そ よ 風 の 小 径

第24回  散りゆく花に思いを馳せて・・・  (2010年 1月 23日)

  水曜日の早朝、ベランダで干し物をしていると、赤いアネモネが誘ってきました。

 「もうすぐ散ってしまうから、描くなら今ですよ」 と、そう言っています。

  見れば端正なフォルムが少しばかりくずれて、強い風が吹いたらくずれてしまいそうな状況です。

 それでもバランスを保っているようすに絵心が動き始めました。

  本当はそんなことをしている場合ではなかったのですが、鉢植えのアネモネをアトリエに持ち込ん

 でスケッチを始めました。

  水曜日の午前は10時半から名古屋教室が始まります。そのため、9時前には家を出て、9時過

 ぎのこだま号に乗って名古屋に出掛けるのが私の仕事です。ですから洗濯が終わったら身繕いを

 して少しゆっくりとコーヒーブレイクをして出掛け

 るというのが理想的なパターンなのですが、お茶

 の時間を割愛すれば、30分ぐらいの創作タイム

 は作れるわけです。

  花の盛りは勿論このうえなく美しいのですが、固

 い蕾が動き始めたときとか、くずおれる手前のよう

 すに惹かれることもしばしばです。

  そんなふうにして描いた花の絵を、今日のために

 用意しておいたお手本に加えて水彩画教室の皆さんに披露してみました。結果はことのほか共感をもっ

 て受けとめていただくことができて、嬉しいことでした。

  夕方帰宅して花を見ると、やはり花びらの数枚が茎から離れて黒土の上に舞い落ちていました。でも

 密集した葉っぱを掻き分けてみると根元のほうに二番花、三番花の蕾が出番を待ってスタンバイしてい

 るではありませんか。

  今までよりも一回り大きい鉢に移植して肥やしを与え、

 「また元気な花を咲かせてね」

 と声掛けするのが、夕食の準備にとりかかる前にした一仕事となりました。
   

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