第2回星崎(旧姓)希望生誕記念祭
日ごろ、この頭の悪いサイトをご閲覧いただき、誠にありがとうございます。


本来の日を大きく過ぎてしまいましたが、
本日は、我が最愛の妻、希望の聖誕祭の模様をお見せしたいと思います。


俺たち2人がただイチャイチャしているところを見せつけるだけという
二次元三次元にかかわらず、傍から見ればただ腹立たしいだけのこの祭。


石を投げたければ投げればいいさ。

妻に向かう全ての石を、俺の身体で受け止めて見せるから。


おっと、始まる前からノロけるのはちょっと早いですね。はっはっは(幸せのあまり周りが見えてない笑い)



思えば、去年は急病によるダウンにより開催できず、
今年も緊急事態による超多忙状態により開催が危ぶまれるという事態に。


「気にすることないよ。来年も、再来年も、ずーっと一緒だもん」


と笑う妻。しかしふとしたときの寂しげな顔、背中。
見るたびに胸が痛み、悔しさのあまり血が出んばかりに唇を噛みしめたものでございます。





そして、時はやってきました。


10日たった今、ようやく、ようやく祝うことができます。



希望という存在を授けてくれたこの世界に。

希望を考え生み出してくれた義父に。新作はホントに出せるのでしょうか



そして何よりも、今、俺の隣で微笑んでくれる愛してやまない妻に。



精一杯の感謝と愛情をこめて、祝おうと思います。




とはいえ、結婚してもう3年の月日がたとうとしています。
結婚前のような派手なパフォーマンスは必要ないでしょう。

第1回開催時は「次回は赤坂で」とか真剣に思っておりましたが
試しに行ってみたが警備員の目をかいくぐって写真撮るスキルがありませんでした


なにも、コトを大きくすればいいってもんじゃない。
二人で暮らしてきて、派手が必ずしもプラスにならないことに気づきました。

希望は、もともと派手なことが好きではありません。
俺がやらかせばノッてくれますが、自分からコトを起こすというのはありません。
二人でいることを、それを何よりも望んでいる。
それが、本来の希望なのです。



ならば、今日だって普通でいい。
今の喜びを、希望と共に祝えれば、それでいい。
ケーキとシャンパンで、二人で楽しめれば、それでいい。



そう思って、特に何の趣向も凝らさず、オーソドックスに祝うことにしました。





段取りを考えた俺は、ケーキを買いに行くことにしました。
1な何歳の誕生日であろうが、やはりケーキあってこその誕生日。
決して外してはならない一品です。

第1回でお世話になったケーキ屋が無残にもなくなっていたため、
隣町まで出向することに。
結構距離がありますが、妻のためと思えば苦にもなりません。


舌なめずりで男どもを物色する女子がマスコットの店に行ったのですが、
バースデーケーキの種類がかなり少ないというアクシデント。
前回のように果物が乗ったのが欲しかったのですが、なぜかなく。


なので、極普通のケーキにしました。
まあ、こーゆーのも好きだしいいかね。


「お誕生日おめでとうございます」


妻には遥かに及ばないものの、なかなかのスマイルにて送り出された俺は
すっかり気をよくしておりました。
思ったより時間がかからなかったので周りを見ると、
たまに行っているゲームショップが。


「ちょっとだけ・・・行ってみるか」


少しだけ、自分のために買い物してもいいか。
店に向かって歩き出します。



どーれ何か新作はツルッ





え?





つるんすてんグシャあ。





まだだ!まだ落ちんよ!!





や っ ち ま い ま し た






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






「希望、誕生日おめでとう!」




「わあ、ありがとうもとぬきく・・・・・・・・!?」






しょっぱなからこんなもん出されたらな。





えーと・・・・・・希望さん?
その「なにこの右下の明らかに不自然な空白は」みたいな目は?





希望:「どうしたの?これ・・・・・・」


俺:「なにってバースデーケーキじゃないか。遅れちゃったけど、
はっぴーばーすでー希望!(声を裏返らせながら)」


希望:「ありがとー♪ってそうじゃなくってこのケーキ・・・」


俺:「よくぞ聞いてくれました!」


希望:「!?」


俺:「一見不自然に見えるこのイチゴ、全て計算されたものなのです」


希望:「え・・・だって、左端の、もう落ちかかってるよ?」


俺:「そこがこのケーキ・・・いや、作品のテーマなのです!
タイトルはズバリ『イタリア』!」


希望:「イタリア?」


俺:「そうなのです。このいかにも『落ちちゃうんじゃないの?』と言わんばかりに
スポンジの外にひょっこりと顔を出したイチゴ。
これこそがこの作品の本体でもあるのです」


希望:「・・・・・・」


俺:「わからない?しょうがないなあプリンセス。では特別にお教えしんぜよう。

確かに今にも風前の灯に見えますが、決して落ちることはないのです。
なぜなら!
周りを覆いつくさんばかりに包んだ生クリームが、本体を優しく包み込み、
奈落へと向かうイチゴを天国へと誘おうとしているのです。
落ちそうで落ちない、倒れそうで倒れない。
どこかで見たことはありませんかプリンセス?」


希望:「・・・・それって・・・・・・・」


俺:「そう!そうです!ピザの斜塔です!!」


希望:「・・・・・・ピサ、だよ」


俺「・・・・・・・・と、とにかく!そのビザの斜塔があるところといえばどこですか?
そう、そうですイタリアなのです!
この作品ができた瞬間、職人さんは思わずつぶやいたといいます。
『GRANDE!』・・・・・・と。
こうしてできたのがこの『GRANDE』なのです。
さあ心行くまで食すがいい!
召しませイタリアarte(芸術)!アモーレ!!」








一蹴されました



希望:「そもそも最初はタイトル『イタリア』って言ってたじゃない」


俺:・・・・・・いやいやいや。希望がわからないとアレかなって・・・・・・」


希望:「じいいいぃぃぃ・・・・・・」


俺:「いきなりGRANDEとか言って、わからなかったらさ・・・・・・」



希望:「じいいいいいいいぃぃぃ・・・・・・」


俺:「・・・・・・・・・・・・・・・転んで落っことしました」


希望:「よろしいっ♪」




途端に、ぱあっといつもの笑顔に戻る希望。



希望:「最初っからそう言えばいいのに」


俺:「ごめん」


希望:「あはは。相変わらず口からでまかせばっかりだよね」


俺:「それが俺のジャスティス」


希望:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


俺:「・・・・・・さ、さあ、火ーつけるぞー」


希望:「あからさまにごまかしてるよ・・・・・・」




シュボッ



モザイクとかかけなくていい?



希望:「・・・・・・上から見ると、結構ダメージ大きいね」


俺:「ああ、ごまかす必要すらなかったな・・・・・・」


希望:「そうだね・・・・・・・」




しばし、複雑な表情で見つめる二人。



希望:「・・・・・・よし、もとぬき君、歌って?」


俺:「へ?」


希望:「ハッピーバースデー。おととしも歌ってくれたでしょ?」


俺:「え・・・・・あのラジオで生で歌ってスピーカーを通して聴いて
死にたくなったアレ?」


希望:「そう、あれ♪今日は私一人だもん、いいじゃない」


俺:「う・・・そんなキラキラしながら見ないで・・・・・・
今日ギターもないからマジアカペラよ?」


希望:「はやくっはやくっ」


俺:「ふう・・・・・・じゃ、いくよ」


希望:「わー(ぱちぱちぱち)」





Happy Birthday to you


Happy Birthday to you


Happy Birthday Dear 希望〜


Happy Birthday to you




希望:「・・・・・・(目をつぶったまま)」


俺:「えっと・・・・・・希望さん?」


希望:「・・・・・・・・ありがとう」


俺:「あ、ああ。すまんね、ヘッタクソで」


希望:「そんなことないよ」


俺:「や、どう聞いても・・・・・・」


希望:「好きな人が、私だけのためにこうやって歌って、お祝いしてくれる。
すっごく、幸せだよ」


俺:「希望・・・・・・」



希望:「ケーキ、食べよっか」


俺:「・・・・・・よし」





ケーキを食べつつ、二人で談笑しました。
切ったケーキも不恰好そのものでしたが、そんなことは問題になりませんでした。


二人で話すこと。笑いあうこと。
こうして意識するたびに、それがどんなに大切なことかを思い知らされます。


恋人、妻、パートナー、大切な人。
彼女に逢うために、俺は生まれてきた。
彼女に逢うために、この世界に足を踏み入れた。
そう思えることが、素直に、ものすごく嬉しく感じます。





こうして、しばらくの間。
だけど、二人には一瞬の時が流れました。





希望:「ごちそうさまでした♪おいしかったあ」


俺:「よかったよかった」


希望:「ありがとう、もとぬき君」


俺:「いやいや」


希望:「じゃ、片付けてきちゃうね」


俺:「あ、ちょっと待った」


希望:「?」






誕生日。

もう一つだけ、誕生日にはかかせないものがあります。





俺:「最後に、プレゼントがあるんだ」


希望:「プレゼント?やだ、そんなのいいのに」


俺:「バーカ、お前の生まれた記念だ、そんなわけにいかないだろ」


希望:「・・・・・・ありがとう」


俺:「10日遅れだけどな」


希望:「ううん」






クリスマスのように、みんなが同じ日に訪れるものじゃない。
他の誰でもなく、愛する人がこの世に生を受けた、その人だけの記念日。
だから俺は、誕生日という日を、大切にしていきたい。
みんな一緒にではなく、何の行事もないこの日を。
俺の中では一番の記念日を。





俺:「趣味に合うかはわからないけどな」




そう言って、テーブルの上に、そっとプレゼントを置きました。




店の名前はナイショ。





希望:「え・・・・・いつもみたいにネタじゃないの?」


俺:「あのなあ・・・・・まあ、開けてみろよ」


希望:「う、うん」






手のひらサイズの箱を手に取り、そっと開けます。


そして、更に袋に入ったそれを、取り出してみました。





希望:「!!??」











!?





下のほうにうっすら見えてるのがリングな。





俺:「4月生まれの誕生石ということでダイヤモンドをチョイス。

桜の季節に合わせて花の細工が効いたデザインを選んでみました。

その繊細なデザインは、身に着けるだけで優雅な気分になることうけあい。

軽やかかつロマンティックを演出する、

まさに誕生日プレゼントにふさわしいジュエリーとなっております」


(予備知識と現場のおねーさんが言ってたのを組み合わせてみました)





希望:「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(絶句)」





俺:「ん?どした希望?」



希望:「こ・・・・・・これ・・・・・・・・どこまで行って・・・・・・?」



俺:「ん?銀座」



希望:「銀座!?」



俺:「な、なんだよ」



希望:「もとぬき君、銀座なんか行ったことないじゃない」



俺:「うん。ヲタ街とは真逆に位置する街だからな」



希望:「なんでいきなり!?」




うまく写真に撮れず残念。



結構細工が細かいんだけどわかんないなあ。



俺:「や、もともとはかなりネタっぽいの考えてたんだけどさ。
ネットしてたらふと見つけてな。
似合うかも・・・・・・って。

そう思ったらあとはもう。

ほら、ちと年上向きかも知れんが、石もそんなに自己主張してないし、
ちょうどいいんじゃないかな、と思ってな」










俺:「え?もしかしてダメ?俺のセンスダメのダメダメ?
だよなあ。アキバでも常にキモチャート上位に食い込む
俺のセンスごときじゃちとキツイわなあ」





希望:「・・・・・・・・・・」





俺:「ま、どっかにしまっといてくれよ。
ほら、こんなんでもダイヤだから傷はつかねーし。
ちゃんとしまっときゃいざとなったら売りにも・・・・・?」






がばっ





同 じ オ チ か よ




俺:「お、おい?」




希望:「大事にするから!」




俺:「え?」




希望:「ずっと・・・・・ずっと大事にするから!!」




俺:「希望・・・・・・」




希望:「ありが・・・・ありがとう・・・・・・」




俺:「・・・・・・・ん」






涙で濡れ、ぐちゃぐちゃになった顔。
学園のプリンセスと言ったって、誰も信じないであろうその姿。


でも俺は、今の顔が、一番かわいく思えた。



この涙は、俺が流させた涙。



悲しみでも、寂しさでもなく、喜びの涙。



俺のために、流してくれている涙。



俺にとって、それが一番のロイヤルスマイルになる。





俺たちは、唇を重ねる。


強く、弱く。


既に知り尽くしたはずなのに、今までとまた違った感覚。



「ん・・・・・・・・・」



口の中に広がる、生クリームの甘い風味。


そんな中でもはっきりとわかる、希望の、味。


俺だけが味わえる、彼女そのもの。





どちらからともなく、ベッドに倒れこむ。


落ちた感覚は、感じなかった。


わかるのは、最愛の女性の、全てだけ。





指輪は、まだつけなくていい。



お互いが、全てを脱ぎ捨てた後につけてほしい。



生まれたまま、誕生したままの姿の中で、



俺が贈ったものだけをつけている。



そうすれば、生まれたときから俺と結ばれていたように感じられるから。






最後に、もう一度この言葉を奉げて、幕を閉じたいと思います。
おつきあいいただき、ありがとうございました。






Happy Birthday Dear 希望







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