ロボットが旬


 今回はロボットです。

 皆さんは映画「i.ROBOT」をご覧になりましたか。サイファイ(日本ではSF=サイエンス・フィクションといいますが、欧米ではこれが一般
的)ファンなら誰でもご存じのアイザック・アシモフ「われはロボット」をベースに創られたハリウッドアクション映画です。

 ウィル・スミスの主演映画はみーんな一緒ですが、極めて単純なド派手なCGありきの映画。これはこれで「われはロボット」を知らな
い方でも、充分に楽しめます。

 「われはロボット」は1950年が初出の短編集で、今日、日常的に使われているロボット、ロボット工学(Robotics)という言葉はこの連作
から生まれました。i.ROBOTにも使われ、ロボットをテーマにした小説や映画では必ず使われる

【ロボット工学の三原則】も、アシモフがこの本を纏めるにあたって定義したものです。

第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって人間に危害を加えてはならない。

第二条 ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。ただし、第一条に反する場合はこの限りではない。

第三条 ロボットは、前掲第一条及び第二条に反するおそれのない限り、自己をまもらなければならない。

 映画i.ROBOTは、短編集の中の「迷子のロボット」をヒントに創られたようですが、ロボット三原則とキャルヴィン博士という登場人物
名以外、内容も「落ち」も全く別のものです。

 皆さんはロボットがうそをつけると思いますか?なぜか野うさぎを追い掛け回したり、その場を堂々めぐりしたりするロボットがいると思
いますか?

 「われはロボット」の一連の短編は、ロボット工学三原則の様々な解釈、実例を完璧なプロットとユーモア、そして「落ち」で、皆さんを
にやりとさせ、「あっ! その手があったかぁ」と思わず手をうたせること請け合いです。

 映画のようにポジトロニックブレイン(陽電子頭脳と訳します)を二つ付けたりするご都合主義は一つもありません。

 今回、映画の公開に合わせて、ハヤカワ文庫から「われはロボット」決定版724円 が出ました。あとがきで瀬名秀明氏が「小説の面
白さにはさまざまな種類があって、一度きりの読書を楽しませてくれるものもあれば、何度読んでも初読のときの興奮と感動が蘇るも
のがある。だが、読み返すたびに新しい発見があり、自分の人生のと共に面白さが増してくるものは少ない。」と書いている通り、この
本はまさに読書の楽しみを再確認させてくれる名作です。

 実は瀬名氏は自身の作品として「あしたのロボット」文藝春秋 1667円 を、現代のロボット解説書として「ロボット21世紀」文春新書 
860円 などを表しており、更にこの夏には古今東西のありとあらゆるロボットフィクションに、第一線のロボット研究者による解説記事
を織り交ぜ、ロボットの科学・文化・物語を体形立てて総括した超アンソロジー「ロボット・オペラ」光文社刊 を纏め上げました。

 なんとこの本、770ページ! 4700円もしますが、収録作品はほんとにすごい。実はわたしもまだ完読してません。ロボットはいま正に
旬なテーマ。秋の夜長は、一連のロボット作品で決まりです。


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