私的オフコースベストテン


 私の人生に、とっても大きな影響を与えたオフコース。

 「人を感動させたいから自分が感動したいんだ」「高学歴をムダにしてもやるべきことは音楽だ」「質の高いことをしていれば時代は
ついてくる」「(フォークソングのような)誰でもすぐできる音楽は自分たちのやることではない。自分たちはレベルの高い音楽をやる」。

 安易に流されようとした時はいつも、私の中にはオフコースがいて戒めてくれた。そんなオフコースの、独断的なベストテンを考えて
みようと思う。

第10位。「夏の終わり」 FAIRWAY収録
 FAIRWAYって高校2年の時に出た。それですぐこのLPを買ってきて、針を落とした。あとで出てくるが「あなたのすべて」が最初で、い
きなり「スゲー」と身震いしたのを覚えている。「夏の終わり」はB面最初の曲。小田の曲がいいのはもちろんなんだけど、鈴木の低音と
ギターがものすごくいい。「夏は冬にあこがれて冬は夏に帰りたい」。ここのハーモニーがものすごくいい。小田の主旋に対して、こんな
に低いハーモニーってそれまでなかった。ラウンド2あたりまでは「いかにしてふたりの声を似せるか」がポイントだったように思うが、こ
の辺りからふたりの声の違いを生かしてハモルようになった。

 第9位。「すきま風」 ラウンド2収録
 このラウンド2はいきなりプロローグというコーラス曲ではじまる。続いてこの「すきま風」がドラムフレーズとともにいきなりはじまる。
「ふたりにすきま風が吹く」というすれ違いの歌詞なのに、曲はものすごく清涼感がある。特に好きなのが、最後のフレーズ「やさしさ、
風にそよぐよ」の鈴木と小田の掛け合いのハーモニー。とてもきれいだ。私が求める作品の価値というのは、@美しさA勇壮さB緻密
さなのだが、このハーモニーは@の美しさを満たしている。当時はこのハーモニーに準拠したと見られるCMソングがたくさんあった。
「あっ、またオフコースだ」というほどたくさんのCM曲をやっていた。これはオフコースの美しさにカネを払うクライアントが多かったとい
うことと、厳しい選択眼を持つ代理店のクリエーターの眼にかなっていたことを意味するのではないか。

第8位。「こころは気紛れ」 SONG IS LOVE収録
 SONG IS LOVEはオフコース4枚目のLP。名盤「ワインの匂い」のあとだったただけに、どんなアルバムなのだろうと楽しみにしてい
た。が、当時は裏切られた感が強かった。なぜなら、いきなりバンドナイズして、アコースティック的雰囲気がなくなったからだ。特に鈴
木の曲はヘンな曲ばかりだし、リズム体に木魚やカップヌードルを使ったりしているところに強い違和感を覚えた。ところが聞いていくう
ちに、これがどんどんよくなっていくのである。この「こころは気紛れ」はいちばんとっつきやすい曲であった。小田にしてはめずらしく明
るいテンポのある曲。鈴木の右にエレキ、左にアコギというスタイルをはじめて実現した曲でもある。このスタイルは「秋の気配」でピー
クに達する。小田の曲なのに、鈴木のギタープレイばかりが目立つ曲であった。間奏のスライドギターがやりたくてボトルネックを買っ
たことを思い出した。

第7位。「もう歌はつくれない」 ラウンド2収録
 本題は「別れの情景U〜もう歌はつくれない」。別れの情景はTと言われる方がベスト版に収録されたので有名であるが、通はこち
らを好んだ。小田本人もLOOKING BACKUにセルフカバーしているところを見ると好きなのだろう。いわゆる「哀愁」が漂う曲である
が、ハーモニー、コーラスがそれを実現しているのだと思う。ゆえに小田のセルフカバーの方はちっともいいと思わなかった。なにしろ
ハーモニーもコーラスもない小田の独唱なのだから。最後のコーラスはカーペンターズをものすごく意識したものだと思う。この手のコ
ーラスは今でも鈴木のアルバムでは散見できるので、彼のアレンジだろう。きれいなコーラスだ。

第6位。「昨日への手紙」 ワインの匂い収録
 名盤「ワインの匂い」2曲目。鈴木ファンの人たちの間ではベスト3に入る人気曲だと思う。私はこの曲を聴くと、なぜか早朝の街を想
起する。オフコースの中では決してたくみでも緻密でもないし、ハーモニーもコーラスも特筆すべきものはない。いや、コーラスもハーモ
ニーもないことを今確認した。それでもすごく好きなのは、歌詞に込められたメッセージなのだろう。私は鈴木康博のファンなのであえ
て書くが、鈴木は作詞の才能に恵まれていない。彼が小田並みの作詞のセンスがあれば、きっとブレークしただろう。だが、この「昨
日への手紙」と「ロンド」だけは別。鈴木は色恋の歌詞は苦手だが、自分のポリシーや母を思う歌詞は自分ごとだったのだろう。今の
時代だったら良かったのにね。当時「好いた惚れた」という歌詞でなければブレークしなかったから。

第5位「恋を抱きしめよう」Three&Two収録
 このアルバムは完成度としてはいちばん高いのではないだろうか。バンドとしての成熟と小田と鈴木の仲が最も調和しているアルバ
ムだろう。これ以降は、小田、鈴木の確執が顕著になり、楽曲におけるふたりの齟齬が随所に見られるようになる。この「恋を抱きし
めよう」は鈴木ギターの中でもNO1ではないか。エレキを3、4つ重ねて、とっても凝った作りになっている。

第4位「思いのままに」Three&Two収録
 Three&Two最初の一曲。これも最初に針を落とした時、「なんていい曲なんだ」と感動したのを思い出す。歌詞の一節「誰にも僕の行
く道を止められない。そうだろう。行かせて欲しい」というところが好きでだ。人生の岐路にぶつかると、この曲を思い出してやってき
た。楽曲としてもいい。間奏の小田のシンセソロが、かっこいい。当時はギターの速弾き全盛期だったから、シンセの速弾きって新鮮
だった。またシンセだからとにかく速くてかっこよかった。

第3位「あなたのすべて」Fairway収録
 歌詞的には何いってるんだか分からない曲なんだけど、とにかく構成とアレンジがメチャかっこいい。鈴木のエレキのきざみにまず
痺れ、コーラス、ハーモニーの厚みに痺れる。間奏になるとどっか違う次元にすっ飛ぶところがかっこいいし、リズム体もすごく凝って
いてかっこいい。高校2年ぐらいの時に、こんなにかっこいい音楽やってるのは、オフコースぐらいだった。当時はリズム体(特にドラム)
を入れるというのは至難のワザで、私たちはリズム体なしで音楽をやっていたのですが、この曲聴いて「やっぱりリズム体がないとバ
ンドとは言えないな」と実感しました。今みたいにパソコンですぐリズム体を作ることができて、それにリバーブをかませるだけで本物と
変わらない音が出せる時代だったら、どんなに良かっただろう。

第2位「さよなら」
 「さよなら」を評価するってどうよ?という声が返ってきそう。でもね、やっぱり評価すべき曲だと思います。なにしろ、大ヒットさせようと
思って作って、大ヒットさせたんだから。歌詞は別れの歌詞。アコースティックがかっこよくて、おまけにコピーできる程度の難しさ。エレ
キはロックっぽく入っていて、コーラス、ハーモニーはオフコースらしくかっこいい。ほらね。こうやって分析すると、自分たちのいちばん
いいところを生かして、それをヒットさせる方向にフォーカスしているんだよ。

第1位「秋の気配」ジャンクション収録
 これは異論のないところでしょう。歌詞も曲もいいもんね。特に構成は新しかった。イントロAA'BC間奏AA'BC D Cエンディングという
構成。Dという変化をつけるのは最近ではあたりまえになったけど、当時はかなり斬新だった。「ああ、嘘でもいいから微笑むふりをし
て」という歌詞のところがDなんだけど、ここの転移は最後のサビを引き立たせたね。そしてこの曲、ほとんどがギターで構成されてい
る。左にガット、右がD41、フラットなところにエレキがある。エレキはスライドとボリューム奏法を併用していて、一瞬なんの音か分から
ない。これがいい味出しているのだ。さらにハーモニーなんだけど、サビ(C部分)の3箇所を聞き比べてみると、編成や音の強弱が微
妙にいじくられている。トラックダウンの段階で、意識的にやってるんだね。例えば、最後のサビは鈴木の高音のファルセットが強調さ
れていて、グッとくるようになっている。あんな時代に、ここまで計算していたのかと思うと、やっぱりこの人たちはただものではなかっ
たんだね。


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