インテグレートプレゼンター


@
 今回、ブレゼンテーション(以下、プレゼンと記述)をテーマに書いていこうと思ったのは、どうしても伝えたいことがあるためである。

 ちょっと遠まわしになるが、果たして私が伝えたいメッセージがすでにあるものなのか、市販で手に入るプレゼンの本を手に入れて
確認してみた。プレゼンに関する本は多いが、ほとんどが企画書の作り方やソフトや機器の使い方、あるいは通り一辺倒のチェックリ
ストみたいなものばかりであった。

 そしてそれらには、私が伝えたいメッセージを大きく掲げているものはなく、むしろこちらが間違っているのではないかと思うくらいな
かった。

 それでは結論を述べよう。私が伝えたいのは、「プレゼンというのは<はじまり>ではなく、<終わり>だ」ということだ。

 ここはとても大切なことで、もしはじまりだというのなら、ここからすべてがはじまるので、今後がとても大切になってくる。ということ
は、ここからクライアントの根回しや現実化に対しての検証や、それを受けての企画の修正をはじめなければならない。

 ところがプレゼンに勝利した者たちが、そういうやり方をしているという話を聞いたことがない。もちろんプレゼンを勝ち取ることで上
述した事柄をより深く検討していくことは多々あるが、プレゼンが終わってからという話は聞いたことがない。

 つまり、それらはプレゼン以前にすでに終了していなくてはならなく、だから、プレゼンはそれらの確認と容認の場だということなので
ある。

 もし読者のみなさまのプレゼンの成功率が低いとすれば、ここがいちばんの問題点なのに、考え違いをしているからではないだろう
か?


A
 それでは私はどんなことをしているのか、それをお話していこう。

 まず大切なのは、与件を徹底的に聞くこと。クライアントというのは、やって欲しいことがあるのにもかかわらず、オリエンテーション
(以下、オリエンと記述)をしっかりやらない。これは日本人の悪い癖で、外資などは実にしっかりやる。

 だからこちらはクライアントがやって欲しいと思うことを、それこそ、すべて聞き出さなければならない。ここには別展開をする質問の
技術が必要となってくるが、その説明はそちらに任せるとして、徹底的にクライアントの与件をヒアリングする必要があることを覚えて
おいて欲しい。

 そしてこの段階で、先方の担当者と親しくなっておく。担当者というのは社内に精通しているだけでなく、社内の根回しもやってくれる
貴重な存在である。私が読んだ本の中に、「クライアントを仲間にする」という指摘は皆無だったが、私はまず間違いなく、担当の方と
の関係作りをする。

 酒席をともにできれば最高だが、土日を無視した徹底したやりとりを意気に感じてくれる人もいれば、より高度な学問を話すことをう
れしく思う人もいる。これは相手の性質に合わせながら、とにかくこちらが一緒に戦う戦友として、その価値のある人間であることをア
ピールする。

 さらにプレゼンの意思決定構造を明らかにする。

 このプレゼンはどのような稟議を経て、上にあがっていくのか、キーマンは何人いて、どういう人なのか、最終決定は誰がするのか。
コトラーに購買中枢というものがあるが、あの考えのように、意志決定の対象とポイントを明らかにしていく。

 これさえ明らかになれば、企画書の構成要件が決まってくる。そしてその根回しを担当者にお願いしておくのだ。ゆえに私の場合、
企画書が前日までできないなどということはなく、遅くとも5日前には完成させて、根回しに使っていただくようにしている。

 このあたりも、読者のみなさまの考え方とずいぶん違うのではないだろうか?

B
 このように徹底した相手のニーズと意思決定を考慮して企画書は作られる。

 とはいえロジックだけで人を納得させることはどんなに話が上手でもムリだろう。それに話だけでは絶対に聴衆は飽きる。

 ゆえにプレゼンの場で、つかみ、クライマックス、エンディングを飾る演出をする必要がある。

 私の経験論から言えば、いちばん効果的なのは動画である。あるコンセプトを理詰めで説明するよりも、それを分かりやすくした動
画を作成して理解させた方が、理解は容易だし、反論される可能性も低い。もちろん動画は時間もお金もかかるので、だいたいはイラ
ストレーターに絵を描いてもらう。これでも理解と合意は全く違ってくる。

 大学教授などの権威に監修してもらう手もよく使った(最近は、意味はないが、あまりやっていない)。これも権威が同行し、企画を監
修しているということで、クライアントの聞く態度が違ってくる。こういう場合は冒頭に、権威に挨拶してもらうのがいいだろう。また先端
商品を海外から取り寄せて、それを冒頭に関係者に見せて、どぎもを抜くというやり方をする知人もいる

 いずれにせよ、論理だけでなく、いや、論理よりも、感性に訴えることが大切である。同様にプレゼンターの話も話だけではなく、ノン
バーバルを活用したコミュニケーションで感性に訴えることが大切である。これは拙著「連戦不敗のプレゼンテーション」に詳述した
(が、あまり売れなかったので、もう中古でしか手に入らない。そこはご容赦いただきたい)。

 さて次回からはいよいよ各論に入っていこう。プレゼンで終わりにする=決めるプレゼンターになるために、どのような要素をインテグ
レードし、スキル化するか。それを述べていこう。

C
 インテグレートプレゼンターになるためには、大きくまとめると、準備、企画書、実行の3つの段階に取り組むことだと述べてきた。さら
に各段階で必要だと思われる項目を列挙すると、

1.準備
@与件の読み取り
A意思決定構造とキーパーソンの把握
BプレゼンテーションSWOTの作成と実行
2.企画書
@ロジックの決定
Aパンチラインの決定
Bコンセプトの明確化
3.実行
@ラポート
Aノンバーバルコミュニケーション
Bジェスチャー
Cクライアントのサインを見抜く
D心理学的話法の実践
ということになる。

 まずは準備の、与件の読み取りの話からはじめよう。

 与件が読み取れない。ゆえにクライアントが大切なことを言っているのに、聞き落としてしまった、あるいはクライアントが大切なこと
を言わなかったのに、それをこちらから聞き質すことをしなかったという人は多いだろう。

 これはクライアントから何を聞いたらいいのか、その項目がしっかり認識できていないからだと思う。とはいえ、この項目が企画書の
項目としても活きる訳だから、こういう人は大切なところを企画書で落としていたり、あるいは大切なところをクライアントの意向を汲ま
ないで書いてしまったりしているのだろう。

 ならばその企画書が、プレゼンテーション以前で決まる確率が低いということはたやすく想像できる。

 それではいったいどのようなことを聞けばいいのか?

 ここで登場するのがアウトフレームである。アウトフレームは必要な項目とロジックを目に見えるようにしたもの。これを使って、クライ
アントの話を該当箇所に埋めていけば、抜け落ちは一発で分かる。

 以下が、私が使っている事業企画用のアウトフレームの項目である。ここさえ埋まれば、巧拙は別として、事業企画書の体裁は整う
だろう。

・市場状況・競合状況・顧客の状況・選択の基準・ビジネスモデル・ドメイン・ミッション・顧客・強み・商品戦略・組織戦略・財務戦略(収
益モデル含む)・情報戦略

以下はマーケティングのアウトフレームの項目である。

・市場状況・競合状況・顧客の状況・選択の基準・基本戦略・価値設計・商品戦略・ターゲット戦略・チャネル戦略・タイミング戦略・エリ
ア戦略・営業戦略

D
続いて意思決定構造とキーパーソンの把握について述べる。

プレゼンテーションはそれが決定されなければ意味はない。とすれば、それがどのように決定されるか、言い換えれば、誰と誰が決定
に関与して、誰が決定権を持つのか。そしてそれはどのように決定されるのかを把握することが重要である。

日本でよく見られる意思決定のタイプは以下の3つである。

トップダウン
社長が決定するタイプである。これはワンマン経営者が意思決定し、その他のメンバーがそれを執行するタイプの会社。具体的に言
えば、ベンチャー企業のような新しくて、小さな企業などである。

ボトムアップ
担当の部で決定し、それを上にあげて決裁していくタイプである。例えば宣伝活動ならば、宣伝部にプレゼンテーションし、その決定を
担当役員、取締役会、社長という順番で承認してもらう。伝統がある、大きな企業に多い意思決定のタイプである。

プロジェクト
各部の代表が集まり、組織される。縦のヒエラルキーでは判断しづらい場合によく使われる。例えば、新商品を上梓する場合。開発、
営業、マーケティング、宣伝、財務担当などが一堂に集められ、各々の部の代表として仕事を進めていく。

さて各々への対処だが、トップダウンの場合は、トップの言行を探り、その思考方法、好み、望みなどを理解し、それを企画に取り入
れる。またプレゼンテーションでも、トップにフォーカスして進めるといい。ここでOKをとって現場で調整していけば、まず問題はない。

ボトムアップは、根まわしがポイント。これをやらないと、ボトムの部分で承認されたことが、政治的な理由で、トップでひっくり返るとい
うことが起こる。一方、トップに根まわしし、トップダウンで進めると、ボトムの反発を買って仕事にならなくなるケースもある。

この場合は現場、部長、役員、社長と、多面的に根まわしすることが重要である。手間はかかるが、それが最も効果的である。

プロジェクトの場合は必ずプロジェクトのリーダーがいる。新商品なら開発、キャンペーンだったら営業、周年行事なら宣伝といった具
合である。押さえなければならないのは、この人である。

リーダーをしっかりと押さえて、そのバンドワゴン効果で全てのメンバーを同意させる。プロジェクトの場合の根まわしはこれがセオリー
である。

E
続いてはプレゼンテーションSWOTの作成と実行について述べる。

プレゼンテーションは、コンペティションが象徴するように自分の敵(競合)との戦いであり、それに勝つために行うものである。

競合に勝つためには、まず自分と相手の戦力を考慮、比較することが重要である。そしてこれを明確に行うために、競争戦略を立案
する時に利用するSWOTを使うのが私のやり方である。

SWOTとは強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)の頭文字をとった分析手法であり、自社視点での分析
で強みと弱みを抽出する一方、競合視点で機会と脅威を抽出する。これらを総合して、自社の勝機や勝つための差別化ポイントを考
慮する。

具体的に理解していただくために、拙著「プレゼンテーション事典」で使った例を引用しよう。

この例は中堅の広告代理店が、最大手とNO2の広告代理店とコンペティションを行うことを想定して作ったものである(紙幅の都合で
上記書籍を若干編集した)。

仮に広告展開の総予算は3億円。100周年を迎えたので、イベントと新聞広告を中心とした企業広告を行いたい。同時に100周年を記
念した新商品も上梓する、という条件とする。

まず自社を見てみよう。この中堅の広告代理店はある流通グループの一企業という想定にしてみた。ゆえに、流通のクライアントに強
いというのが、通常の強みとなっている。

また今回は、自分のグループ企業のひとつに、クライアントの商品を配荷できることも強みである。ただ広告を打つだけでなく、店舗に
商品を置き、売ることもできれば商品のある程度の購買は約束される。これはクライアントにとって魅力的な条件である。

一方弱みは、マス媒体の仕切りが弱いということ。大手でないと効果的な枠を押さえたり、いい金銭条件を引き出したりすることは難し
い。またクリエイティブが弱いというのも通常の弱みとしてみた。

特に今回は、要求されるレベルでマス媒体を仕切ることができないことが弱み。新聞広告なので、大手との戦いとなれば、この面では
絶対不利となる。

次に競合Aを見よう。これは最大手の広告代理店を想定している。この会社の強みはマス媒体の支配力に尽きる。特にテレビ、新聞
の支配力は絶大である。

一方弱みは細かい仕事はやらないということである。これは自分側の都合であるが、最大手ゆえに自社のスケールにあった仕事でな
いと、受けても労力以上の利益が回収できない。こういう場合、敢えて企画の質を落として仕事を取りにこないことがある。

次は競合Bである。これは業界二番手の企業を想定した。最大手の媒体支配力が群を抜いているため、2位以下はマーケティングや
クリエイティブに力を入れて差別化を図っている。その中でも、この会社のクリエイティブ力はすばらしく、最大手を超えるほどの戦力と
言える。特に今回はクリエイティブチームが絶好調ということにしてみた。

一方弱みは、媒体支配力では最大手にかなわないということ。また今回は人気のクリエイティブチームが多忙ゆえ、ブッキングできな
かった。

さてこのような分析に基づいて、勝機はどれくらいあるのか。差別化ポイントはどこに置くかを考えてみよう。
競合A→最も手ごわいが今回は本気で取り組んでこないであろう。評価×。
競合B→人気チームはブッキングできないにしても、クリエイティブは好調であり、ここをポイントとして勝負を仕掛けてくるだろう。評価
○。

自社→マス媒体とクリエイティブ力は劣るが、新商品を配荷できるという目玉がある。これをトピックとして企業広告を企画すれば、独
自性の高い提案となるはず。評価◎。

このようにSWOTを用いて分析し、さらに戦略を考えると、上記のように勝機や差別化ポイントに確信が持てる。こういったものはつい
つい暗黙知で済ませてしまうものだが、しっかりと検討し、形式知として認識した方がスタッフの士気の向上にも役立つ。

F
今回から企画書についての話に移る。先述したが、企画書は、
・ロジックの決定
・パンチラインの決定
・コンセプトの明確化
がポイントとなる。

まずはロジックについて。通常の企画書は、市場分析から入り、SWOT→戦略に移り、各論に入る。

人を納得させるには、数字に基づいた分析から問題点を浮き彫りにし、それをどのような戦略を持って解決し、具体的にはどのように
していくかを論じるのが最も分かりやすいからこういう仕立てになるのだと思う。

ゆえに部内で報告するような、聞き手が好意を持っていて、プレゼンターの話を聞くということが前提になっている場合はこれでいい。

問題なのは聞き手がそうではなく、マイナス点を探すことを前提にしていたり、聞く気があまりない場合である。具体的には、コンペティ
ションの時の聞き手や大きな報告会での聞き手などがこれに当たる。

こういう人たちが相手の場合は、冒頭から彼らの興味・関心を引く必要がある。ゆえにこういう場合は、意識的に頭括式のロジックに
変える。

ポヒュラーな方法は、エグゼクティブサマリーのような結論部をいきなりぶつけるやり方。結論がいきなり説明されるので、聞き手はな
ぜそうなるのかという疑問がわいてくる。

プレゼンターはその疑問を事前に想定し、それに対しての答えを提示するという形でプレゼンを進める。こうすれば聞き手は飽きるこ
となく、最後まで聞いてくれるし、疑問→解決と進んでいくので、聞き手の満足感は高まる。

この方法は外資系などでは一般で、よく見かける。私の場合はこれをもう一歩進めて、結論を文章で説明するのではなく、いきなり動
画やイラストにして見せてしまう。

厳しいコンペティションや50人程度の大きな報告会などでは、冒頭によっぽど大きな驚きを作らない限り、聞き手の好印象を獲得する
のは難しい。これを<文章>で達成するのは難しく、いきついた先が動画やイラストで作る<イメージ>となった。

コンペティションの時の聞き手や大きな報告会での聞き手は、とにかくプレゼンターの答えが聞きたい。それに納得できれば、その後
も聞き続けてくれる。ゆえに、一発で答えを見せるために動画、イラストを使うようになった。

同様に効果的なものに、「重要な数字を見せる」というのもある。

調査から、問題を引き起こしている原因や解決に貢献する決定的な数字が見つかったら、それをグラフにして冒頭で見せてしまう。

するとこれが大きな関心を引き起こし、その数字を使ってどのように具体的な解決を導くかを聞き手は楽しみにしてくれる。

ただし注意して欲しいのは、このようなギミカルなやり方をしても内容はきわめてオーソドックスに作るということ。

私の場合は、市場分析→戦略→戦術という流れの詳細な企画書を作った上で、プレゼン用にロジックを変え、不必要なところは省い
たプレゼン専用の企画書を作る。

手間はかかるが、詳細な企画書をプレゼン用にプラッシュアップした方が、よりポイントが明確な、洗練された企画書になる。副次的
に、このように仕立てるとプレゼンする側も話しやすい。

疑問を提示し、それを解説するという仕立ては、相手に教えてあげるという意識を喚起するからだと思う。こちらの気分が高まるという
のはプレゼンにとっては好都合。ここからもロジックをしっかり考えてプレゼンすることはきわめて重要だと思う。

G
次はパンチラインの決定である。

パンチラインという言葉は聞きなれないかも知れないが、プレゼンでは要点を言い表す文章の意である。辞書的には、人をあっと言わ
せる語句、(物語、劇などの)急所の部分、(冗談などの)落ちを意味する。

前回の<ロジック>と別原稿である「私的マーケティング論」で述べた<構成>(下に再勝掲)に基づいて、各項目を簡潔に言い表していく。
この場合は通常のロジックとPBMに基づいたマーケティングを提案することを前提にしているが、ロジックと構成は提案内容によって
変わってくる。

市場環境
競争状況
顧客状況
選択の基準
参入戦略
商品戦略
意味
カテゴリー
コンセプト
ネーミング
価値
ブランド
セールスポイント
商品形態
ターゲット戦略
ターゲティング
ターゲットプロファイル
ターゲットボリューム
購買プロセス
ビジネスモデル
収益モデル
ロードマップ
チャネル戦略
エリア戦略
営業戦略
情報戦略
コミュニケーション戦略
コミュニケーションポジション
コミュニケーションターゲット
コミュニケーションタイミング
表現戦略
媒体戦略
SP戦略
PR戦略
Web戦略

さてパンチラインに関しての注意だが、まずパンチラインは文字が多くてはダメだ。文字が多いと、話を聞かなくてもそれを読めばいい
から、聞き手の関心が集められない。

また1ページにあらゆる要素を押し込んでいるものがあるが、これもダメ。話に関心を集められない。なぜなら今後何を話すか、それ
を見れば分かってしまうからである。

これらの共通の欠点は、伝えたいことが全て記述されているところにある。これではプレゼンターの話を聞こうという気になれない。つ
まり、そこで完結しているために、プレゼンテーションを聞く必要がないのである。

それではどうすればいいかというと、全体を全て文章化したと想定して、その中から必要最小限のエッセンスだけを抽出すればいい。
クライアントにはこのエッセンスの部分だけが目に入る。それだけを見ても意味は分かるが、さらに説明を受けるともっとよく分かる。
だから話を聞く気になる。

さらに、以下の4点に注意して欲しい。

1.パーセプション(知覚)を変える 聞き手のパーセプションを変えることを想定して、バンチラインを作る。パンチラインは「落ち」なのだ
から、それを見ただけで、なるほどと思わせなければならない。

2.キーワード、重要な数字を入れる キーワードや重要な数字を入れようと意識すると、不必要なものは省け、大切なものだけを提示
できるようになる。

3.1〜2行でまとめる 余分な形容詞などを全てそぎ落として、1〜2行でまとめる。1,2行が目で追いながら、人の話を聞くことができる最
適な分量である。

4.体言止め 記述が冗長になることを防ぐ。簡潔に物事を表現するためには体言止めが最適である。企画書がしまって見える効果も
あるようだ。

パンチラインが決まれば、パワーポイントを使うと、これを入力するだけで企画書ができあがる。こうしてできあがったものに、図やグラ
フを挿入して強化していけば、説得力のある企画書ができあがる。

ロジックも構成もしっかりできていて、言わんとすることがはっきりしている。加えて論拠も明確なので、いい企画書になる。これをプレ
ゼンすれば、評価されるのは当たり前だと思う。

H
ロジックとバンチラインを確定させたら、最後にコンセプトを明確化する。

コンセプトが明確になると、それ自体で聞き手のパーセプションを変えることができるし、これを繰り返せば、自分たちの主張のキモを
しっかり聞き手に残すことができる。

例えばコンペティションだとすると、そこで勝つプレゼンテーションというのは、主張が明確で、内容も分かりやすいことに加えて、キモと
なるコンセプトが明確という特徴がある。

ゆえに、どういうプレゼンテーションをしたのかと尋ねられても、プレゼンターも聞き手も一言で説明することができる。

一方負けるプレゼンテーションというのは、主張があいまいで、内容が複雑。こういう時はコンセプトが明確でなく、人への説明もうまく
できない。

こう考えると、コンセプトを明確化することはとても重要だと言える。コンセプトを明確化することによって主張が明確になり、その結
果、内容が洗練されて分かりやすくなる。こうなれば、それを繰り返し主張すれば、自然と印象に残るプレゼンテーションとなる。

それではコンセプトはどうやって作ればいいのか?

拙著「パワーコンセプトの技術」では、まずコンセプトが属するカテゴリーを決めて、それに対しての新しい意味を作る。また新しい意味
とは、消費者が潜在的に欲求していることだとしている。

すでに顕在している欲求ならば、それを提示されてもパーセプションが変わることはないが、潜在している欲求ならば、それを提示され
ることによって、「そうだ、これが欲しかった」「なるほど、これはすばらしい」という気づきが起こる。

そしてこの意味を変換して形態を作る。これを表出化といい、暗黙知(=意味)を形式知化(=形態)する。

この形態によって、観点が変わることをパーセプションの変容という。それと同時に何かに気づくことを気づきという。

これらをまとめると、コンセプトとは「消費者の潜在的な欲求を探索し、それを形態として表出化する過程で、消費者のパーセプション
を変化させ、気づきを起こさせるもの」と言える。

もしプレゼンテーションに際して、たったひとつだけ手直しをしていいと言われたら、私は間違いなく、コンセプトを明確化させるだろう。
そしてそれを3回程度全体の中で繰り返すことをするだろう。

それほどコンセプト明確化は、プレゼンテーションにおいて大切なことだと考えている。
I
今日から実行についての話に移ろう。

プレゼンテーションは、大勢の前でやるものや、それなりの人数を対象とするもの、また少数の打ち合わせ形式と多様である。

とはいえどんなに形式が違っていても、いちばん最初にやらなければいけないことは、聞き手に対して、自分の話を聞いてもらう準備
をしてもらうことである。

私の経験から、聞き手全員がこちらの話を聞きたいと思っていることはないと言っていいと思う。確かに一部担当者などは意欲を持っ
て聞いてくれるだろうが、そのプレゼンテーションに間接的に関わっている多くの人たちは積極的に話を聞きたいとは思っていない。

だからまずプレゼンテーションでしなければならないことは、総員の関心をこちらに向け、好意を持って聞いてもらえるように仕掛ける
ことである。

これを専門的にラポールと言う。「臨床心理学キーワード(有斐閣双書)坂野雄二(編)」によると、ラポール (rapport) とは臨床心理学
の用語で、セラピストとクライエントとの間の心的状態を表す。

もとは、オーストリアの精神科医フランツ・アントン・メスメルが「動物磁気」に感応したクライエントとの間に生じた関係を表現するため
に用いた語である。

その後、セラピストとクライエントの間に、相互を信頼し合い、安心して自由に振る舞ったり、感情の交流を行ったりする関係が成立し
ている状態を表す語として用いられるようになった。

転じて、プレゼンターと聞き手の関係を円滑に営むことを指して使われるようになった。

さて具体的にどうするかの話だが、話術の巧みな人は当日の出来事などを加えながら、聞き手を巻き込んでいくだろうが、これは誰に
でもできることではないので、私の場合は、以下の2つを実践している。

1.冒頭に与件の整理をする

これからはじまるフレゼンテーションは、いかなる要望、オリエンテーションに基づいているのか。それを簡単に、再確認するページを
冒頭に作って、そこで聞き手と意識合わせをしていく。

参加者の中には与件さえ分かっていない人もいるので、これをやることはラポールとともに、これからのプレゼンテーションを聞きやす
くすることにもなる。

2.冒頭に問題点と解決の方向を示す

与件をさらに進めて、問題点とその解決の方向を提示する。何が問題なのかが聞き手がいちばん聞きたいこと。さらにそれをどのよう
に解決していくかという方針を聞けば、プレゼンテーションに興味が持て、それがどのように進んでいくかを楽しみにできる。これがラ
ポールとなって、聞き手の気持ちは打ち解ける。

J
さて、いよいよ話をはじめるということに話題を移そうと思う。

プレゼンにとって、確かに話す力は大きいと思う。いい声で、メリハリをつけ、よどみなく話すプレゼンターのプレゼンはやはりスッと入
ってくる。しかしそういうプレゼンターは、「話す」という行為以外の要素もしっかりしていることに気づく。

例えば、顔の表情や説明にともなって行われる動き。特に企画書の表現が分かりにくい時、それを補足するジェスチャーも巧みであ
る。一方、聞き手の反応を探る動きも巧みである。聞き手の関心度、飽きなどを計算して、自分のプレゼンを組み立てているように見
える。
 
非言語コミュニケーション研究の第一人者、レイ・L・バードウィステルは二者間の対話において、言葉によって伝えられるメッセージは
全体の35%に過ぎないとしている。残りの65%は、話しぶり、動作、ジェスチャー、相手との間の取り方など言葉以外の手段だそうだ。

とすれば、上記で紹介したプレゼン巧者は、話す以外の要素=非言語コミュニケーションについてもしっかりしていると言える。ここでは
こちらについて深く掘り下げて説明していこうと思う。

それでは言葉以外の要素とはどういうものがあるのだろう。
非言語コミュニケーションの専門家マジョリー・F・ヴァーカスは次のようにしている。
・人体 性別、年齢、体格など
・動作 姿勢や動き
・目 視線の交差と目つき
・周辺言語 話し言葉に付随する音声上の性状と特徴
・沈黙
・身体接触
・対人的空間
・時間
・色彩

プレゼンテーションをする人物自体から、ジェスチャー、目の配り、声の質、話の間や身体への接触、場所や時間、身につけているも
のの色まで、たくさんの要素が指摘されている。

さらにプレゼンテーションに関係する動作に絞って見ていくと、ポール・エックマンとウォレス・V・フリーセンはそれをさらに5つに分類し
ている。
・表象動作(エンブレム) 特定の語句の代理をする動作
・例示動作(イラストレーター) 言葉によるメッセージに付随し、そのメッセージを説明・例証する動作
・感情表出動作(アフェクトディスプレー) 顔や顔以外の、個人の情緒的な状態や反応を伝える動作
・言語調整動作(レギュレーター) 話したことが聞き手に理解され、受け入れられているかどうかを知らせる動作
・適応動作(アダプター) ある状況に自分を適応させる目的で行われる動作

感情表出動作と適応動作は無意識に行われる動作なので、それ以外の3つがプレゼンテーションに関係してくる。さらに表象動作と例
示動作は、自発的に行うジェスチャーであり、言語調整動作は受け手が示すサインである。

ここではこれらにどんなものがあるか、どのように使えばいいかを解説して、非言語コミュニケーションという聞き慣れない概念を具体
的にイメージできるようになっていただこうと思う。

K
まずジェスチャーから述べていこう。

ジェスチャーとは、何かを伝えようという意図のもとに身体の動きが起こり、それが伝えるべき内容に関連がある時のことを言う。また
ジェスチャーは大きくふたつに分かれるという。

ひとつはエンブレム。これは先ほどの表象動作と対応するものである。これはジェスチャーの形と意味が社会慣習として定着している
ために、発話を伴わないでも通用するジェスチャーである。

例えば、こぶしを固めて掲げる「ガッツポーズ」や人差し指と親指で丸を作る「OK」などがこれに当たる。

もうひとつは自発的ジェスチャー。こちらは先ほどの例示動作をもっと大きく捉え、形と意味が社会慣習として定まっていないので、い
つも発話とともに現われるジェスチャーをいう。

例えば、例示動作のように方向や場所、事物を指すジェスチャーや手で四角や丸を表現して、ものの形状をイメージさせるジェスチャ
ーがこれに当たる。

サイン言語研究の第一人者D.マクニールは、ジェスチャーは言葉とともに思考を形づくりのを助けるのだと述べ、単にイメージを外化
するのではなく、ジェスチャーすること自体が考えることになるのだと指摘している。

これはジェスチャーに、相手に内容を視覚的に伝える他者指向性だけでなく、自身の発話を促進、強化する自己志向性があることを
示している。

このことから、プレゼン巧者は話だけで成功しているのではなく、意識的にジェスチャーを操り、自身の思考能力、ひいては話す能力さ
えも高めていると解釈できる。

さて聞き手のサインに話を移そう。ジェスチャーが発話を促進させるとしたら、こちらのサインは相手の反応を知らせてくれ、それへの
対応を可能にしてくれる動作である。

具体的には、説明の明確化や繰り返しが必要であるのか、さらに次の説明に進んでいいのか。また、自身の説明が許容されているの
か、拒否されているのかを教えてくれる。
マジョリー・F・ヴァーカスによれば、話の受け手は、話し手の説明に対して無意識に様々なサインを示しているそうだ。

具体的には、関心や同意、理解などの肯定的サイン、一方、退屈や不安、不賛成や無関心などの否定的サインを身体の全体や一部
で表現している。

プレゼン巧者は、これらのサインを熟知し、サインが出た段階で適切に対応しているのかも知れない。

とすれば、これもプレゼンに応用できるだろう。プレゼンを進めていく段階で、聞き手が示すサインに的確に対応していけば、そのプレ
ゼンが成功する確率は高まるはずである。

L
それでは具体的な話に移ろう。

まずはエンブレムである。これはジェスチャーの形と意味が社会慣習として定着しているために、発話を伴わないでも通用するジェス
チャーだと先述した。具体的には、

1.遂行エンブレム
会釈やOKサイン、手招きや手をあげての合図、フィンガースナップ(指パッチン)などをいう。相手に合図を送りたい時に、言葉で言う
代わりにする動作である。

例えば会釈は、これをすることで、あいさつという社会的行為を遂行することになる。このようにジェスチャーをすること自体が、ある社
会的行為の遂行を意味するので、遂行エンブレムと言われる。

2.単語エンブレム
親指を立てるアウト、手を横に差し出すセーフ、OKサインを寝かせたコイン、人差し指と中指を立てた勝利のVサインなど、それだけを
示されれば、意味が分かるジェスチャーがある。

これは遂行エンブレムとよく似ているが、社会的行為の遂行と結びつかないで、それだけで意味を示すので、このジェスチャーを単語
的エンブレムと呼ぶ。

単語エンブレムはそれだけでやり取りを完結させることができる。それ以上の言葉もいらないし、動作も必要ない。だから、言葉では
いいにくい場面に重宝する。

3.心理エンブレム
合図、単語エンブレムは、相手への情報提供が目的であったが、この心理エンブレムは自分の心理状態を表すことが目的となる。例
えば、胸に手をあてる安堵のポーズや拳を固めて振り上げるガッツポーズ、お礼を言ったり、謝ったりする時の恐縮のおじぎがこれに
あたる。

これらは自分の心理状態を相手に伝えるためのジェスチャーであり、その性質を利用して、自分がどんな心理状態であるかを相手に
示すことができる。さらにもっと上手に使えば、自分のイメージを自分自身で作りあげることもできる。

4.会話調整エンブレム
相手の話への「うなずき」や開いた手で指先を相手の方に向け会話を譲る「どうぞ」のポーズ、首ふりで縦なら「イエス」、横なら「ノー」
を表すポーズなどがこれにあたる。

会話調整エンブレムは、会話の流れに関連するものであり、これが行われることにより、会話がスムースになったり、相手の本音を引
き出したりすることができる。

5.修辞的エンブレム
政治家の演説でよく見かける、手刀や人差し指を伸ばした指差しを、繰り返し振り下ろすようなジェスチャーがある。これは重要な点を
強調するために行われているだけでなく、自分の主張を誇示したり、自信を表現したりする意味もあるようだ。

これは自分の発話の内容が、その中でどのような位置を占めるのかという情報を付加する。言うなれば、自身の発話を強調する役割
をするジェスチャーである。

M
続いてジェスチャー。こちらは先ほどのエンブレムをもっと大きく捉え、形と意味が社会慣習として定まっていないものをいう。

1.指示ジェスチャー
 身体の一部をある方向に向ける。またはある場所を触ることによって、方向、場所、事物を指し示すことを直示的ジェスチャーとい
う。指し示すジェスチャーであることを分かりやすく言うために、筆者はこれを指示ジェスチャーと呼んでいる。

 これは自由度が高い自発的ジェスチャーの一種だが、よく使われる形がある。例えば、人差し指を伸ばした指差しの形、親指だけを
伸ばす形(自分の後ろを示す場合に使われる)、手のひら全体を伸ばす形(バスガイドが方向を示す場合によく使われる)などである。

 日常生活では実際に方向や場所、事物を指すことが多いが、プレゼンテーションでは自分の考えを指すことが多い。具体的には対
比構造を表現したり、これから述べる話の数を表現したりする。

2.変化ジェスチャー
 プレゼンテーションでは「変化」がテーマになることが多い。時間の変化、売上げの変化、形の変化など。しかし、変化は言葉だけで
は伝わりにくい。こういう時にジェスチャーを伴って表現すると理解は格段に高まる。こういう時に使うジェスチャーを、筆者は変化を表
現するジェスチャー、変化ジェスチャーと呼んでいる。

正式には客体化表現法という。身体の一部(主に手)が登場人物、または物を表現し、まるで人形使いが人形を操るように、その身体
の一部を動かして様々な変化を表現するからである。

3.演技ジェスチャー
 話の登場人物の動作を演じるように身体を動かすジェスチャーを演技的表現法という。自発的ジェスチャーの中でも最も自由度が
高く、効果的なジェスチャーである。とはいえ、明確な規定がないので実行するのは難しい。

 筆者はこのジェスチャーを多用している。なにしろ抽象的な言葉を具体的なイメージにできるので、聞き手の理解度が格段に高ま
る。また、相手に楽しんでもらうこともでき、時には笑いをとることさえある。

 筆者はこのジェスチャーをひとり芝居と思ってやっている。ジェスチャーというレベルの認識ではなく、自分の言いたいことを自分が主
役になったつもりで演じるのだ。そういう認識をしてもらった方が実行しやすいと思う。具体的には、ターゲットをイメージさせたり、行動
をイメージさせたりしている。

4.形態ジェスチャー
 まるで物の表面をなでるような演技的な身体の動きによって、その形を表現することを彫塑的表現法という。また、物の輪郭をなで
るような動きで、主に指差しでその形を表すことを輪郭的表現法という。両者を合わせて、筆者は形態ジェスチャーと呼ぶ。

 これはプレゼンテーションにおいて、商品や各種ツールを説明する時によく使う。特に、それらの材質や形、大きさを説明するのに重
宝している。説明しようとするモノが、つるつるなのか、ザラヅラなのか。丸なのか、四角なのか、三角なのか。小さいのか、大きいの
か。こういったことにリアリティを持ってもらうために行うジェスチャーとして、形態ジェスチャーは効果的である。

プレゼンテーションには見本を用意できない時もある。こういう時に自分の身体でそれを表現すればいい。これこそがジェスチャーの
醍醐味である。

N
話の受け手は、話し手の説明に対して無意識に様々なサインを示している。

関心や同意、理解などの肯定的なサイン、一方、退屈や不安、不賛成や無関心などの否定的サインを身体の全体や一部で表現して
いる。今回はこの前者について述べることにしよう。

1.瞳が大きくなる
 交渉の相手がポーカーフェイスの場合、とてもやりにくい。なにしろ感情がオモテに出てこないのだから、ホントはどうなのか、さっぱ
り分からない。

 こういう人の場合は、彼の目を見て判断することをお勧めしたい。

 ヘスという心理学者が確認したことであるが、人は強い関心を持つと瞳が大きくなる。ヘスの実験によると、女性に赤ちゃんの写真
を見せると、瞳が20〜25%大きくなり、男性に女性のヌード写真を見せると、瞳が20%大きくなるそうだ。

 また目の動きで相手が何を考えているかが分かるという研究もある。これは神経言語プログラミングという心理療法の中で紹介され
ている。

【目が左上に動く】これは過去の体験を思い出している時に見られる。何かの提案をして、相手が左上を見ていたら、彼は過去の経験
や失敗を思い出しているに違いない。

【目が右上に動く】これは見慣れないものを自分なりにどうやって判断しようか、思いめぐっている時に見られる。今までとちょっと変わ
った提案などをした場合に、どうしようかと迷っているような時に見られる。

【目が左下に動く】聴覚に関わることを思い出している、あるいは思いめぐっている時に見られる。例えば、確かに聞いたことがあるの
だが、何の唄か思い出せないような時に起こる。

【目が右下に動く】運動に関わることを思い出している時に見られる。例えば、かつて走った、マラソンの場面を思い出したりする時に
起こる。

 目が上下、左右に動く時は、このように何かを思案している時が多い。左上なら「過去」、右上なら「未知」、左下なら「音」、右下なら
「運動」と覚えておけば、相手のシンキングタイムに対して、適切な対処ができるだろう。

2.聞き手のピントが合ってくる
 プレゼンをはじめても聞き手がさっぱり反応してくれない時がある。こういう時というのは、聞き手の目線さえ自分に合ってない。

 一方、聞き手のピントがバッチリ合ってくる時がある。こういう時は、まず聞き手の身体がこちらを向いてくる。そして下を向いていた
者は顔をあげて自分を見るようになる。また、企画書を見ていたり、他の作業をしていたりした者が、それらをやめて自分の方を見る
ようになる。さらに聞き手の目線が自分を追うようになる。

 後者のような状態になるためには、プレゼンターから意識的に聞き手に働きかける必要がある。特にプレゼンの冒頭は重要。ここで
聞き手に意識的に波長を合わせることを、深層心理学では「ラポール形成」という。

これは、ブレゼンターに対して持たれてしまう警戒心や聞き手が抱く防衛本能を低下させるための働きかけなのである。

はじめてプレゼンをする時によく、「冒頭で自分の自己紹介をしてからはじめろ」と指導されるが、これはラポール形成のために指導さ
れている。プレゼンターが自己紹介することで聞き手は、"ああ、こういう人となりの人が説明するんだ。よし、それなら聞いてやろう"と
いう気持ちになる。これを期待して行うのである。

 また同様に、聞き手に目線を合わせながら話すように指導される。これはアイコンタクトというもので、聞き手ひとりひとりに、"あなた
にお話しているんですよ"という気持ちを抱かせる。

不思議なもので、このアイコンタクトを聞き手全員に行うと、全員の目線が自分に合ってくる。このように自分に聞き手のピントが合っ
てくるというのは、聞き手が自分を認め出したということを意味する(つづく)。

O
3.ほほえむ
 ラポール形成が成功すると、さらに強いイエスのサインが返ってくる。それは無表情だった聞き手のほほえみである。
最初は聞き手の多くが、"聞く気はないぞ"とか"だまされるものか"といった表情をしている。ところがラポール形成がうまく行って、さら
にこちらの話に納得してくれると、固かった表情はウソのように溶けて、微笑んでくれるようになる。

 マタラッツオはこれをシンクロニー(同調傾向)と名づけた。シンクロナイズドスイミングのシンクロ、つまり行動が同じようになってくる
ことである。同じようになってくるのは、イントネーションやアクセント、発話のスピードまでに及ぶそうだ。その結果、会話の時間は長く
なり、沈黙の時間にまで影響が及ぶ。

 それではなぜシンクロニーは起きるのか?

 これはプレゼンターの全てに納得してくるからである。プレゼンターのしぐさ、話している内容、それらから伺えるプレゼンターの人と
なり。

言い換えれば、プレゼンターと聞き手が同等の知識を持つことが分かり、そこから得られる類似感や一体感が、両者の関係を同調さ
せるのである。つまり、シンクロニーが発生する時には、聞き手には完全にイエスの気分ができあがっている。つかみの段階から説得
のはじめの段階まで移行したと思っていただろう。

 筆者の経験によれば、ここまで雰囲気づくりに成功すれば、あとは提案の内容がよっぽどずれているか、クロージングの段階で失敗
しないかぎりは、ほとんど成功に持ち込める。

4.うなずき
 ほほえみや相づちは、とても強いイエスのサインだが、その先のサインもある。

 ラポートがうまくいき、シンクロニーがはじまる。さらに聞き手がこちらの提案に納得しはじめると、こちらの話の要所、要所で、うなず
いてくれるようになるのだ。

そもそもうなずきというのは、聞き手が話し手の言うことを認めているから行うものである。ある学者は、うなずきという行為をしている
自分に自己拘束されるとも言っている。これを分かりやすく言えば、自分はうなずくという肯定的な行為をしたのだから、その責任をと
って、話し手に対して好意的に評価しなくてはならないと思ってしまうというのだ。

 ということは、うなずきは聞き手が示すサインの中でも、サイコーに自分を認めてくれているサインなのである。だからもしこのサイン
が出たら、ぐずぐずしていないで、すかさずクロージングに持ち込むといい。

5.しぐさが同じになる
 ピントが合う、ほほえむ、うなずく。こういう流れでシンクロニーは進む。そしてごくまれになのだが、その先のサインにお目にかかる
時がある。聞き手が話し手である自分と同じ動作をし出すのである。

 よく言われることであるが、仲の良いもの同士というのは姿勢やしぐさが似てくるという。これを姿勢の同調現象という。これは姿勢
やしぐさだけでなく、字体や髪型、持ち物など、いろいろな面に反映するそうだ。

 これは聞き手と話し手の関係にもあてはまる。聞き手が話し手に心酔すると、姿勢やしぐさ、表情まで似てくる。これをスピーチの類
似動作という。さらに話し手がうなずくと聞き手もうなずく。話し手がしかめっ面をすれば、聞き手もする。腕を組めば腕を組む。まるで
鏡に映っているように同じになる。これを鏡映化という。

 これが究極のイエスのサインと思っていただければいい。聞き手は話し手に心酔していたり、尊敬の念をいだいていたりするから、
こういうサインを出してくるのである。

P
今回からは、退屈や不安、不賛成や無関心などの否定的サインについて述べていくことにする。

1.聞き手のピントが合わない
 一生懸命話しているのに、聞き手のピントがいっこうに合ってこない。企画書ばかり読んでいる者。なにやら一生懸命、ノートらしきも
のに記入している人。もしかしたら寝ているかも知れない人。

 こういう状態が続いたら、これはノーのサインである。聞き手はこちらの話を聞く気がまるでないと思っていい。

 こういう状態になってしまうにはゼッタイに理由がある。その理由を考えて、すぐに立て直さないと、このプレゼンは必ず失敗に終わ
る。
 それでは考えられる理由を列挙してみよう。
・こちらから悪意を持ってしまった
・ラポートがうまく行っていない
・アイコンタクトができてない

 とにかくピントが合ってくれない限りは、シンクロニーが起きない。ここをきちんとクリアーすることが最も大切だということを覚えておこ
う。

2.指で頬をさわる
 プレゼンが進んでいく。すると聞き手の中に身体のどこかをさわっている人が増えてきた。

 ある人は下を向いて、指で目の上あたりをさわっている。ある人はほおずえをつきながら、自分の頬をさわっている。ある人は唇を
両手でつまんでいる。これらの動作はどう見ても「楽しい」というカンジではない。

これらを自己親密行動といい、不安だったり、自信がゆらいでいたりする時に多く見られる動作である。この動作はさわることだけでな
く、なでる、こする、さする、かく、ひっかく、ほじくる、つつく、つまむ、たたく、ゆする、いじる、にぎるなどの形でもあらわれる。

 なぜこのような動作があらわれるのだろうか?
専門家によると、
・自分のカラダの欲求を充たす働き
・自分の感情を出したり、抑えたりする働き
・他人といい関係を保つ働き
なのだそうだ。

つまり、現在抱え込んでいる緊張感を取り除いて、生き生きとした充実感を取り戻したい気持ちのあらわれなのだ。だからこのサイン
はかなり強いノーのサインと思っていただいていい。

3.口をかくす
聞き手や交渉相手がいきなり口をかくす動作をする時がある。

よく見られるのは、手のひらを立てて、口全体を覆うしぐさ。また鼻の下に片手を横にあてて、口を覆うしぐさ。これらの変形としては、
唇を指でなでる、下唇を指でもてあそぶ、唇を手でつまむ、人差し指をカギ型にして指に押しあてる、下唇を親指と人差し指ではさむ、
上唇の上に人差し指をのせる、手のひらで唇をこするなどがある。

 この、口をかくす動作には大きく3つの意味がある。
・自己防衛の心理
・心理的ないやしの効果
・口唇欲求

このサインが出たら、相手は迷っているか、考えをまとめようとしていると思えばいい。これはイエスとノーの中間のようなサインである
(つづく)。

Q
4.腕を組む
 「腕を組む」と一言でいっても、いろいろな腕の組み方がある。
・おなかのあたりで、両手の指と指を合わせたり、両手を組んだりするしぐさ。
・カバンなどの持ち物を、自分の前で両手を持つしぐさ。
・胸のあたりで、両手のこぶしを握りしめ、両腕を組むしぐさ。
 
 実は、これらの動作にはいろいろな意味がある。ここでは大きく3つの意味を説明しよう。
@防御という意味
ひとつは、自分の身体を小さく縮めて目立たないようにし、他人の標的にならないようにするという意味がある。

 プレゼンの場でこういう動作をしている人は、積極的にそのプレゼンに参加したいと思っていない人と見ていいだろう。つまり、これ
は軽いノーのサインである。

A思案中という意味
外部からの刺激がジャマなので、じっと腕を組んで、自分の内面の世界に入り込んでいるのである。この場合は、近くに人がいる場合
に、この動作が出やすい。

 この意味では、腕を組むという動作に併せて、脚を組む動作も見られる。こうなってくると自己親密行動の最たるものと言えよう。彼
はじっと身体を縮めて、熟慮に入っているのである。

 これはイエス、ノーの判断が難しい。が、思案中ということなので、早急に何らかの対応をする必要はない。しばらく様子を見てみよ
う。
B批判的という意味
組んだ腕を胸のあたりに置き、「ウーン」とうなりそうな顔をしている。こういう時は、かなり批判的だと思っていい。腕組みと併せて、あ
ごを少し、突き出している。話し手と距離をとっている。一般的に、批判の対象と7メートル以上離れると言われている。

 プレゼンでも、プレゼンターと距離をとって、腕を組んでいる人がいる。こういう人はとても強いノーのサインを出しているのだ。

 さて視点を変えて、この動作の、出現するタイミング毎の意味を説明しよう。
@初めから腕を組んでいる場合
これは、プレゼンターに対して、脅威やおそれ、ひけ目がある。プレゼンターが権威であったり、プレゼンターに見破られたくない何か
があたり、心にやましいことがあったりするのだろう。いずれにせよ、これもノーのサインである。

Aプレゼンの途中から腕をくみ出した場合
これは、プレゼンターが聞き手に都合の悪い話をした時に多く見られる。"自分は同意できんぞ"という代わりにこの動作をしているの
だ。この動作に併せて、目線をはずしたり、下を向いたりするようになる。これは明らかにノーのサイン。

B腕組みに、腰に手をやる動作が加わった場合
腰に手をやって、三角形を作る動作をアーム・アキンボーという。これは自分を大きく見せて、相手をおどす動作である。つまり、相手
は守りから、攻撃に転じてくるのである。これはものすごく強いノーのサインなのである。

5.あごを突き出す
 あごを突き出すということは、急所である「のど」を見せることである。ゆえに、相手との間にはっきりした力の差を感じる時に出てし
まう動作なのである。

 あごを突き出す動作とともに、両方のまゆをあげて、黒目の部分を下の方にする動作が加わると、完璧に「私はあなたをみくびって
いますよ」の動作となる。

 プレゼンの場合は、こちらの立場が弱い時や若い人間がプレゼンターとなる時、また提案のレベルが低い時にこういうしぐさがよく見
られる。

R
サインのおさらいをしてみる。

 イエスのサインとしては、関心、同意、理解がある。大きく特徴とされているのは、
1.視線や身体全体の焦点が話し手に向いてくる
2.うなずく
3.表情がやわらかくなる
4.相手の動作を模倣する
という4点である。

 またノーのサインとしては、自信がゆらぐ、退屈、不安、不賛成、無関心が紹介されている。大きく特徴とされるのは、
1.視線や身体全体が話し手からずれる
2.関係ない動作をし始める
3.首をひねる(動かす)
4.うつむく
5.身体を固める(腕組みをする等)
の5点である。

 これらのサインが聞き手から出はじめたら、すぐ何らかの手を打つべきである。

 まずイエスのサインの場合。これはプレゼンを成功させるチャンスである。だから、どんどん攻めよう。攻めるのに効果的な方法は、
・相づち 
相手がイエスのサインを出しているのだから、相づちをして、こちらから、さらに同調していこう。こういう同調行動が相手との好意を作
るのである。
1.類似の法則 
これは相手との類似点を探し、心理的距離を縮めていく方法である。相手がイエスのサインを出しているのだから、さらに類似の法則
を使って、絶対的な関係を作ってしまおう。
2.相手の意見を引用する
 イエスのサインが出たら、相手がかつて述べた意見を引用し、それを参考にして自分の考えを使ったと言おう。相手に花を持たせる
ことでプレゼンを優位に運ぶのである。
3.キーワードを繰り返す
 ここぞとばかりにキーワードを繰り返そう。相手はイエスの雰囲気になっているのだから、いちばん大切なキーワードを刷り込んで、
完全にこちらのシンパにしてしまおう。

さらに、相手がのってきたら、すかさずクロージングしよう。
1.相手にイエスと言わせ続ける
 相手がノーとは言わない内容を続けて、最後に、決めたい内容をぶつけよう。イエスという気持ちに慣れてきている相手がここでノー
という可能性は低い。
2.小さく出て、大きくまとめる
 イエスという雰囲気はできている。ならば、まず小さくクロージングしてしまい、イエスの雰囲気を持続しながら、さらに大きな仕事に持
っていこう。
3.まず小さくまとめて、オプションでかせぐ

 先ほどとほとんど同じだが、大きな話にすり替えにくい時は、オプションを提示して、仕事を大きくしよう。

次は、ノーのサインである。この場合はすぐさまリカバリーしなければならない。リカバリーの方法は、状況に応じて、立て直す、仕切り
直す、やり直すの3つがある。

1.立て直す 
相手がノーのサインを出して、プレゼンの途中であるのにも関わらず、不満なところを突っ込んでくる場合がある。こうなると、このプレ
ゼンは不幸な結果に終わりがちである。こういう時は勇気をもって、「すみません。先まで聞いていただいてからご意見をちょうだいし
てもよろしいでしょうか」と持ちかけよう。

細かい点に関しては不賛成だが、総論としては賛成という場合がある。総論で賛成してもらえるのに、ほんのささいなところでつまずい
てはしょうがない。

またノーのサインが出たら、自分の方から現在話しているところを先に進めてしまうのも手である。「ちょっと感覚が違いますか?ならば
ひとつ先に進めさせていただきます」「この案はテイストが違いますか?ならば他の案に移らせていただいてよろしいでしょうか」などと
言って、自分の方から進めてしまおう。

2.仕切り直す
提案を複数のスタッフで行っている場合は仕切り直せばいい。

例えば、あるスタッフのパートに対して、相手のほとんどがノーのサインを出しているとする。このままでは他のパートに移る前に、不賛
成の雰囲気ができあがってしまう。ならば、このスタッフを早く切り上げて、次のスタッフに仕切り直してしまおう。あるいは話に割って
入り、自分で今までの話のまとめをしてしまい、次のスタッフに進めるというのも効果的である。多少強引ではあるが、キズを深める前
にリカバリーした方がトクである。

3.やり直す
相手のノーのサインが強い場合。例えば冒頭から、話の前提が違うと指摘され、強いノーの雰囲気ができあがってしまった時は、自ら
やめてしまい、「すみません。明日までにやり直してきます」と潔く言おう。

ここで深みにはまって仕事が成立しないよりも、相手の意向を加えて作り直した方が、仕事が成立する可能性は高い。また、すぐ気が
ついて一日でやり直すと、相手はプラスのイメージを持ってくれるものである。

S

プレゼンテーションでなぜか相手を納得させてしまう人がいる。こういう人は、相手の気持ちのあり方をいつも考えているのだ。いつも
相手をいい気持ちにさせることに気を配って、"納得しなければ申し訳ない"という雰囲気を作り出してしまう。

相手は「好意」「尊重」「賞賛」という雰囲気の中で話を聞かされているのだから、とてもいい気分になる。この気分が、彼に対して応援
しなければいけないような気持ちにさせる。

こうして、彼の仕事なら通してしまいたくなってしまうのだ。

実は、ここには心理学が応用されている。いきあたりばったりでなく、きわめて科学的な理論が応用されているのだ。

この話法については別連載の「質問の技術」で紹介したが、ここではその要点をまとめてみる。

@引用
これは相手、特にキーマンがかつて話した内容を引用して、自分の提案を正当化する方法である。辞書的な「引用」の意味は、自分
の説のよりどころとして、他の文章や事例、または古人の言葉を引くことである。

人というのは、自分の意見が尊重されていることをうれしく感じるものである。これをアメリカの心理学者であるM.シェーラーは、人間の
感情には4つの層があり、第3の層=充実感や倦怠感、緊張感を刺激することが相手の感情をゆさぶるのに効果的だと言う。相手の意
見を引用するのは、ここへの刺激と考えられる。
 
A強い同意
相手の意見に強く同意することで心理的距離を縮めていく方法である。人は自分の意見になんらかの不安感を持っている。だから強
く同意されると安心する。言い換えれば、人は自分の意見が正しいと思いたがり、自分の意見に強く同意してくれる人を好ましいと思う
のだ。

アメリカの心理学者アブラハム・マズローは欲求段階説で知られる高名な人物であるが、強い同意というのは、彼のいうところの承認
欲求にあたる。人は誰でも自分のことを認めて欲しい。だから、自分を認めてくれる相手に好意を持つのである。

B類似の法則
相手と自分との間に何らかのつながりがある場合、そこには好意が生まれる。このつながりを心理学者は「類似性」と呼ぶ。この類似
性を意識的に作り、相手との心理的距離を詰めて好意を獲得する方法が類似の法則である。

アメリカのフェスティンガーは、大学の寮に住む学生を被験者として、どのような条件が仲良くなることに影響するのかを実験した。こ
の結果、初期の段階では自分の部屋に近いものと仲良くなることが確認された。この現象は近接の要因と呼ばれる。その後は、時間
の経過とともに性格や態度が似ているもの同士が仲良くなることが確認された。こちらは類似性の要因と呼ばれる。

C名前を呼ぶ
自分から積極的に相手の名前を呼ぶことで、心理的距離を縮める方法である。 積極的に相手に対してポジティブな印象を与えたり、
相手を思い通りに動かそうとしたりすることを獲得的印象操作という。「取り入り」「謙遜」「哀願」「謙遜」「威嚇」などがそう。名前を呼ぶ
ことで相手との心理的距離を縮めようというのは、この「取り入り」にあたる。

Dキーワードの連呼
キーワードを繰り返して言うことで、自分たちの主張を強く印象づけてしまう方法。広告代理店にはコンペティションという習慣がある。
これは競合の会社とともに、同じテーマのブレゼンをして仕事を勝ち取るというもの。もちろん他の業界にもあるだろうが、広告代理店
ほどたくさんコンペティションをこなしている会社はないだろう。

コンペティションで勝つプレゼンというのは、主張が明確で、内容も分かりやすい。加えて、主張のキモとなるキーワードがある。そうい
う時のプレゼンは、「どういう内容のプレゼンをしたの?」と聞かれても、一言で説明することができるものである。それだけ主張が明快
で、かつ一貫しているからである。

E具体化
心理学者のワイアットは抽象的な表現と具体的な表現のどちらが、人を行動に駆り立てるのかを実験した。

まず2種類の注意書きを用意する。その一方には抽象的に、「ゴミを散らかしてはいけません」と書いた。もう一方には具体的に、「ゴミ
は部屋の右奥にある黄色いゴミ箱に捨ててください」と書いた。

この実験の結果、人々は具体的に書かれている注意書きの方に従った。これは、具体性のあるものの方が人々を行動に駆り立てる
ことを明らかにした。

この原則はプレゼンにも応用できる。自分が説明しようとしている内容を、できるだけ具体的な例に置き換えて話すことで、相手の理
解度を高めることができる。そして結果的に、説得まで持ち込める確率も高くなるのだ。

Fレトリック
足のきれいな人をそのまま「きれいな足ですね」と言ってもいいが、「カモシカのような足ですね」と言うと、さらに美しさが強調される。ま
た色の白い人を、「雪のようにきれいな肌ですね」と言った方が、さらに美しさが伝わる。いずれもレトリックの直喩という方法が使われ
ている。

このように、効果的にレトリックを使うと相手の共感や驚きを大きくすることができる。特にプレゼンのキモとなるコンセプトにレトリック
を使うと相手の意表をつくことができる。いちばん大切なところにインパクトが作れれば、それが評価される可能性は高い。


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