有機・循環・減農薬の稲作


稲刈りが終わった田圃を見ていると、コンバインから吐き出された稲藁の長さが違うのに気がついた。聞いてみると、長い稲藁はそのまま乾燥させて11月以降に牛の敷き藁にするために牛屋さんがロール状に巻き取って回収する。牛屋さんは敷き藁と牛糞を混ぜて堆肥にしそれを田圃に戻す。一方、短く刈った稲藁はそのまま置いておき、田圃を耕す時に一緒に梳き込まれる。


次に、籾殻はブタ屋さんに引き取られ敷き籾にされ、糞と一緒に堆肥にされて田圃に戻される。稲藁や籾殻は牛とブタに活用された後、堆肥となって田圃に還元される。これが有機還元農法である。

1反の水田には、1トンの有機肥料が入れられる。化学肥料の使用を極力少なくする。除草剤を撒くのも1回に留める。害虫駆除の薬品は撒かない。水田の中には、虫の幼虫やタニシやオタマジャジャクシがいっぱい生息している。農薬を撒かない水田でも上流から流れてくる水に農薬が混じっている可能性があり、無農薬栽培とは言えないとお上が言うらしい。苦肉の策で、「農薬を撒いていない田圃で出来た米」と表示している。
ちなみに、野菜栽培の場合は米を作るより3倍の肥料が必要で、除草や、害虫駆除など手間が何倍もかかる。極端に言えば、米は田植えをした後は水の管理さえしていれば普通に出来ると言われている。米作りは、弥生時代からの経験がシステムとして完成している。


5キロ袋入り2000円で農家が口コミだけで、直接消費者に販売している。自信を持って作った米が、美味しい!!と口コミで広がっていく手応えに満足しているお百姓さんに、巡り合えた。それが、「柳田さんちの米」「矢板たかはら米」です。

専業農家の有志が集まって、毎年出来たての「矢板たかはら米」と「魚沼産こしひかり」との食べ比べを行っているとの事だが、糖度の比較では1%低いらしい。食べ比べてみても違いがわかる人はほとんどいないといっていた。「魚沼産こしひかり」というブランドだけで価格が2倍近く違うことが全く納得いかない事だと言っている。「魚沼産こしひかり」は、化学肥料や除草剤・殺虫剤を控えめにして作っているから美味しいということを聞いたことがない。消費者のブランド信仰をたくみに利用している業者に踊らされているだけだ。一部栃木県産のコシヒカリが新潟県産コシヒカリとブレンドされて流通していることも指摘されている。流通過程の途中で何が行われているか不信感が増大している。

政府の備蓄米の倉庫には何年も前の米が積んである。その米が市場に流通するときには、当年産の米とブレンドされている。何%までブレンドが許されるか、そもそもブレンドすることが許されることなのか疑問だ。備蓄米は、必要であるが日付管理を徹底して流通させる事が求められる。政府の行政能力に信はない。

食品の各偽装問題や禁止薬品使用、事故米転売など、食品をめぐる不信感は増大している。日本人のモラルが問われている。そんな中、自分たちが食べる食料品を作っている人の顔が見えることは一番の贅沢ではないだろうか。自信を持って安全な食料品を作っている農家がいる。そう言う人たちは、自分の意見を多くの人たちに伝えることを苦手としている。だから、なかなか消費者に届かない。消費者が自分たちでそういう農家を探し出すことも必要だ。


今回の短期就農の機会は、自信を持って農業に取り組んでいる農家の皆さんと出会えたことが、一番の収穫であった。

栃木県産 コシヒカリ  「柳田さんちで作ったお米」  
5キロ 2000円 
申込みは
 
ここをクリック