第12回・・・教室のモデル達

 水彩画教室(そよ風を描く)では、だいたい花を題材にした絵を描きます。

私が描いた絵をお手本にして描く人もいれば、実物を教室に持ち込んでそれを描くことも

あります。

 私は、風の中でそよいでいるような花の風情が好きなので、どうしても野の花を画材に

選ぶことが多いのです。

 今の季節だったら露草、朝顔、ナデシコなど。花ではないけれどエノコログサやコバンソウ

なんかも素敵です。黄みを帯びた緑色の濃淡で描くとこれが立派な絵になります。

 絵を習い始めた人から時々こんな話を聞くことがあります。

「今まで庭の雑草だとばかり思っていた草が、とても美しい植物だと気がついた。たとえば

ドクダミ、いくら除去しても次から次に生えてくるのが憎らしかったけれど、一度教室で描い

てからこの花の美しさを知った。そうしたらむやみに引っこ抜けなくなってしまって、おかげ

でうちの庭は草ぼうぼうなの。」(笑)

 庭が草ぼうぼうになることは気の毒だけれど、そんなにも美しいと感じられるものたちに

囲まれて暮らす生活は幸せだろうな・・・と私は思ったものでした。     (2003.8.1)

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