Aさんの北京旅日記 1997年8月
11日(月)
成田から飛び立ったユナイテッド・エアラインは全
面的に禁煙。中国人は煙草好きだから、辛いだろうな。
12日(火)、
本日は市内観光。ここで初めてツアーの人たちと合流し総勢13
名となる。このツアーの参加者は出発便も泊まるホテルも別々で、
現地の業者がただ観光を下請けしているだけのものであると解った。
天安門、紫禁城、景山、天壇と巡るがどこも石で造られた場所ば
かりだったので、石が熱せられかなり暑かった。凍らせたミネラル
ウォターを飲みながら巡った。
13日(水)、早朝、付近の公園まで散歩する事にした。公園に
はたくさんの人たちが来ていろいろな集団がそれぞれの健康法を実
践していた。太極拳は知っていたが、ジャズダンス風踊りの集団は
30名ぐらいで、かなり年輩の女性ばかりであったが踊りはなかな
か上手で日本の若者なんか負けそうな気がした。北京は夜が遅い人
と朝が早い人がいるらしい。
部屋のテレビは日本のBSを受信できる。終戦50年目の2年前
の中国のテレビは日本の侵略ばかり報じていた記憶があるが、今回
はチャンネル数も増え、日本の企業の宣伝もあった。
本日のツアーの総勢32名が小型バスに乗り、明の十三陵に向か
う。道路は昨年末に完成したばかりの高速道路で快適であった。来
年には万里の長城までこの高速道路は延びているでしょう。中国も
外貨獲得には万里の長城の利用に気がついたのかもしれない。十三
陵の入り口付近で桃を2個買う、一個10元。ガイドの王さんによ
ると1元ぐらいの物だという。ガックリ。観光地の露店は外国人に
は強気で吹っかける。それで私みたいに買う者がいるからいけない
のだ。
万里の長城は雄大な景色であった。中国は南船北馬というので、
この地方では、どこでも馬が走れるものだから壁を造ったのかと思
っていたが、山の方にまで馬が行く訳がない。これは実際に長城を
みればよく解ることである。呪術的なものがあるでしょう。
夕食は王府井で北京ダック。
14日(木)、天津に行く。天津は北京から150Km位のところ
で、高速道路でトウモロコシ畑を見ながら二時間弱で到着。天津で
は港がみられるのかと思ったが、天津市街は港から50Kmくらい
離れているらしい。
天津は北京より広々としていて、乗り物もすこし北京より安っぽ
い物があるが、顔つきは北京よりか穏やかな人たちが多い。海産物、
小さな絨毯など購入。
動物園のパンダは寝ていた。
マクドナルドは現地ではマイタンロウと呼ぶ。それを聞いた運転
手はマイタンロウのCMソングを歌い出した。なかなかの人気であ
るらしいことがわかる。
天津で見た面白い食べ物屋
夜、京劇にを見に行くことにする。劇場は歌舞伎の舞台のようで、
出されたお菓子とビールを飲みながら鑑賞。前に座ったアメリカ人
らしい人が電光掲示板に書かれた英文を読んで喜んでいた。われわ
れは、中国文も解らず英文もよく解からない。英語は中国を含め海
外旅行にはには必須な言語だと感じた。
15日(金)、朝食前に散歩しようと、早い時間に部屋から廊下に
出たらホテルのその階のカウンターの中で寝ていた係員に事情を聞
かれた。なんとか私の中国語?を理解したらしく通してくれた。
このホテルの数部屋のドアには日本商社などの北京駐在所の看板
が掲げられている。24時間警備なのでホテルは安心だからだろう
か。
中国の警備はなかなか物々しい。天安門では国旗を守るために直
立不動の兵士が二名微動だにしないで立っている。本当に動かない
のかよく見たら、時たま眉のあたりがあたりが動くのが解った。ち
ょっとした建物にも同じように衛兵が直立不動である。商店では常
に警備員が巡回している。
今日は、まずホテルの近くで三輪自転車に乗り北京駅まで行く。
北京駅は恐ろしく天井が高い駅であった。駅のベンチで座っている
と、そのまま中国人に溶け込んでいきそうな雰囲気。
廬溝橋に行くことにする。150元の言い値を130元に値切っ
てベンツに乗り込む。まず戦争記念館を見学。私が記念館から出て
きたら他の運転手が「どうだった」と聞いてきた。帽子を取ったら、
みんな頷きながら満足そうに大笑いしていた。
次に廬溝橋を見学。マルコポーロが美しい橋と言っただけあって
素晴らしい橋であった。ここから日中戦争が始まったのかと欄干の
銃撃の跡を探す。なんでここに日本軍がいたのか不思議な感じ。
王府井の道路でタクシーの検問をしていた。運転手は極めて素直
に従っていた。現地の人にとって公安は相当怖いものらしいことが
解る。アムネスティの発表によると、96年度の中国での死刑執行
は4000人強が確認されているという。中国当局は公表してない
ので実体は解らないが、死刑執行の人数はもっと多いらしい。お上
の言うことを聞かないと大変な国なのである。
16日(土)、早朝、露店でおみやげを買おうと外に出たら雨で、
露店は出ていなかった。露店で気に入った物があったので、それを
おみやげにしようとしていたので残念。雨の当たらない木陰に屋台
が出ていた。焼き餅を買った。これは充分に朝食になる量で熱くて
美味しかった。 その隣では、桶にあまり固まっていない豆腐が入
っている。それをしゃもじで掬い汁と薬味を入れて出してくれる。
ぴりっとした味が何ともいえない。大変いい味であった。
ホテルに帰って、朝食にコーヒーだけ飲む。ホテルのまずい朝食
を食べている人が奇異に見えたから不思議。外の方が安く、しかも
何倍も旨い物が食べられるのだから。
北京空港では、2年前と大きく様変わりしているのには驚かされ
た。2年前は薄暗い売店で服務員が客を無視して、おしゃべりした
り物を食べたりしていたものだが、全くその面影が見あたらない。
2年前は、お前に物を分けてやる、といった態度を感じたのである。
今は、他の外国と変わらないのではないかと思えるほどである。中
国は確実に変わりつつあることが肌で感じられた。