エッセイの部屋  (2004年8月)

第23回・・・ ブ ル ー ベ リ ー

 絵を描く者にとって描きたい素材に出会うということは、とても大切なことです。ですから、そんな素材が手に入った

ときは、もう嬉しくてなにはともあれスケッチを始めます。水彩画教室でブルーベリーの実をどっさりつけた見事な枝

をいただいたときもそうでした。バスで通ってくるというその人は、

 「大事に抱えてきたのだけれど、それでも途中でたくさん実をこぼしてしまったわ。」

と笑いながら手渡してくださいました。そのお気持ちが嬉しくて弾む思いでスケッチを繰り返しました。普段はスーパー

などでパック売りされた群青の実を見るばかりですけれど、畑から切り取られてきたばかりの枝についた実は、青緑、

赤緑と多彩で色作りから試行錯誤が始まります。 

どうやらコバルトバイオレットを基調にして、インジゴやプルシャンブルー、クリムソンレーキを混ぜることで夢色の木の

実は、描けそうだわ、と判断。最初はポストカードから描き始めたけれど、一番大きなB3サイズに移るまでにそれほど

時間がかからなかったのは、気持ち良く描けた証拠です。

 最近は健康食ブームもあって、ブルーベリーを栽培する人が増えているようです。ブルーベリーの実に含まれるアント

シアニンという色素が目の健康に良いとされているためですが、もし身近にブルーベリーの木を見かけたら絵のモデル

としてチャレンジしてみてはいかがでしょう。改めて自然の織りなす美しさに感心すること受け合いです。
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