1.日時 |
2005年8月6日(土)午後1時30分〜5時00分 (奈良の新風物詩「なら燈火会」が開催中です。 大学から歩いて15分ほどの奈良公園一帯で催されます。
観光シーズンでもありますし、研究会への参加を兼ねて、
奈良のご散策はいかがでしょうか。) |
2.場所 | 奈良女子大学 文学部南棟2階 S218室(近鉄奈良駅より徒歩6分。正門を入って左手の建物2階つきあたりです。) 会場が変更になりました。ご注意ください。 |
3.内容 |
<事実>は社会的関係に埋めこまれているのか、それとも実存として捉えるのか。
今回は、エスノメソドロジーの第一人者である山田富秋さんをお迎えして、会全体
として<事実>のみえ方、語り方について考えます。
「事実デアル」「事実ガアル」−「事実とする」「事実とされる」のはざまをどう感
じ、ゆれ動くのか、<事実>観そのものに迫りたいと思います。果たして、その時の私たちの行為は、「議論」という<事実>なのでしょうか。社会的構成主義の先へ歩を進めてみませんか。
|
(1)研究発表と討論
山 田 富 秋 さん(松山大学) 科学的事実と常識とのあいだ −シュッツとガーフィンケルの視点から考える− |
|
(2)世話人による公開討論
浜 田 寿 美 男 × 森 岡 正 芳 × 麻 生 武 <事実>とは何か −“デアル” と “とする” のはざまで− |
|
4.会費 | 500円 |
5.参加申し込み |
下記事項をご記入の上,事務局まで電子メールにてお申し込みください。
(会場設営の都合ですので、当日ご欠席されても会費はいただきません) (1)参加申し込みフォーム
Subject冒頭に「奈良FP研究会」と記載してください。 本文に次の事項を記載してください。 1)氏名 : 2)電子メールアドレス: 3)所属機関(学生の方は学年) 4)専門分野: |
第1回 |
日時 2004年6月6日(日)午後1時〜4時30分
場所 奈良女子大学 文学部北棟1階 会議室 (1)若手研究者の研究発表と討論 樂木 章子 さん(岡山県立大学) 「子をもつこと、子を育てること: 乳児院研究、養親研究を通じて」 〜発表の概要〜 さまざまな事情により、親に育てられない子どもがいる。このような子どもたちの 大半は、乳児院に入所し、集団で養育される。しかし、特定の養育者との安定した関係が不足する状況下で、乳児期から集団で育つことは、決して望ましいことではない。 親に育てられない子どもが、特定の大人との絆を経験し、家庭的な環境で成長するための有力な選択肢が、養子縁組である。とはいえ、血縁関係を欠いた養親子の間 で、親子関係を築いていくのは並大抵ではない。当日の発表では、養子縁組を支援す る団体でのフィールド研究を紹介し、血のつながらない親子が、血縁なき「血縁関 係」を築くための要件について、話題提供したい。 〜発表者より〜 乳児院、ならびに、養子縁組をめぐるフィールドで研究を行ってきました。親 と離れて施設で暮らす子どもや血のつながらない親子からみえてくる問題は、逆に、 通常の親子のあり方をも問い直してくるように感じています。 〜業績から〜 1.樂木章子(1997) 乳児院乳児の特徴的行動に関する身体論的考察.実験社会心理学研究,
37(1):1-13.
2.Rakugi,A.(1999) Peculiar Behaviors of Infant at a Residential Nursery.Progress in Asian Social Psychology, 2:257-273. 3. 樂木章子(2002) 乳児院の集団的・組織的特徴と乳児の発達.実験社会心理学研究, 42(1):23-39. 4.樂木章子(2003) 施設で育てられた乳幼児との養子縁組を啓発する言説戦略.実験社会心理学研究, 42(2):146-165. 5.樂木章子(印刷中) 血縁なき「血縁関係」 杉万俊夫(編著) コミュニティを変える 京大出版 |
評 者 麻生武,森岡正芳,浜田寿美男
|
第2回 |
日時 2005年3月5日(土)午後1時30分〜5時00分
(東大寺二月堂修二会(お水取り)が行われている時期でした) 場所 奈良女子大学 文学部北棟1階 会議室 (1)若手研究者の研究発表と討論 徳田 治子 さん(九州女子短期大学) 「人生の語りに立ち会う作法: ハンセン病国倍訴訟における“人生被害”の聴き取りプロセスをめぐって」 〜発表の概要〜 発表者は、「人生被害」と称されたハンセン病違憲国家国賠訴訟の最初の原告となった3人の女性との出会いをきっかけに、裁判プロセスにおける人生の語りと被害の聴き取りというテーマに取り組むようになっている。本発表では、発表者自身がこのようなテーマに取り組むようになった経緯、また様々な限界や困難を感じつつも、この間の研究プロセスのなかで見えてきたことについて、訴訟プロセスにおいて被害聴き取りで中心的な役割を担った弁護士への継続的な聴き取り調査とある女性原告との“人生の語り”を通した関わりを通して考察してみたい。 〜発表者より〜 法と心理学をめぐる“語り”の問題は、これまで、目撃証言、供述分析など、主としてその語りの事実性、真偽をめぐって展開してきた感があります。本発表では、ここに、ナラティヴという枠組みを持ち込み、訴訟プロセスをめぐって行われた弁護士による原告の人生/被害の聴き取りプロセスを追うことで自己の経験(人生)を被害として語る/聴き取る行為の意味について考えていきたいと思います。人が自らの意図を超えた被害とそこからの回復をどのように求め、成し遂げようとするのか、また、その際、被害の聞き手として立ち現れる他者は、専門職として、一人の個人として、その被害(声)にどのように向き合い、それを聴き取り得るのか、そのような問いとともに、我々にとって他者の語りとは何か、他者の人生の語りに立会う研究者の責任や専門性とは何かについて考えてみたいと思っています。
|
(2)公刊論文の論評
既に公刊された優れた論文をテキストに、2〜3名が論評を行い、方法論、論述展開など論文としてのあり方にとどまらず、質的研究の読みの可能性や、学術的存立基盤について、議論を行います。論文の概要紹介は研究会では行いませんので、論文は事前にお読みおきください。論文本体の準備が困難な方は、事務局にご相談下さい。 テキスト 矢守克也「4人の震災被災者が語る現在:語り部活動の現場から」 (質的心理学研究,第2号(2003年),29-55頁.新曜社) 評 者 松 島 恵 介 さん(龍谷大学) 矢 守 克 也 さん(京都大学、著者) 森 岡 正 芳 (奈良女子大学、世話人) |