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● リウマチ最前線<No.1> ●

- 開発進む生物学的製剤 -
(人口タンパクで、免疫バランス回復)


生命を維持するため、体のあらゆる場所でさまざまなタンパク質が働いている。
互いに影響しあう複雑なシステムだけに、そのバランスが崩れると、一転して病気を引き起こす。
分子生物学がその仕組みを解明するにつれ、遺伝子工学で作った人工タンパク質でバランス回復を狙う薬が登場した。
「生物学的製剤」と呼ばれ、治療が難しい関節リウマチ(RA)では、欧米の医療現場に革命をもたらせている。

RAは、免疫機能のバランスが崩れ、自分の体を攻撃してしまう自己免疫疾患。
主に炎症で関節を包む滑巻くが増殖して腫れ、関節が破壊される。

[米3種類認可]
発病にはT細胞など、免疫をつかさどるリンパ球がかかわる。
感染などによる炎症で、リンパ球が以上に活発化し、血管から関節などの組織に出て行く。
その結果、滑膜細胞が増殖。新たな血管もできてリンパ球供給が増え、炎症は慢性化する。
さらに軟骨を壊す破骨細胞の働きも促進し、関節が破壊される。
一連の現象の調節には、炎症性サイトカインと呼ばれるさまざまなタンパク質が関与する。
現在腫瘍壊死因子TNFやインターロイキン(IL)1、IL6など10種類以上の存在がわかっている。
米国でRA治療に認められた生物学的製剤は3つ。うち2つは、TNFの抑制を狙ったものだ。


インフリキシマブ(欧米での商品名レミケード)は、TNFの中和抗体。 体内のTNFと結合し、その働きを抑える。
ただ、結合部分は、マウスのタンパク質のため、使用するうちに体が異物と判断。中和抗体に対する中和抗体ができる問題がある。

エタネルセプト(欧米での商品名エンブレル)は、TNFが結合する細胞表面の受容体タンパクを人工合成したおとり受容体。
結合力が50倍も高いため、TNFはこのおとりと結合してしまう。本来体内にある物質のため、中和抗体はできない。
これらは既に日本でも承認申請され、年内には認可の見通し。

残るアナキンラ(欧米での商品名キネレット)は、IL1の受容体に結合、ふたをする。

[選択肢広がる]
開発が最終段階にある薬も多い。
まず、TNF中和抗体のアダリムマブ。すべてヒトのタンパク質で中和抗体はできず、欧米では既に申請済み。
大阪大のチームが開発したMRAは、IL6受容体の抗体。
IL6が標的の初の薬として注目を集める。近く国内で最終的な臨床試験が始まる。
ほかにも、抗体を作るB細胞を壊す薬や、T細胞の活性化を抑える薬など有望候補は多い。
これらのサイトカインが関与する別の病気の治療にも期待が持てる。

現在の生物学的製剤が高価の無い患者もいるが、産業医科大第一内科の田中良哉教授は、
「非常にパワフル。新しい薬が登場すれば、これらの患者も救われる可能性があるし、治療の選択肢が増えることに意味がある。」と期待を寄せている。



〜 山陽新聞(2003.2.11)記事より 〜


  <管理人のコメント>
「新薬の情報は、本当に嬉しいものですね〜
けれど、この生物製剤は非常に高価で、年間約40万円前後の患者負担が予想されるそうです。
行政の理解と対策を急いでいただきたいものですね!」