大野家住宅 Oono

無指定 旧所在地・岐阜県高山市高根町野麦 建築年代/明治初年 建築規模/桁行9.1m 梁間9.1m 板葺　切妻造　妻入 飛騨地方の建物の大半は平入で、飛騨の里に移築保存される民家の大半も、これに該当しているが、一部地域にのみ妻入の建物が見られた。高根町の野麦、日和田、猪之鼻などの集落は、飛騨地方でも稀な妻入りの建物が存在する珍しい地域で、野麦峠を越えた先の長野方面の影響が強いからではないかと考えられている。また江戸時代に「南方山」と呼ばれる幕府の御用木の伐採に当たった杣人たちが当地域に多く住んでいたが、彼らが住んだ杣小屋から発展していったものであろうとも推測されてる。 内部についても同様で、入口の土間から家の中央部を占め、奥まで広がる大きな部屋を「イノマ」(居間)と呼び、このイノマの両側に各部屋が展開されているが、こうした部屋が左右に分かれる間取りもまた、杣小屋や長野県の民家のものに近く、飛騨地方では特異なものである。明治初年に建てられた当住宅は三方に下屋を設けており、江戸時代の民家と比較しても立派な間取りになっている。