そ よ 風 の 小 径

第26回  新たな旅立ちに向けて  (2010年 3月 22日)

   バンクーバー五輪が終わってだいぶ月日が流れました。

   あの場所で完全燃焼を果たしたアスリートたちは、今どうしているでしょうか。既に次の五輪に向けて走り始めて

  いる人もいるかもしれません。

   氷上の美しき舞姫たちに酔い痴れた同じ日、インターネット上にさまざまな誹謗中傷が流れたことを聞き、心が

  痛みました。

   ひときわ明るいスポットライトは、その分暗い闇も生み出すことは世の常ではありますが、人知れず流してきた

  汗に対して、惜しみない拍手を送りたいのです。

 このような話の流れの続きに自分の経験談を持って

くるのは、どうかとも思われますが、若き日の思い出と

して封印していた話をします。

 絵を仕事にする夢を抱いて上京した私は、渋谷駅の

近くのデザイナー学院に入りました。そこをステップに

して、就職するためでした。

 卒業が近づいたとき、学院主催のコンテストがあり、

私の作品が大賞をいただけるという知らせを受けまし

た。歓び勇んで会場にでかけた私が見たのは、作品

の下に大きく貼られた{?}のマークでした。

  そこに居合わせた何人かの同級の冷めた視線を浴びて、逃げ帰った記憶が今も哀しみとして残っています。

  「そんなことで傷つく方がおかしい」 と言われるかもしれません。また、笑い飛ばせる人もいれば、私のように

 内にこもってしまう人もいます。コンテストの主旨はトップを競うことですから、だれでも大賞を狙うのが当たり前。

 その座に自分ではない人の名があれば、面白くないのは理解できますが、厳しい視線を跳ね返すだけのエネル

 ギーが私にはありませんでした。

  今はどうかというと、相変わらず競争するのは苦手です。遅くともマイペースで自分の目指すところに到達する

 ことを夢見て努力してきたし、これからも歩みを続けてゆくでしょう。気がつけばいつも誰かに助けられながら、

 牛歩の歩みを繰り返してきました。

  「そよ風のアトリエ」もそんな歩みと共にありました。4月、新たな旅立ちをする多くの方々と共にアトリエも向上

 していけたらと思っています。

  これからも「そよ風のアトリエ」をよろしくお願い致します。
  

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