清田家住宅
Kiyota



 
宮崎県指定文化財 (昭和52年4月1日指定)
旧所在地・宮崎県東臼杵郡椎葉村大字不土野
建築年代/元治元年(1864)
移築年月/昭和51年10月~昭和52年3月
用途区分/山村農家
そもそもは宮崎県北西部の椎葉村に所在していたもので、県を代表する国指定の那須家住宅と比較的近い場所にあったということになる。規模の相違はあるものの基本的には並列型と呼ばれる同じ形式の住宅で、内部はオモテ側に縁を設けオク側に部屋を一列に並べるという独特の間取り形式である。
ところで宮崎県の北西部は天孫降臨の地として有名な高千穂峡などがある場所として「神々の里」などとも紹介される太古の浪漫溢れる地域であるが、実際に昭和の中頃までは周囲には当家のような民家が多数残り、こうした神秘的な雰囲気に少なからず寄与していたようである。神社建築の屋根の棟に見られる千木の原形は当地域の民家の棟押えの手法にあるという説など実しやかに云われ、「神々しさ」に彩りを添える役割を果たしたこともあった。
しかし残念なことに、現在ではこうした古い民家は建替えられるか、あるいは屋根が葺き替えられるかするなど往時の面影を殆ど残してはいない。一昔前までは日本人の源を辿りたいという思いに駆られこの地を旅した方も居られたことであろうが、今やそうした浪漫は現地には既に無く、観光ツアーのパンフレットにのみ言葉が踊っているだけである。源を失くした日本人がどこへ漂流していくのかさえも考えることはない。





 

一覧のページに戻る