そ よ 風 の 小 径

第5回  椿と侘助  (2008年12月 7日)

  椿は日本原産の常緑広葉樹で、光沢のある葉を意味する 「つや葉木」 が名前の起源といわれます。

  よく似ている山茶花との違いは、花びらが花弁に合着しているために、山茶花のように花びらが一枚一枚

 散るのではなくて、ポトリと首落ちになることです。

  このように説明すれば明快なのですが、この頃よく街路樹として見かける椿とも山茶花とも思われるあの

 赤い花はどちらに属するのだろうと思っていましたら、どうやら答えが見つかりました。朝日新聞社から出て

 いる 「花おりおり」 によりますと、それは寒椿と呼ばれているが、冬に咲く椿ではなく、椿とは独立した種類

 なのだそうです。ちょっと見には、山茶花を思わせるけれども、山茶花が咲き終わった冬から春にかけて咲

 き、椿と山茶花の雑種に由来すると考えられているのだそうです。なんだかややこしい話ですね。

   江戸末期にシーボルトらによってヨーロッパへ紹介された

 椿は、東洋のバラとしてもてはやされ、椿姫のアクセサリー

 ともなりました。

  アメリカに渡った椿は、巨大輪志向が主流となり、イメージ

 を一新したと、ものの本には記されています。

  私自身、椿の中では白い侘助がこの上なく気に入ってい

 ます。その侘助を水彩画教室に向かう途中の路で見つけま

 した。高い塀に守られるようにして先端をほんの少し歩道側

 に向けて咲いていました。

  「あんな花が描けたらいいなぁ・・・・。」

 と思いながら教室に入りますと、一人の方から庭で摘んで

 きたばかりの花束をいただきました。その中になんとさっき絵心が動いたあの花が入っていたのです。

  早速その場で描かせていただきました。その絵が上に紹介した作品となりました。

  この季節、雑木林を歩いていると、椿によく似た白いお茶の花を見かけることがあります。この花も幼子の

 ような無邪気さを感じさせ、私のお気に入りの花の一つです。
  

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