熱海は日本の楽園


 子供ができるまでは、「熱海なんかじいさん、ばあさんの行くところ」だと思って馬鹿にしていた。ところがここ数年、休暇と言えば熱海
を訪れ、すっかり熱海フリークになってしまった。

 熱海はいい。例えばタクシーひとつ取っても、自分たちが観光客を相手に仕事をしているということをしっかり理解している。そのた
め、トランクを開けて欲しいと言えば、即座に運転席から外に出て、荷物を入れるのを手伝ってくれる。

 飲食店もそうで、幼児を連れていると言っても嫌な声ひとつあげない。これはすばらしい文化だと思う。

 海よし、山よし。そして島もいい。私はいつも1日は高速船に乗り、初島に渡る。はじめて熱海に滞在した時は何もない島で、寂れた
公園でシーソーをやったり、島中をベビーカーを押しながら散歩したものだった。

 しかし最近は開発が進み、リゾートができたり、灯台ができたりして、しっかり楽しめるようになった。

 とはいえわれわれはそういう楽しみ方をせず、もっぱら昼魚、酒を楽しむ。港の周りに店が立ち並んでいるが、私はそのいちばん端
の「山本」という店にお世話になっている。 

 はじめておじゃましたのは、まだ息子たちが2才だった頃。すっかり遊びなれた親たちは魚と酒を堪能したいが、子供を連れて行くに
ははばかられる。そこでいちばん端にあるこの店に、子供連れでもいいかと尋ねたのである。

 ご主人(女性だが)はにっこり笑ってどうぞと言ってくれた。それ以来、3年間ずっとこの店に通っている。

 初島は伊勢えびやあわび、鯵やいかがいい。この間行った時はちょうど伊勢えびが解禁になった時なので、お代わりをするほど大
量にごちそうになった。なにより鮮度がいいので、ここでごちそうになると熱海の店ですら満足できない。おまけにものすごく安い。こん
なにコストパフォーマンスのいいところはないだろう。

 熱海の街では天匠、淡島寿司などにおじゃましている。前者は必ずお客さまがあると行くお店。網代にある姉妹店から魚を届けさせ
ているので、鮮度が違う。料理もすばらしい。

 後者は大人と行く。生きているかわはぎと鯵をさばいてもらったが、ものすごい鮮度で感激した。

 熱海は遊ぶところも豊富にある。なにしろ山も海もあるのだから。

 海はサンビーチというきれいな海岸がある。今年は海に入ってみたが、昔とは違い、とてもきれいだった。最近は熱海ブームのせい
か、街をあげていろいろな取り組みをしている。花火は有名だが、イタリアとコラボしてイベントをしたり、ビーチバレーをしたりもしてい
る。この一環で海もきれいに整備したのであろう。

 山はハーブ園というのがいい。バスでてっぺんまで連れて行ってもらって、ゆっくり花々を見ながら下ってくるという趣向だが、ものす
ごくしっかり手入れがされているので飽きない。ちょうどいいところに喫茶店があって、そこで出されるバラのアイスクリームというもの
も美味。こういうゆったりした気分になれるところはなかなか、ない。

 雨が降るとマリンスパあたみに行く。ここは流れるプール、子供プール、競泳プールなど様々なプールがあるとともに、スパの名の通
り、たくさんの浴場施設がある。子供を子供用プールで遊ばせ、親は変わりばんこで、競泳用プールでガシガシ泳ぐ。あるいはだっこ
して、ながれるプールで浮遊する。

 さんざ遊んだ後は、いろいろなお風呂を楽しんで、〆は温泉に浸る。半日遊んで、1300円は激安だろう。

 また小さい子供がいるのなら、マックスバリュー2階の遊び場がいい。ここはボールのプールがあり、ここへ滑り台からダイブする趣
向になっている。絵本やままごと道具、テレビゲームまであり、最初、1才の時に旅行した時にはここが重宝した。なにより、ここで妻子
を遊ばせておけば、その横で仕事ができる。

 最近では仕事の切り方というのが分かってきたが、当時はいくつものクライアントを同時にまわしていたので、何もやらないということ
ができなかった。なのでこんな具合に、こそこそ仕事をしていたのである。

 他にも梅園を散歩したり、来宮神社を参拝したり、熱海駅前商店街を散歩するのもいいだろう。熱海銀座も古い下町を思い出すこと
ができて、私には心地いい。

 ハワイが海外の楽園だとしたら、熱海は「国内」の楽園である。観光というカテゴリーではなく、楽園というカテゴリーで熱海を考える
と、その良さを実感してもらえるだろう。将来は間違いなく、ここに拠点を作るか、永住したい。それほど魅力的な楽園が熱海である。


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