そ よ 風 の 小 径

第25回  今年の菜の花  (2010年 2月 21日)

   温暖な地方からの菜の花の便りが届くころとなりました。

   渥美半島でも菜の花祭りが始まったと先日の新聞が伝えていました。昨年見た青い海を背景にした菜の花畑が

  鮮やかに蘇ります。

   今年も機会を見て出掛けたいと思っていますが、まずは手頃な切り花からと花屋さんに出掛けました。ところが

  その日に限ってお目当ての花がありません。諦めかねる思いを胸にスーパーに立ち寄りました。なんとそこでイメ

  ージどおりの菜の花に出会うとは!

   地元の野菜を販売するコーナーにそれは置かれていました。茎が紅色のその野菜を昨年はおひたしにして食卓

  に出したものです。芥子醤油でいただくと美味しいそれを今回は描いてみたいと思ったのです。

 ちょうど居合わせた店員さんに名前を伺うと、紅菜苔

{コウサイタイ}と教えてくれました。

 菜の花はアブラナ属全体を指しているようで、春にお

目にかかる野菜類の多くは、そのままにしておくとやが

て黄色い花をつけます。白菜然り、キャベツ然り、ブロッ

コリーもまた薄い黄色の花が咲きます。花屋さんで切り

花として売られているのは、チリメンハクサイ系統のもの

で、葉が密生しているので描きづらいのです。

  その点、紅菜苔の葉はシュッとした印象で描きやすいし、名前の由来と思われる茎の赤を特徴に描けば、素敵

 な絵になりそうです。

  描いてみたらやはり思ったとおりの出来栄えになりました。

  そんなわけで、今年の菜の花のモデルは今までの食卓のお皿の上に乗っていた紅菜苔にお願いすることにな

 りました。
   

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