新エッセイの部屋

 第 3 回 ・・・ カリフォルニア・ポピー

  春まだ浅いこの季節に、個展を開催したことがあります。

 そのとき、庭に咲いたという花をどっさり会場に届けてくれた人がいました。その中にポピーに似たオレンジ色の花、

 太陽の温もりを受けて育ったような元気な花が混じっていました。カリフォルニア・ポピーとの初めての出会いでした。

  別名をハナビシソウとも言い、北米のカリフォルニア地方を原産地とする芥子科の多年草です。何時も描いている

 アイスランド・ポピーとひと味違ったこの花を描いてみたいと思いました。

  夕方、画廊を出て買い物をして帰宅し、夕食の準備をしてそれから夕ご飯。その後お風呂の準備と主婦の時間は、

 瞬く間に過ぎてゆきます。

 さあ、一段落しましたよ、とカリフォルニア・ポピーに視線

を向ければ、何とあんなに元気に咲いていたオレンジの花

は、しっかりと花びらを閉じてお休みモードではありませんか

この花の習性を知った最初でもありました。

 朝になるとまた花びらを全開して絵心を誘うのですが、こ

ちらは洗濯その他に加えて、個展会場に出向くという生活

が一週間ほど続きました。

 結局、魅力的なモデルを身近に感じながら、スケッチす

るのが精一杯でした。

 でも、気をつけていると、この頃花屋さんの店先でもこの花を見かけるようになりました。今年の春もどこかで元気色

のカリフォルニア・ポピーに出会えることを楽しみにしています。

                                                              2005年 3月  

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