そ よ 風 の 小 径

第9回  アラカン世代  (2009年 2月 1日)

  昨年の流行語大賞に輝いた「アラフォー」に対して台頭してきた言葉に「アラカン」というのがある

 そうです。意味は、新しく還暦を迎える人を指すようですが、私も今年アラカンの仲間入りをするこ

 とになります。

  思えば10代の頃に{悲しき60歳}などという歌が流行って、素朴にも

  「60歳は悲しい年頃なのかなぁ」

 などと小首を傾げた記憶がありますが、その時には我が身のこととして想像だにしていませんでした。

  坂本九さんが歌ったその歌詞は確か16歳の可愛い

 女の子に恋をした青年が、その子にふさわしい男性に

 なろうと一生懸命努力して働きます。やがて事業で成功

 した彼は、憧れの彼女に会いに行くのですが、悲しいか

 な乙女は60歳となっていました、というお話です。

  この歌を一緒に聞いていた母がぽつりと

  「いやな歌。」 と言ったのでよく覚えていたのですが、

 今思え返せばその時の母の年齢に近づいたことにな

 ります。

  確かに女性にとって年をとることは歓迎できない部分もありますけれど、実際に年を重ねてきて実感

 することは、 {○○しなければならない}という制約からひとつひとつ解き放たれて、心から人生を楽し

 んでいる自分がいるということです。

  若い頃のような持久力、記憶力、その他衰えたものもありますが、それは言いっこなしにして、毎日を

 大切に生きたいと心から思います。

  それはそろそろ先が見えてきたということにもつながりますが、病弱な幼少時代を送った経験を持つ

 身には、健康で還暦を迎えられることは感慨深いものがあります。

  見回せば、はつらつとアラカン世代を生きているご同輩のなんと多いことか。もうすぐ私もそうした皆

 さんの仲間入り、どうぞよろしくお願いいたします。
  

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