山王茶屋
Sannou tea house



 
南会津町指定文化財
旧所在地・福島県南会津郡田島町糸沢字山王3254
建築年代/明治2年(1869)
用途区分/茶屋
移築建物/主屋
当住宅が所在した旧田島町の山王峠は、福島県南西部の栃木県との県境に位置する標高906mの峠である。若松城下と下野国今市宿を結ぶ南山通(別称・会津西街道)の宿場町であった糸沢宿と横川宿の中間地で、当住宅は峠から北に1km程下った場所に在ったという。そもそもは南山通を往来する人々の小休止や宿泊、物資の取次等の便宜を図る目的で元和3年(1617)に整備された茶屋建築であったが、幕末の戊辰戦争で慶応4年8月に官軍により焼き討ちに遭い、翌明治2年に同規模で再建されたと伝えられる。代々、渡部家が営んできたが、明治中期以降は東北本線や磐越西線の鉄道開通により往来が著しく減り、昭和初年頃に茶屋の営業は取り止めている。


山王茶屋は下野街道(若松城下から下野国今市)の山王峠南会津側入口にあった旧宿泊施設である。明治17年(1884)に編纂された「南山新道之記」には、雪中行路の便を図るため、元和3年(1617)に建てられたと記されており、凡そ400年前の創建と考えられる。戊辰戦争の戦火によって焼失するも、明治2年(1869)には、焼ける前と同規模に再建されたと伝えられている。平成14年(2002)に所有者である渡部氏より当時の田島町に寄贈され、調査解体の後、平成18年(2006)2月に現在の場所へ移築復元された。
構造的な特徴は、一般旅客の出入口とは別に、武士階級専用の玄関「乗り込み玄関」「のっこみ」とも云う)など近世宿駅の本陣形式を備えている点である。江戸時代、宿駅にはこの形式の本陣が設置された。明治5年(1872)宿駅制度の廃止に伴い、本陣としての役割を終えることになるが、昭和5年(1930)頃まで茶屋として旅人に利用された。【現地案内看板より】


 

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