Navel ONLY LIVE 「Live in Tokyo かぶら2008」大予想




それは、2chのあるスレのある一コマから、始まった。




523 :名無したちの午後:2008/02/18(月) 20:59:25

プレミアムシート 価格 \52,500

ふーん、5,250かー
声優のライブなんてせいぜい3,000円ぐらいだから
最前列で5,250ならまだわからんでもな――

¥ 5 2 , 5 0 0

   。 。
  / / ポーン!
( Д )



そうなるよな!誰でもそうなるよな!



5万て!以前Circus(今回に限り正式名称で呼ばせていただきます。
悪徳ランキング的な意味で)がSAKURA祭とかいうのをやったときも
その金額>>>発表内容に呆れたもんでしたが、
そこは音楽に関してはなぜかいいものを作りやがるこだわりのあるtororo氏。
終わってみればなかなかのクオリティとなっておりました。
残念ながらゲームは関連商品も続編も出ていない時点で
お察しください的な実績になったようでしたが。
おもしろくなかったなーアレ(買ってんじゃねーか)


しかし、今回のライブは次元が違う。
具体的に言うとケタが違う(主に人道と相場的な意味で)
まあ大義名分として考えられるのが
「どうせオクでプレミアつくんなら自分たちでプレミアつけて
私 の 懐に入れちゃえっ☆

ということでしょうが。
大義名分でコレかよという反論は却下します。
さすが御大!そのまま懐に入れたら余裕で査察が入ると思うんだけど
そこは会計士を社員の20倍くらいのアレで依頼すれば解決ですね☆

一般のライブのチケットもスタンディングで7500円となかなかの破格値。
ちなみに、同じ会場で行う一流アーティストのポルノグラフィティで7000円
人数多いからしょうがねーだろという言い分には
PUFFY/mihimaru GT/絢香/JtoSの7名で5800円となっております♪
わー全曲生バンドでやってくれるってことですねーすごーい(棒読み)



社員B:「今度のライブの値段、いくらにする?」

社員A:「うーん……まあ9人も声優呼ぶからなあ……
6000円くらいとってもいいんじゃねえかな?」

社員B:「そっすね。最近このくらいの値段の声優系ライブも多くなりましたからね。
リハとかで貴重な時間を割いてもらうわけですし、
ここは少しでも、出演者に多めに差し上げるということで……」


「5万」


「「はい?」」

女帝:「聞こえなかった?5万よ。わかりやすく言えばゲー万ね」

社員A:「誰がわかるんだよ!今時芸能人だってそんな数え方しねーよ!」

社員B:「とんねるず世代丸出しじゃねーっすか!いくつだあんた!」

女帝:「うるっさいわねえ。あんたらライブ終わったらクビね。
まあそれはともかくととして」

社員A:「さらっと人の人生終わらせんなよ!」

社員B:「落ち着いてください!たぶんいつもの口癖です。
今はライブのことをなんとかしましょう」

社員A:「そ、そうだな……しかし5万って……冗談ですよね?」

女帝:「Zepp Tokyoのキャパが2700人だから……
5万×2700で……あっ、いっけなーい。私ったら消費税忘れちゃった☆
52500円が2700人で……


52500×2700=141750000


やーん8桁のちっちゃい電卓じゃ計算できなーい♪」

社員A:「全員かよ!最前から末席まで全員かよ!

一人一人握手込みのディナーショウでもやるつもりか!」

女帝:「いやーん妊娠しちゃうー☆

社員B:「ひでえ」

女帝:「14175人の諭吉サマとご対面ー♪
お布団がつくれちゃうっ♪わくわくっ☆」

社員A:「しかも独り占め!ギャラや会場費のこと一切考えてねえ!」

女帝:「……チッ。そううまくはいかねえか」

社員B:「なにもかもいってないです!」

社員A:「冷静になってください社ch……N又さん!
そんなことやって、いくらなんでも埋まるわけないでしょう!」

女帝:「わ・た・し・はただの原画家。忘れんなよ?」

二人:「「イエッサー!!」」

女帝:「あ、それと、席は埋まるわよ」

社員B:「え!?なんでそんなこと言い切れるんですか?」


女帝:「私がシークレットゲストで出るからに
決まってるじゃない」



   。 。        。 。     
  / / ポーン!   / / ポーン!
( Д )       ( Д )


女帝:「あたりまえじゃない。残りの声優だけで5万出せると思ってんの?
私がいるからこそ、この値段でやれんでしょうが

社員:「「…………」」

女帝:「むしろ私を見に来ると言っても過言じゃないわ」

社員B:(おい!誰か止めろ!)

社員A:(止められたらこんなに社員抜けてませんよ!

女帝:「あと、そこの」

社員A:「ぼ、僕ですか? 去年入社しt」

女帝:「あーそれはどうでもいいや」

社員A:「スルー! 圧倒的スルー!」

女帝:「さっきN又さんって呼んだべ?
私を呼ぶときはセ・ン・セ・イ社則にも書いてあんだろ?

社員B:「なんで社則に書き込める権限持ってんだよ!」

女帝:「あ?」

社員:「「いえっさーN又センセイ」」

女帝:「ちっ。じゃ、5万で決定ね。もちろん消費税入れて。
あれ、消費税って10%だっけ?」

社員A:「時代を先取りしすぎですセンセイ!
それと、ちょっと待ってください!! どう考えたってマズイですよ!」

女帝:「何が?」

社員A:「いくらなんでも、全員5万はないっすよ!」

女帝:「あたしの顔とボディに5万払えよ。安いもんだべ?」

社員A:「いい加減に……」

社員B:「まあ待て(社員Aの血が出んばかりに握られた拳を押さえる)
センセイ、確かにセンセイのご尊顔を見られるのなら、Zeppは埋まります」

女帝:「わかってんじゃん」

社員B:「しかし、しかしですよ。残念ながらZeppは広い。
ステージからの距離が離れてしまう信者もいるんです」

女帝:「それがどうしたよ」

社員B:「前列は、センセイが見られて至福を味わえるでしょう。
だけど、後列になってしまい、センセイが見られかったら、そいつはどう思いますか?」

女帝:「気合いでなんとかしなよ。むしろサバンナで視力鍛えてこい」

社員B:「……もし、もしですよ。
『ああ、センセイが見られないんだったら行くのやめようかな』
なんてことになったらどうしますか?」

女帝:「!! ふざけるな!! 氏ね! そのまま氏ね!!」

社員B:「センセイを慕っていなければ、5万という一般のライブの10倍近い値段は
出せないということですよ。センセイが見えなければ、意味がないんです。
ただでさえ前回のライブで、場所によって見えない位置があることを知られてしまった。
そうなる可能性は、決してゼロじゃないってことです」

女帝:「……何が言いたい?」

社員B:「プレミア化しましょう

女帝・社員A:「プレミア化?」

社員B:「全員を5万で固定させるのではなく、センセイのスバラシイ(なぜかカタカナ)
お身体が確実に見える位置……つまり、最前列のみに絞るんです」

女帝:「バカな! そんなことをしたら金が! 私 の 金 が!」

社員A:(ギャラ本当に払わないつもりなんじゃ……)

社員B:「試すんですよ……奴らを」

女帝:「なに?」

社員B:「5万払うやつ……一生センセイについていく真の信者……
それを見極めるんです」

社員A:「ど、どうやって?」

社員B:「まず、5万チケットはチケット会社を使わない

社員A:「!!」

社員B:「全部、うちでやるんですよ……
うちの内部に、格好の場所があるじゃないですか」

女帝:「……Navel Mobile……携帯サイトか

社員B:「さすがはセンセイ、聡明でいらっしゃる。
会員の中から選りすぐったエリートにだけ、5万チケットを売るんです」

女帝:「真の信者か……おもしろい」

社員B:「金額だけでなく、ハードルを上げる。
ここまでしないと、チケット一枚とれないのか……と思わせる。
俺が、いや俺がの信者精神が働きます。
それだけじゃない。もう一つの効果が見込める」

社員A:「な、なんですか?」

社員B:「……センセイ。センセイの商才を存じ上げた上で、あえて聞きます。
物を販売するのに、一番大切で、必要なのは何ですか?」

女帝:「知れたこと……宣伝だ……あっ!!」

社員B:「その通りです。これだけのネタを作れば、食いついてきますよ……
無料で宣伝をしてくれる、ニュースサイト部隊が」

女帝:「無料……無料……無料……! じゅるり」

社員B:「広告会社にみすみす金をくれてやる必要はない。
大事なことは、この一時だけ儲けることではありません。
つかず、離れずの搾取……これぞ永久機関……!!」

女帝:「…………」

社員B:「今、全員から5万を搾り取ろうとすれば……!
資金力に絶対の制限がある奴らはそこで……!!」

女帝:「…………わかったよ」

社員B:「せ、センセイ!」

女帝:「おまえの案、くんでやる。
席によっての差別化……考えてみれば、当たり前のことだ」

社員B:「ありがとうございます!」

女帝:「やってみろ。
そして今、私もいいことを考えた」

社員A:「そ、それは……?」

女帝:「私自ら5万チケットの特典を考えてやる。
せっかくだ。もっともっとプレミアをあおって、損はあるまい」

社員B:「え……それは」

女帝:「いいっていいって。忙しすぎてマウスも持ちたくないけど、
これくらいはやってあげるよ。私ってやさしー☆」

社員B:「ちょ、センセイ!」

女帝:「ああっとタイムアップ! 今日も○○○に繰り出して
理想のオトコを見つけなくっちゃ♪ じゃ、まったねー☆
あ、そうだ、おまえ」

社員A:「は、はい」

女帝:「私のデスクのあれ、塗っといて。じゃ♪」

社員A:「ちょ! 俺グラフィック担当じゃない!
そもそもあれは自分で……行っちゃった」

社員B:「…………」

社員A:「それにしてもすごいっすね。納得させちゃうなんて。
さすがはBさん!よくわかって……?」

社員B:「……くっ…………」


はらり


社員A:「!! これは……円形に……!!」

社員B:「スマン、俺には……ここまでが……限界だ……!!」

社員A:「Bさん!? Bさああああああああああん!!!」





こうして、専用サイトにて告知はなされた。
社員Bの命を賭した説得により、彼のほぼ思うとおりに事は進んだ。

殺到する応募。膨れあがるモバイルサイトの会員。
信者の証を示すため、我先にと殺到した。

男だけでなく、腐女子も網羅した声優のラインナップ。
だが、応募してくる者は、全て男性に限られた。

理由は、ただひとつ。
通常行き慣れているイベントでは、決して見ることのできない雲の上の存在。

「AOIちゃんに、逢えるかもしれない」

その一点が、携帯へと指を走らせる。
期待が憶測を超え、真実味を帯びていく。

「有料会員の方が当たりやすい」
そんな噂がまことしやかに流れ、切り替える兵士が後を絶たなかった。

当選状況の把握は、困難を極めた。
各種サイト、該当スレ、mixi……
どこを見ても、当選報告はあがらなかった。

そう。思惑通り、『真の信者』へと、チケットは委ねられたのだ。




そして、運命の日は、訪れる。




―――――――――――――――――――――――――――――




エリートA:「ついに……ついに来たのだ、この刻が」

エリートB:「ああ、ついに葵ちゃんとのご対面が……あおうっ」

エリートC:「まだ出すのは早いぜ。サイン入りテレカ、特典チケット、
そして……笑顔……!!」

エリートD:「ああ、笑顔笑顔。これが大事よねー☆」

エリートA:「(きめぇ)それはそうと、チケットの引き渡しだが……どこでやるんだ?」

エリートC:「ああ、一刻も早く席について、リウム等、N又様をお迎えする準備を
整えなければならぬというに」


社員Z:「5まn……プレミアチケットご当選の信j……方々は、
どうぞこちらまでお越しくださーい」


エリートB:「きたあああああああ!おうふっ」

エリートD:「早い、早いよス(ry 」

エリートA:「いくぞ、者ども!!」

エリートたち:「「「「おう!!!」」」


ホールの裏口より通され、通常より長い道のりをひた歩かされる面々。
やがてたどり着いたのは、控え室のような一室だった。


エリートC:「なんだ、ここは?
ま、まさか!! 一般ライブでいうバックステージ!!」

エリートB:「まさか! ここで早くもご対面というわけか!?
さすがはプレミア!! 僕は! 僕はもう……ビクンビクン」

社員Z:「はいはい、おまたせー」

エリートA:「なんだ、違うじゃねーか」

社員Z:「遅くなってごめんねー。今からチケットを渡しまーす。
じゃ、身分証と、当選のメールを見せてもらえるかな?」

エリートたち:「「「「…………」」」」

社員Z:「(さすがだ……壁紙がセンセイ……だが、見つかったら金取られるぞ)
はーいありがとー。じゃあ、まずはこの書類に目を通してもらえるかな?」


エリートたち:「「「「書類?」」」」


通常のライブではありえない言葉に、選ばれし者と言えども驚きは隠せない。
これもサプライズの一環だろうか。
正体を見極めようと、揃って書類上の文字に目を伏せる。


そこに、書いてあったものは。



「このライブでケガしたり、もし死んじゃったりしても

私(N又)たちには何の責任もないってゆーことを、

プラチナチケット組一同、命がけで証明しちゃいます☆

全部 じ・こ・せ・き・に・ん♪」




   。 。        。 。       。 。        。 。    
  / / ポーン!   / / ポーン!  / / ポーン!   / / ポーン!
( Д )       ( Д )       ( Д )       ( Д )



エリートA:「ちょ、何この自己責任って!
何でライブで超難関手術の意思表明みたいな文面書かれているんだよ!」

エリートC:「死ぬの?死ぬようなこと、なんかあるの!?」

エリートD:「葵ちゃん?葵ちゃんはどこ?」

社員Z:「この書類にサインしてくれないと、ステージ見られないねー。
当然金も返さないのでよろしくー」

エリートA:「当然言うな!生死を賭けさせるような文面書いて、
ライブにも参加させない、金も返さないなんてことあるかよ!」

エリートC:「そうだそうだ!せめて何やるかくらい説明しろよ!」

エリートD:「葵ちゃん!出てきて説明しておくれよ葵ちゃん!」

社員Z:「……」

エリートA:「何か言えよ!お前、Navelの社員だろ?説明する義務があるだろ!」

エリートC:「そうだそうだ!詐欺だ!横暴だ!」

エリートD:「葵ちゃん!葵ちゃんに会わせろ!!」

社員Z:「Fuck You」

エリートたち:「「「!?」」」

社員Z:「ブチ殺すぞゴミめらァッ!!!」

エリートたち:「な、なに!?」

社員Z:「質問すれば反ってくるのが当たり前か?
世間というものは、肝心なことには何一つ答えちゃくれない……!」

エリートA:「いやいやいやいや!利根川チックに言っても
俺たち死ぬかもしれないことやらされるかもしれないし!」

エリートC:「そうだそうだ!何も聞かずに『はい死にまーす』なんて
ことできるわけねーだろ!」

エリートD:「せめて何やるかくらい話してから了解取るのが筋ってもんだろ!
おいB!さっきから黙ってないで、お前もなんか言えよ!」

エリートB:「…………」

エリートC:「B……?」

エリートB:「この紙……」

エリートA:「紙?このわけのわからん紙がどうしたよ!?」


エリートB:「この紙……葵ちゃんの匂いがする


エリートたち:「!!??」

社員Z:「(ほう……こいつが気づいたか、こいつがレベルXとはな)」


エリートBのセリフを聞いた途端、他の3人は一斉に鼻をこすりつける。
社員Zにとっては、長い長い時間。
しかし、他の4人にとっては、一瞬とも言える、ひととき。

やがて、顔を上げた4人は、


エリートたち:「「「「はあぁァ〜〜…………」」」」


原画展を出てきたときの顔と同じ。
イベントで、暗いうちから並び、わずかなトークをやり遂げたときの顔と同じ。

他の種類の人間には、決してわかり得ない感情、表情。
あえて言葉にするなら……


「恍惚」だった。


エリートA:「不覚……だったな……」

エリートC:「ああ……俺としたことが……気づかなかった……」

エリートB:「まだまだだね。お前ら」

エリートD:「ハムッ!ハムッハムッ!ハムッ!!」

社員Z:「わかってくれたかな?ご褒美に、2つだけ答えるとしよう。
まず、先生は今こちらに来ることは出来ない。
観客……いや、キミたちを満足させるため、リハーサルを直前まで重ねているんだ」

エリートA:「!!N又先生が……俺たちのために……」

エリートB:「L・O・V・E!LOVELY!A・O・I!!」

エリートC:「ぱああ……(射精後の賢者的表情で)」

エリートD:「ハムッ!ハムッハムッ!ハムッ!!」

社員Z:「そしてもう一つ、その誓約書は、間違いなく先生が、
キミたちのために直筆で書いたものだよ。一枚一枚、心を込めてね

エリートたち:「「「「ぱああ……」」」」

社員Z:「先生は、キミたちが楽しんでくれるのを心から願ってくれているよ。
そのための仕掛けを、キミたちのために用意したんだ」

エリートA:「心……心か……!」

エリートC:「いい響きだな……」

社員Z:「そこでもう一度聞くよ。
キミたちは、先生のために、この誓約書にサインしてくれるかな?」

エリートたち:「「「「イエッサー」」」」



こうして全員の承諾を得た後、ライブは始まった。




―――――――――――――――――――――――――――――




1階指定席最前列の観客は、客席に疑問を抱いていた。
決して席が悪かったとか、そういう理由ではない。

彼らの前には、難関を乗り越えて手に入れた、ホンモノの信者の証。
52500円の超ボッタプレミアムシートの連中が、王者のごとき上から目線で
構えていなければならないはずだ。

だが今、その場所には誰もいない。
不自然に空けられた、空間があるだけだった。

「なあ、なんで俺らの前、誰もいないんだ?」

「どうしたんだろうな。まさか、誰も応募してないとか?」

「そんなはずねえよ!俺応募したもん。しかもNavel Mobile始まってから
すぐに有料登録したんだ!その俺の応募をN又先生が見逃すはずない!」

「そうだな。もちろん俺も応募している。じゃあ、なんでだ?」

「もしかして……全員転売で捕まったとか?」

「そうか!そりゃいいや。N又先生で不純な商売しようとした罰だぜ!」

「当たり前さ!俺たちに夢を売り、真っ当な商売をしている
N又先生でそんなことしたら、天罰がくだるってもんよ!」

「だよな!だよな!!
ってことは……もしかして俺たち、マジで最前?うはwww超ラッキーwwwww」

「愛だな!俺たちの愛が勝ったんだな!」

「よっしゃあ!気合い入った!全開でいくぜー!!」



ブーーーーーーッ



ウオオオオオオオォォォォォ!!!


合図が鳴り響くと、一斉に歓声が上がる。
全員の信者の目が、ステージへと注がれる。

その歓声を断ち切るように、流れてくるメロディー。これは……


Mirage Lullabyか!!」

「さすがはN又先生……PCゲームから入った生粋の信者のこと、忘れていないぜ!」

「ってことは最初に歌うのは……」


YURIA。
誰もがそう思っていた。


「幕が上がるぞおオオォッ!!」


しかし、


「!?」

「誰も……いない!?」


誰一人存在しない。無人のステージ。
楽器だけが頼りなげに、人に触れることなく佇んでいる。


「まさか……トラブルか!?」

「そんな!せっかく楽しみにしてきたのに!」


音楽は流れ続ける。


「どうなっていやがる!YURIAさん!N又せんせーーーい!」


ざわめく会場。
何が起こっているのか、わからない信者たち。

音楽は、それでも流れ続ける。


「音響何やってんだよ!ストップしろ……え?」


一人が、気づいた。


「お前らああああああ!上だああああああああ!!!

「上?」


声の発信地から波を描くように、黒い固まりが肌色へと変わっていく。
全員が、その方向を見上げる。





「!!!???」





伴奏をもかき消す、人生の全てを費やしたような叫び。
その声は荒れ狂う波のように伝播し、Zepp Tokyoの全ての信者の耳に届く。

「…………な、なッ!!??」

脳を通さず、思いが直接声になり、人それぞれの本能が口をつく、
その視線の、言葉の先には。


天井から細々とつり下げられた糸。

2本の糸がつながれた、いかにも安そうなソファー。

その間にぎゅうぎゅうに詰め込まれた、5人の信者たち。


「あ、あいつら、まさか……!」

「あれが、プレミアムシート……!!」


ゆらゆらと超不安定に揺れながら、それでも満面の笑みを浮かべて
照明配線に触れる危険をものともせず、下界の者に手を振る。

ホームセンターで2000円くらいのプレミアムシートはホールの四方に一席ずつ、
そしてその中心に、また一席。
計5席が、Zepp Tokyoの上空に、たった2本の糸のみでたたずんでいた。
席に座るのは一席各5人、計25人のプレミアム信者。
当然信者どもの身体には、命綱1本巻かれていない


エリートB:「うはwww俺たちテラ注目wwwwww」

エリートA:「気を抜くな!俺たちの任務は、あくまでもN又先生を
お助けすることだ!」

エリートC:「さあ、広げるぞ!!」



バサアッ!!



四方の席から、蝙蝠が羽ばたくような音が響く。


下界の信者:「「「「「おおっっっ!!」」」」」


度会明日香、玉泉日和子、鳳鳴、羽田小鳩。


それぞれのキャラクターが一人ずつ描かれた、等身大巨大版画
(OHPのイラストをただ拡大コピーしたd)が上空から垂れ下がる。

「おおおおおっ!ポッポ!ポッポオオオオオッッッ!!」

「目が合った!鳴!もうお前は俺の子を半永久的に妊娠する!!」

「ぴちゃっ……うお、見ろ!あまりの熱気にプリンセスが喜びの涙を
流しておられる!」


「ふーっ、ふーっ」


エリートの汗という可能性(てゆーか事実)を信者は見ようとしない。


「四方に一人ずつ……じゃあ中心は何だ?」


信者どもの視線を確認したかのように、



ばさあああああっ!!







「うおおおおおおおおおおっ!!!」



数々の「本当に出るのか」というエロゲーマーのあきらめにも似た予想を
改めて打ち破る、力強い文字。

「もう、王のハゲを心配することはないんだ……」

所々から、安堵のため息がもれた。

これで、ライブに心から集中できる。
皆の心に、信者としてだけではなく、ゲームファンとしてのテンションが
みなぎっていく。


「いぇ〜〜〜〜〜〜い♪」


そのテンションの最中、明るい声がライブハウス内に響き渡る。
流れている曲の歌い手、YURIAのものではない。

「ま、まさかこのお声は……!!」


「きょうはぁ、来てくれてぇ、どうもありがと〜〜〜〜〜♪」


「せんせーーーーーーい!!」


テンションを更に上げるトップバッター!!
N又先生のご登場だァ!!


「葵ちゃん!葵ちゃあああああん!かわいすぎるー!」

「あおいーーーッ!ア!アーーーーーーッ!」


ネーブルガールズの衣装(一番上の画像と同じ)に身を包み、
ぴょんぴょんと飛び跳ねながら客席へと朗らかな笑顔を振りまくNavelきっての看板絵師。

手に握った空鍋とお玉をぶんぶんきゃいきゃいと振り回している。
サービス精神を決して忘れない。それが天下のオメガビジョン、N又葵なのだ!


「楓さまーーーー!刺して!刺してーーーーー!」

「俺にもその鍋でかき混ぜた空気吸わせてーーーーーッ!!」

「あ、あ、あ、葵ちゃんの料理イイイイイイッ(泡を吹きながら)」


「せめて声当てた声優が出演すんだから彼女に持たせろよ」

という一部の後藤系信者の声は、届かない。
この場所は、絶対的アウェイ。
絶対に、届かない。



女帝:「はーい、そういうわけでこんばんわー♪N又葵でーっす♪」


チャーミングに、かわいらしく、西暦とか干支とか絶対に聞けない
甘い声で会場の信者にご挨拶。


信者共:「葵ちゃーーーーーーんっ!!」

信者共:「あ、あおーっオアーッ!!オアーッ!!」

信者共:「おああああああああああッ!!」


動物園?いいえ、これは宇宙大戦争です。
揺れるZepp。まさしく外タレ並の値段人気ぶりだ。

さぞかし女帝もお喜びだろう……


女帝:「…………黙れ


ぴたり。


つぶやくような、それでいてよく通る黒い声。
そして、眼光一閃。
精神に高揚と別の効果を与えるクスリを飲んだように騒いでいた彼らは、
それが突然切れたかのように沈黙する。
圧倒的に強い生き物に出会った動物が、思考を本能で強制排除し
動きを止める様子に、酷似していた。


女帝:「コールは〜?」


思いもよらない言葉が、会場内を支配する。


信者共:「コール?コールって何だ?」

信者共:「わかんねえ。俺ライブなんて来たのはじめてだもんよ」

信者共:「俺も俺も。普段は葵ちゃんの絵を一日中眺めて過ごして
ラジオ聞いてるだけだから」


ざわ・・・ざわ・・・


少しずつ、ざわめいてくる会場。信者共は、混乱している。
しかし、前列の一部は、全く違う反応を示していた。


声オタ:「ちょ、声優でもないのに向こうからコール指名かよ!」

声オタ:「誰がやるんだオイ!ヘタな奴がやったら血を見るぜ!」

声オタ:「統制もとれてないのに要求するとは…葵、恐ろしい子…」


女帝:「え〜?コールないの〜?使えねえな
じゃあそこの8500円席のキミ、よろしく〜♪ご指名はいりま〜す♪」



「え、俺!?つーか何で値段で呼ぶの?」


突然一人にやけに指名を呼び慣れた様子で指名が入り、この中では
かろうじて一般人側に天秤が傾く男子は慌てふためいている。


信者共:「なんでアイツが呼ばれるんだよ……」


気づくと、そう言わんばかりの目で周りから睨まれている。
「お前らがコールできないからだろうが」という叫びを、遺伝子が制止する。


女帝:「あの子が『せーの』って言ったら、みんなで力の限り名前を叫んでね♪
AOIちゃーんで統一よろしくっ♪
キミ、責任重大だぞぉ。がんばってねっ♪」


「びくっ!」

女帝の目が、彼にメッセージを伝える。
いつか、野生の王国的な番組で見たことがある目だった。
『失敗したら、わかってんだろうな?』

背中に流れる、普通とは全く違う汗。
生命の危機。打破するためには、やるしかない。

彼は、生まれて初めて限界まで息を吸った。
そして、後にも先にもないMAXの音量で、力の限り、叫んだ。


「あ、せーの!!!」


「「「AOIちゃーーーーーーーーん!!!」」」



女帝:「ありがとー♪」


さっきまでのにこやかフェイスに戻って、おたまと空鍋をぶんぶんを振り回す。
どうやら合格点らしい。彼は、心底ほっと胸を撫で下ろした。


女帝:「うーん、みんな元気だねー。AOI嬉しいっ♪
……あれ?ちょっとそこの52500円席のキミー?」



「だからなんで値段で呼ぶんだよ…」


お玉の先で差された、中央に宙づりになっているプレミアムシート。
シーターが、なぜか恍惚の表情を浮かべる。


エリートA:「あ、あ、先生が、N又先生が、俺を……
な、何でございりましょうか?」

女帝:「その発売日ポスター、半分に折れてるよ〜?」

エリートA:「も、申し訳ございません!N又先生!サー!」


一生の不覚とばかりに、空中で必死に頭を垂れる。
糸2本で支えられたシートがぐらぐらと揺れ、ギシギシと危険な音が。


バサアッ!!






信者共:「うおおおおおおおおおッッ!!プレリュードオオオオオオ!」

信者共:「リミテッドーーーー!!まさに限定ッ!!!」


そりゃあ序盤しか入ってないんだからLimitedだよなという
某所でのつぶやきもむなしく(N君、使わせていただきました)大盛り上がりの信者たち。


女帝:「この件に関して、いくつかお葉書をいただいておりまーす。ぽいっと」


用(賞味期限)は終わったとばかりに、おたまを放り投げるみんなのアイドルAOIちゃん。
スタッフが何かに憑かれたような高速で回収に走る。
その人物には目もくれず、胸元から何か、紙のようなものを取り出す。


信者:「うっひょお!セークスィーーー!!」


どんだけ青少年なんだよお前。


女帝:「これは……っと、いつもオフィシャルBBSに書いてくれてた
常連の信者さんだねー。ありがとー♪」



うわ……あの最強集団の一人かよ……


女帝:「えっと……『AOIセンセイこんばんわ』はいこんばんわー♪」


「なんだこのラジオ慣れまでしてる原画家


女帝:「『いつも楽しくAOIセンセイの関わった作品を楽しんでおります。
シナリオに土下座させたことで盛り上がったのも今ではよい思い出です(笑)』」



呼応するかのように、会場内に爆笑が響き渡る。
何がおかしいのかサッパリわからない一部が、呆然と周りを見回している。


女帝:「えー、そんなことさせてないよぉ。彼には別件で……ね♪」


したんか!なんかしたんか!


信者:「やっぱりそうだよな。原画を生かさないシナリオは土下座だよな」

信者:「おう。N又センセイの絵があって、今の業界がなりたってるのにな」


そ、その結果がコレ?


信者:「そこがわからないシナリオは業界から去るべし」


飲み込む。じゃあどうしてお前らSHUFFLEでここまで盛り上がれたんだよという
感情を、ぐっと飲み込む。
シナリオや設定があるから絵が生きるんだろうが。

しかし、数々の信者の行動で危機回避能力が極限まで高まった遺伝子が
シグナルを発する。触れてはだめだ。反論してはいけない…と。

笑顔を崩さずに、AOIセンセイは話し続ける。


女帝:「『今日は、どうしてもセンセイに言いたいことがあって、このメールをだしました。
ズバリ、俺つばの延期についてです』」



!!


女帝:「『今回の仕打ちはファンにとってあまりにもひどいものではないでしょうか。
発売日の告知から王雀孫の髪の毛の死刑宣告のごとくカウントダウンを繰り返し、
散々期待を持たせたところで発売延期。
だったら、最初から発売を発表しなければよかったのではないでしょうか』」



よかった。まだ信者の中にも良心の残っているやつがいたんだ。
そう思う、ゲームファンたち。

しかし、周りの反応は違っていた。



ざわ・・・ざわ・・・



信者:「何だコイツは!俺たちにライブ感を楽しんでもらおうという
AOIちゃんの心意気がわからないのか!?」

信者「延期延期と騒ぎ立てて……少しぐらい待てないものかね?」


や、お前どんだけ長生きするつもりだよ。


女帝:「もう一枚読みまーす♪『今回の延期した俺つばですが、Navelさんは
延期しない主義なんじゃなかったでしたっけ?ブル子とブル美が
今までだって延期したことなんか一度もないんだよとか
誇らしげに言ってますがそれももう崩れましたね(プゲラ』」



信者「殺せ!何がプゲラだ半角も使わねえで!殺せ!」

信者「AOIちゃんを悪く言う奴はこの二次元から出て行け!」


こーろーせ!こーろーせ!


一体となった(一部除く)殺せコールが会場を埋め尽くす。
そうか、Navelが求めているのはこういうファンの一体感なんだね!
いらnすごいやN又センセイ!


女帝:「みんなーちょっと待ってー。私、答えるー」


ぴたり。


スピーカーからコードが抜けたかのように、一斉に静まりかえる。
果たして、初の延期。しかもあれだけ煽った末の延期に
どんな回答をだすというのだろうか。

信者ならずとも、ゲームファンとして、注目せずにはいられない。


女帝:「ん〜……」


ちょっと困ったような、思いっきりDVD収録用のカメラを意識したポーズをとり、
小さく唸るAOI。もしかしたら、本当にかわいいのかもしれない。

そう思ったとき、言葉は発せられた。



女帝:「延期なんかしてないよぅ」



は?



女帝:「だから、ちゃんとプレリュード出すもん
6月28日に出すから、『俺つば』シリーズは延期してないもん」




いつから シ リ ー ズ も の に な っ た ん だ よ



女帝:「ねー、みんな?」

信者ども:「「「「ウオオオオオオオオオオオォォォォ!!!」」」」


え、何コレ肯定の叫び?


信者:「俺たちは幸せだぜえええ!こうして何度も俺つばを!
AOIちゃんを楽しめるんだからなあああああああ!!!」

信者:「俺つば最高ーーーーー!!!」

信者:「センセーイ!!一生ついていきますーーーー!!」


女帝:「というわけで、6月28日発売の俺つばをよろしくお願いしまーす♪
あ、複数買い推薦なのでよろしくー♪」



ちょ!製作側から言いやがった!


信者共:「「「「A・O・I!A・O・I!!」」」」

信者共:「特典は!特典はどうなってるんですか!」

女帝:「もちろんあるよ♪各ショップごとに
はんk……あおいが描き下ろしたテレカとか!」


信者共:「うおおおおおっ!テレカテレカテレkaあああああ!!」

信者共:「お、おで7兆本買うよ!」

女帝:「今7兆本とか言ったクソ野郎人はご退場願いまーす♪」


影のように現れた黒服に両手を掴まれ、ずるずると連行される信者。
この世界には……戒厳令が敷かれている……!

わめく元信者の声が徐々に小さくなり……ばたん、と重い扉が閉められる。
その重さは、決して重量だけではない何か。
満足そうに微笑んだ女帝は、話を続けた。


女帝:「版画の要領で印さt……ショップ限定シーツとか!
これでみんなも○○ちゃんと一緒に眠れるね!きめぇ

あ、オフィ通はいろいろとめんどくさいんでやらないけどねー♪」

信者共:「さすが先生!少しでも不利益になるようなことはやんないんですね!」


それは褒めてないです。



女帝:「んじゃ、ふつおたコーナー終了っと♪
おーい、これ呪っといてー(いいとものタモリがADを呼ぶ時と同じ口調で)」



うわおう空気を吐くようにさらりと言ってやがるぜ。
しかもADと全く目を合わせやしねえ。福留かよ。



女帝:「じゃあ私が前説もやっちゃいまーす。
いちいちギャラ払うのがイヤなんでがんばるー♪」


信者共:「すげええ!なんて健気なんだ葵ちゃん!」

信者共:「僕らのために!ありがとうセンセイ!!」


信者イヤーは都合の悪いことは聞こえない。
ちなみ信者ビームは熱光線(センセイに対する)


女帝:「えっとねー。まずこの前説が終わったら
30分の物販タイムになりまーす♪」



   。 。
  / / ポーン!
( Д )
      16:30の会場から1時間物販やってたじゃねえか!



女帝:「そんでー。ちゃちゃっとねぶらの公録30分やってー。
あ、さっきのはコーナーとしてもう録音済だから」



ああ、ステージの後ろの方で魔方陣とか書いて
さっきのADが土下座してなんかやってるやつね。


女帝:「次にー。俺つばのデモ…はできてないから
しょうがないんで1時間出演者たちのライブやってー」



プレリュードね、プレリュード。
何にもできてないのかよっつーかライブがメインじゃねえのかよ


女帝:「そしたら1時間の休憩&物販タイムになります♪」



  /'           !   ━━┓┃┃
-‐'―ニ二二二二ニ>ヽ、    ┃   ━━━━━━━━
ァ   /,,ィ=-;;,,, , ,,_ ト-、 )    ┃               ┃┃┃
'   Y  ー==j 〈,,二,゙ !  )    。                  ┛
ゝ.  {、  - ,. ヾ "^ }  } ゚ 。
   )  ,. ‘-,,'   ≦ 三
ゞ, ∧ヾ  ゝ'゚       ≦ 三 ゚。 ゚
'=-/ ヽ゚ 。≧         三 ==-
/ |ヽ  \-ァ,          ≧=- 。
  ! \  イレ,、         >三  。゚ ・ ゚
  |   >≦`Vヾ        ヾ ≧
  〉 ,く 。゚ /。・イハ 、、     `ミ 。 ゚ 。 ・



信者共:「すげええ!葵ちゃんグッズ買い放題だぜ!」

信者共:「生写真は!?生写真はあるのか!?」

信者共:「開演前は売ってなかったが……もしやッ!!」

女帝:「ごめんねー。生写真はないのー。
でもなぜかイベント終わったら屋台のお兄さんが会場前にいるかもね♪」



ダ フ 屋 黙 認 むしろ自ら流してるだろコレ。


愕然とした。


7000円。
少なくとも今、一回にいる者は少なくとも7000円は払ってここにいるわけである。

その結果が、この内容。
3時間中1時間半が物販だと?無料イベントでもこんなのねえぞ!

と、そこで何かの違和感に気づく。
何だ、何か大事なことを忘れているような……


信者:「あれ?OHPだと終了21:30予定って書いてなかったか?
1時間あまるぜ?


それだ!


会場は16:30。開演は17:30。
そして、終了は21:30。そう書いてあったはずだ。
しかし、物販30分+公録30分+ライブ1時間+物販1時間で3時間。
確かに1時間あまる。

まさか…残り1時間ジャンケン大会とかで終わらせる気か?

いや、N又センセイが人に何かを与えるようなことをするはずがない。
そんな金あったら食う。いろんなものを。



女帝:「さすが私のファン!めざと……よく気づいたねー♪
そう!実はこの1時間がこのライブのメイン!
本当のシークレットサービスなんです!」




え?もうライブは終わってるわけだろ?
このNavel・角川・ランティスのオタ業界搾取御三家にこれ以上
何がやれるというのか?



信者:「ジャンケンすか!素敵なプレゼントてんこもりっすか!」

女帝:「そんなことやるんだったら売るよー」


ですよねー。


ざわ……ざわ……


信者共:「じゃ、じゃあ何やんだよ」

信者共:「わからん、でもイタズラ好きなAOIちゃんのことだ。
きっととんでもないサプライズを用意してるはずだ」

信者共:「もしかして…実はプレリュード2の発表とか?」

信者共:「登場人物ごとのオムニバスリリースかもしれないぜ」


目が輝いている、どんだけポジティブなんだよ。



女帝:「じゃあ、発表しまーす♪残り1時間はー……」


ごくり。


水を打ったように静まりかえる会場。
信者みんなが、これから起こることに期待している。
不肖ながら、このもとぬきですら、彼女の言動を待ち、だらしなく口を開けている。

女帝が大きく息を吸う。
前説のクライマックス。それは……



女帝:「N又葵、ソロラーイブ!!!」



                  ━━┓┃┃
                ┃   ━━━━━━━━
                ┃               ┃┃┃
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  /'           !              !             !             !
-‐'―ニ二二二二ニ>ヽ、  ニ二二二二ニ>ヽ、 ニ二二二二ニ>ヽ、 ニ二二二二ニ>
ァ   /,,ィ=-;;,,, , ,,_ ト-、 )/,,ィ=-;;,,, , ,,_ ト-、 )/,,ィ=-;;,,, , ,,_ ト-、 )/,,ィ=-;;,,, , ,,_ ト-、
'   Y  ー==j 〈,,二,゙ !  )   ー==j 〈,,二,゙ !  )'  ー==j 〈,,二,゙ !  )   ー==j 〈,,二,゙ !  )
ゝ.  {、  - ,. ヾ "^ }  } ゚ 。   ,. ヾ "^ }  } ゚ 。  ,. ヾ "^ }  } ゚ 。  ,. ヾ "^ }  }
   )  ,. ‘-,,'   ≦ 三    ‘-,,'   ≦ 三    ‘-,,'   ≦ 三   ‘-,,'   ≦
ゞ, ∧ヾ  ゝ'゚       ≦ 三 ゚。 ゚      ≦ 三 ゚。       ≦ 三 ゚。 ゚   ≦ 三 ゚。 ゚
'=-/ ヽ゚ 。≧         三 ==-        三 ==-       三 ==-     三 ==-
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  ! \  イレ,、         >三  。゚ ・ ゚    >三  。゚ ・ ゚   >三  。゚ ・   >三  。゚





女帝:「今まで身内に音楽やってんのがいるのにそいつを無視してランティスの
ゴリ一押しアーティストたちがお送りしてきた名曲たち!
私が一時間&ダブルアンコールまでめいっぱい歌っちゃうよー♪」


信者共:「うおおお!さすがスペシャルライブ!まさかAOIちゃんの歌が
そんなにたくさん聞けるとは思わなかったぜえええ!ヤッホーーーーー!!」

信者共:「だよな!ダブルアンコール強制かよとか
7000円とってカラオケ大会かよとか言うこと言う奴は潰す!」


言論封殺!


我が生涯に一変の悔いなしとばかりに雄叫びをあげるN又信者。
だが、その中に異様な光景があった。

さっきまで一緒になって咆哮していたはずの信者の一部が、
顔を真っ青にして奥歯をカタカタと鳴らして震えているのだ。


信者F:「ど、どうした信者E?
そうか!震えるほどAOIたんソロライブが嬉しいんだな?」

信者E:「……お前……信者になって間もないだろ……」

信者F:「!!な、何を!俺は同人時代から生粋のAOIたん一筋で
センセイの生活基盤になった男だぜ!はは……」

信者E:「そんな男だったら……センセイの今の発言に……
歓喜できるはずがないんだ……」


深く、静かに、達観した様子で細々と離す信者E。
達観というには、あまりにも弱々しいかもしれない。
だがその言葉は、間違いなく真理だと言える何かがあった。


信者E:「お前……BLESSをやってないだろ?

信者F:「え?」

信者E:「これをプレイしているかどうかでな……今、このときの反応が変わるんだよ……
どうやら俺みたいな古くからのN又信者というのは、ほとんど残っていないようだ……」


そう言うと、Eと呼ばれた男は震えた人差し指で周りを指さしている。
例外なく、足を震わせ、真っ青になった男達だった。


信者E:「あいつらは……少なくとも商業デビューからのセンセイの信者……
見ておけ……あの状態が……正常な反応だ……」

信者F:「ふ、ふざけんな!俺は……!」


生粋の信者だ。そう言おうとするが、言葉が出てこない。
Eの、心の中まで見透かすような目が、小さな嘘も許さない。
誇張すら、通用しそうにはなかった。


信者F:「……すまない。俺は……シアで入信したクチだ……」

信者E:「あの話でよくハマれたな……いや、人それぞれ……だな。
入信の時期も気にする必要はない。新陳代謝がないと、成長はないからな」

信者F:「……なあ、恥なのを承知で教えてくれ。
なぜお前は今、そんなに恐怖しているんだ?」

信者E:「……聞きたいか?」

信者F:「……頼む。AOIたん信者を、これからも名乗るために」

信者E:「その言葉、信じるぞ」


爆発的な喧噪の中、ぽつりぽつりとしゃべり始める。
なぜか、はっきりと、心にしみいるように言葉が入っていく。


信者E:「BLESS……センセイが初めて商業ブランドを作り、
デビューしたエロゲーのタイトルだ。
昨今はまだ、登場人物に声を入れるというのは一般的ではなく、
BLESSにも入っていなかった」

信者F:「その分、センセイの絵のよさが際だっていたわけだな」

信者E:「ああ。だが、主題歌はあったんだ」

信者F:「なに?今も聞けるのか?CD持っていたら貸してくれ!」



信者E:「CDは……存在する。だが……
そのオリジナルバージョンは存在しない



信者F:「え?」



CDはある。サントラもある。
だがオリジナルバージョンは存在しない。
そんな事が、起こり得るのだろうか。


信者F:「どういうことだ?CDはあるんだろ?
まさか、サントラなのに主題歌がロングで入ってないということか?」

信者E:「いや、それは今のアニメサントラならほとんどそうだろう。
待っていればランティスならベストとか言って
今までシングル買った奴涙目
だ。問題ない」

信者E:「だけど、BLESSに関しては言葉の通りさ。CDに主題歌は入っている。
だけどな、アレンジバージョンとやらで他の歌手が歌っているのしか
入っていない
んだ」

信者F:「馬鹿な!それじゃあ元の歌い手がかわいそうだろ!
なんだ?曲芸商法みたいに今までついてきたファンの意向を無視して
団長の好きな声優に総取っ替え
ってことかよ!」

信者E:「あれはあれで喜ぶファンもいる。段々と棲み分けができてきているようだな。
作品として愛するか、中の人として愛するか……一生答えのでない問題だ」

信者F:「……だけどよ!その主題歌に関しては違うだろ!
オリジナルが世の中に出回らないなんて……そんなの不条理だ!!」

信者E:「お前は純粋だな……そこをつけこまれているのだが
だがな、これを聞いてもそう言い切れるか?


そう言うと、彼はライブハウスのスタンディングにはまったく相応しくない
でかい鞄から、何かを取り出す。
四角い塊……iPodとヘッドホン。


信者F:「ま、まさかそれは……オリジナルか!?」

信者E:「ゲームから直接抜き取った。個人での使用だから大丈夫だろう。
……聞いてみろよ」

信者F:「ありがてえ!すまぬ……すまぬ……」


自らの知らない、N又先生の過去。
知る喜びを、彼はかみしめていた。

「ごめんな」

喧噪とヘッドホンに阻まれ、呟きはかき消される。


信者F:「待っててね〜AOIた〜ん♪昔からの飛び抜けた才能のスタートを
聞いちゃうよ〜ん♪俺、このライブが終わったらBLESSを探しに行くんだ……」


ウインドウに映る、”VANITY”の文字。
まるで彼女の絵に初めて触れたときのような、雷が脳を突き抜けるような興奮。
最高潮に昂ぶった精神が肉体に通じ、勃起という反応で己を主張させる。


彼は、運命のスイッチを入れる。



信者F:「お、なかなか幻想的でいいイントロじゃないか。
お蔵入りするようなメロディじゃねえだろ。
……お、歌が始ま……!?



  ( ゚ Д゚)   …………
  ( つ旦O
  と_)_)


    _, ._
  ( ゚ Д゚)   ガシャ
  ( つ O. __
  と_)_) (__()、;.o:。 ←iPod
          ゚*・:.。


      _ _  ξ
    (´   `ヽ、     __
  ⊂,_と(    )⊃  (__()、;.o:。
                  ゚*・:.。



信者E:「…………予想通りか」



信者Eは、己の耳を疑わざるをえなかった。
これでも普段から声優ソングを聴いて人生を生きてきた身。
とりあえずてきとーに出しゃ買うだろ的な圧倒的にやる気のない
キャラソンも、声優を食わせるためと、出資をしてきた。

どーしよーもないってゆーか歌わない方が……という
声優ソングにも、耐性はついているはずだ。

はずだった。


信者F:「なんだ……これは……ッ!」


圧倒的に狭い音域。

楽譜と全くあっていない声。

半音とかそういう問題じゃない不協和音が、聞く者に
精神的な不安・焦燥を意味なく与え続ける。

本人は声出せているつもりなのがまた。

伝説の歌手みなみおねいさんのように突き抜けたものがあれば
個性として認められるのかもしれない。

しかし、本人はいたって真面目に歌っている
シャレも通じなさそうな気配が漂ってくる。

だから、ただ、ただひどさだけが心臓に、脳に、直接訴えかけてくるのだ。
圧倒的不快感を。


信者F:「……くっ!(ヘッドホンを引きちぎる)」

信者E:「どうだ?オリジナルサントラが存在しないのに
アレンジサントラが出ている理由がわかったか?」

信者F:「ああ……声が音に埋もれて混じっているのが
アレンジャーの良心にすら思えてくるぜ……」

信者E:「かえって不安感を増してるって話もあるけどな」

信者F:「だが、どうしてだ?確かにひでえ歌だったが、
これとお前たち古参信者のその悪魔を見たかのような震えとなんの関係が?」

信者E:「…………」


何か、人生において大事なものを奪われたような蒼白の表情で
視線を一定の方向に向ける信者。

そこには、「おつりがでないように販売価格はお札での支払いのみに
なっておりまーす♪」
などとにこやかに告げる、彼らの中での神的存在が
にこにこと腹黒AOIスマイルを振りまいている。


信者F:「ま、まさか……?

信者E:「……真実は、わからない。あくまでも、発売当時の噂にしかすぎない」

信者F:「おい、もし万が一そうだとしたら、みんなに伝えた方がいいんじゃないか?」

信者E:「無駄だよ……見ろ」


指さした方向には、出入り口となる厚い扉。
その前に、国民全員がハイキックかませそうなお国柄の褐色の肌をした
195cmhある黒いスーツの男が二人、仁王立ちで見つめている。
他の出入り口も同様に、HEY MEN!と言いたげに二人ずつ立っている。

信者E:「逃げられないよ」

信者F:「SP?ねえ、あれSP?」


住む者全てが頭へのハイキックを確実にマスターしていそうな
お国柄のブラックな面々が豹のような視線で会場を見つめている。
アサシン……その言葉を無理矢理に飲み込む。


信者F:「じゃ、じゃあ大声で……!」

信者E:「無駄だ。このAOIちゃんコールにかき消されるだけだ。
聞こえるとしたら、上の狙撃班だけだろう」

信者F:「え!?あの2階席で関係者とダベってるのってそうなん?」

信者E:「ああ。胸元からちょっと見えた

信者F:「サイレンサー完備!」


信者として、AOIセンセイの生歌が聴ける機会は圧倒的至福だろう。
だが、それでも、万が一……BLESSの主題歌がセンセイだったら……!


みんなに上辺だけの愛想笑いを振りまき、ぴょんぴょん跳ねながら
前説トークを続ける。なんか物販の宣伝しかしていない気がするが
それよりも大事なことは、AOIたんの歌を……!


信者F:「どうすればいい!?玉砕覚悟で訴えるしかないのか!?
だが……AOIたんの顔に泥を塗るようなマネは……!

信者E:「……一つだけ……方法はある」

信者F:「なんだと!?」


彼は、ある一点を見つめる。
そこには、彼らと同じように黙りこくる集団がいた。

決してN又信者ではないということが一目でわかる、数少ない連中。
明らかに非公認の自作グッズを身につけ、(うちわとか)
あのセンセイに対し、非難の目を向けられる連中。


何よりも、彼らと違うところは。



「ちょっと……どうなってんのよ……これじゃ出番なんかないじゃない……」


「ただでさえNavel?とかいうメーカーの作品なんか出てないから
キャラソンなんかあるわけないし……」


「あたしたちは、女を見に来たんじゃない!」


「杉サマ!杉サマをだしなさあああ
ああああい!!!」




信者F:「まさか……腐女子か!」

信者E:「……そうだ」

信者F:「バカを言うな!俺たちにあんなモンスター
扱えるわけがないだろう!」



腐女子:「そうよ!杉サマがいないならイベントの意味がないわ!」

腐女子:「そうよ!公録なくてもいいから杉サマのショーを見せなさい!
なんなら脱がせなさい!」

腐女子:「ビタミンエーーーーックス!(Xジャンプしながら)」



信者F:「見ろ!なんだかスゴイの混じってんじゃねえか!」

信者E:「だからこそ……賭けなんだよ」

信者F:「賭け……?たしかに俺たちは骨の髄までAOIたん信者。
大声をあげたところで、深層意識は……望んでいる、AOIたんのオンステージを…!」

信者E:「その通りだ。BLESSで多少傾いたとはいえ、これはあくまでも不確定要素。
もし、N又センセイのお歌が…YURIAや橋本みゆきを上回ってたらという期待……!」

信者F:「かわいさと人間性では完全に凌駕


歌ぐらいで外れるほどのフィルターしかない信者たちだったら
とっくに潰れてますよねー。


信者E:「俺は卑怯者だ……信者としての威厳を守るため……
何よりも自分がN又センセイに嫌われないようにするため……
腐女子を利用しようとしているんだ!」

信者F:「馬鹿野郎!俺たちはいずれAOIたんと結婚しようと誓った仲間!
俺たちが信者キングになる覇道をジャマさせるわけにはいかない!
最大のピンチには他人を利用……AOIたんの教え通りじゃないか!」

信者E:「おまえ……」


ひしっ。


そう。
こんなところで、つまづくわけにはいかないのだ。
2人は誓い合った。AOI争奪戦の結晶に残るまで、この過酷な信者レースを勝ち続けることを。
自らの手以外が、生涯の友を葬り去ることは決して許さないと。

絵師と同じく血塗られた道を……歩み続ける……



そのために残された道は、信者以外の者を。
本来この場にいることが許されない下界の者を、利用するしかない。
N又センセイに忠誠を誓わず、別の目的で、それでいて信者と同レベルのパワーで
このライブに参加している者。


それが、腐女子……!


腐女子:「あたしたちは、杉サマがいればあとはどうでもいいの!
出番が少ないのなら、価値なんかないわ!」

腐女子:「そうよそうよ!すーぎーさま!すーぎーさま!」



「「「すーぎーさま!すーぎーさま!」」」



押されていく。
腐女子の迫力に、あの日本有数の信者たちの勢いが、押されていく。
新しい命を育む力のある女。
それだけのパワーをただ1人の男性に向け、それが連なって思いを発すれば。
男という存在は……黙り、散るしかない。

それは、男を束ね、まとめあげる女帝も同じ。
可哀想だが、今、ここだけは……悲願成就のため……



信者F:「くそう……俺のAOIたんが……悔しいぜ……」

信者E:「耐えろ!耐え……!!?

信者F:「ど、どうした!」

信者E:「センセイが……」



「…………笑っている」



呆然とステージを見上げる信者Eに、信者Fも続く。



女帝は、微笑んでいた。
後光が差す、普段は僕らにしか見せてくれないはずの、神々しいAOIスマイルで。
最も恐れるべき存在、同姓の暴動になりかねないこの行動に動じることなく、
まるで予想済みであるかのように、堂々たる微笑みであった。



女帝:「もぉ。私と同じオンナのコを悲しませるわけないじゃない♪」


コ?同じ?


女帝:「杉田クン……杉サマには、なんと♪
ここにいるあなたのためだけに特別に歌をご用意しましたぁ♪」



腐女子:「……え?(*´∀`)ポッ」



腐女子の表情が変わった!!



腐女子:「わたしのため……だけ……?(ノ∀\*)」



女帝:「しかもなんと、そのあなたのためだけに歌った模様を
なんとDVDにして後日郵送しちゃいます!」




腐女子:「゚・*:.。..。.:*・゜(*´∀`*)。. .。.:*・゜゚・*ポワワワァァン」



ストン   ストン   ストン

   ストン   ストン   ストン

ストン   ストン   ストン



信者F:「な、なんだと!?AOIたんの一言で
あれだけ猛獣のように荒れ狂った腐女子たちが着席しはじめただと?」

信者E:「……同性……」

信者F:「え?」

信者E:「女性心理を……確実に突く……
最高のセールストーク……!!」

信者F:「何がだ?確かにライブ会場限定の歌というのは魅力だが…
しかも郵送となれば……」

信者E:「違う!!」

信者F:「何が違うんだ!?」

信者E:「腐女子どもはDVDに釣られた訳じゃない

信者F:「な、何を言ってるんだお前。
腐女子は杉田智和のライブ参加特典DVDを喜んで鼻息を収めたんだろう?」

信者E:「違うんだ……センセイの発したセリフ……
あれはセールストークの基礎中の基礎だ

信者F:「なんだって!?
そういえばお前はこんなクソオタでありながら実態は一流セールスマン!」

信者E:「……センセイはあなたのためだけにと腐女子に言った。
それが……あの猛獣共を落とした一番の要因だ」

信者F:「だけって……実際には腐女子みんなに同じ物を送るんだろ?」

信者E:「セールストークやうまい広告の対応はな……一枚の紙やWEBページ、
そして一言……例え大多数が相手であっても一人一人を相手にするように
訴えかけることが
大前提だ」

信者F:「そんな馬鹿な!それでみんなと同じ物だったらかえって不満が増すんじゃ……」

信者E:「相手はちゃんとわかってるんだよ。私だけ特別扱いされるなんて事はない、とな。
だけど……『もしかしたら』そう思わせるだけで、十分なんだ。
ほんの少しの希望を持たせるだけで、商談というのはスムーズに進んでいくんだよ。
特に金銭感覚に鋭い、本能的に金を守る術を知ってる女性には商品の説明だけじゃダメだ。
あなただけのメリットがある。そう思わせることが大事なんだ」

信者F:「AOIたん……腐女子の扱いも心得ているのか……」

信者E:「おそらくコスプレイヤー時代に、既に基礎は身につけてきたんだろう。
それが、俺たちのためにグッズを作り続けることで、能力がさらに高まった……」

信者F:「確かに……AOIたんの作るグッズに外れなし……!」

信者E:「おそらくセンセイは……信者の気持ちを知り尽くしている!」

信者F:「AOIたん……まさに神!!」


涙を流して仁王立ちの信者二人。
それを見ながら宗教ってこういうものなのかな……と別の涙を流す俺。


信者F:「!!ということは、腐女子の勢力がなくなった今……歌に対抗できるヤツは!」

信者E:「存在しない……ということだ」

信者F:「逃げられない……もし、本当にBLESSがAOIたんだったら……」



ひらり。



その時、信者の足下に、一枚の紙が舞い降りてくる。
これからの未来を暗示するかのような、偶然といういたずらに満ちた白い紙。
もしかしたら女帝という名の天使からの贈り物だったのかもしれない。



信者E:「セット……リスト……?」



信者F:「おい!これ今日歌う曲のリストじゃないか!?」

信者E:「全部ではないが……持ち歌がないのはセンセイと男性陣……
何を歌うかの可能性は絞り込める!」

信者F:「早速見るぞ!!どれどれ……」



!!?




洗脳・搾取・虎の巻



超ポジティブ!守銭奴ver.



もうかりまっか B'z





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(リンク先はニコニコなので自己責任でお願いします♪)





信者E・F:「「これならイケル!」」



うっそ洗脳する気マンマンじゃんよ。



信者E:「覚悟……決めるぞ!」

信者F:「OK!」

信者E:「退かぬ!」

信者F:「媚びぬ!」

信者E・F:「「顧みぬ!!」」

信者E:「我らはN股センセイに!」

信者F:「全てを捧ぐと誓った身!」

信者E:「AOIの笑顔を守るため!」

信者F:「信者の証(金)は全て献上!」

信者E:「AOIを泣かすものあれば!」

信者F:「2chで精神いたぶります!」

信者E:「夢の同人生活で!」

信者F:「財布代わりのポリ袋!」

信者E:「周りの仲間が離れても!」

信者F:「我ら信者がついてます!」

信者E:「セ・ン・セーーーーイ!」

信者F:「A・O・I・ターーーーーン!!」


信者E・F:「「ふぁいとっ♪」」




――――これより、Navel ONLY LIVE 「Live in Tokyo かぶら2008」を開始します。

まずは物販の時間となります。先着販売となり、後の発売は一切致しませんので

みなさまどうぞ存分にバトルのうえ、完売するまでお買い求めください――――





信者共:「いくぞぉお前らァアアアアアア!!」


「「「「「「ッシャアアアアアアアラアアアアアアアアアア!!!!」」」」」





2008年4月27日。祭りが――――始まる。




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