしょう。


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