ボト、コロン ボト、コロン・・・
腰を下ろしたあっくんのところに次々(つぎつぎ)と
柿が転(ころ)がってきました。まるで誰かがくれた
かのように・・・あっくんは一(ひと)つを拾(ひろ)
い上(あ)げました。
「持(も)って帰(かえ)りなさい」
後(うし)ろで声(こえ)がしました。振(ふ)り
向くとそこにはぴかぴかになったこまいぬがあるだけで、
誰もいません。変(へん)だな・・・
「甘(あま)くておいしいぞ」
また声がしました。まさか・・・あっくんは恐(おそ)
る恐るこまいぬたちの顔を見ました。すると二ひきはあっ
くんを優しく見つめ、大きく一つうなずきました。やっぱり・・・
「ありがとう!」
不思議と恐怖心(きょうふしん)はなくなり、あっくんは
大きな声でお礼(れい)を言い、にこっと笑(わら)いました。