祁答院家住宅
Ketouin



国指定重要文化財 (昭和50年6月23日指定)
鹿児島県伊佐市大口里1855

鹿児島県は、全国的にも珍しい分棟型の民家が見られる地域である。すなわち主屋が居室棟と台所棟に分かれているのである。
こうした分棟型の民家は、九州の南部以外には愛知県や千葉県の一部にのみ見られるもので、地理的関係から建築様式が海潮の流れに乗って伝播したとの説もある。
発生の起源も定かでなく、気候が温暖な地域は家の中に籠ることもないため、総じて家の規模が小さく、また台風が多いため建物を分散化して風で吹き飛ばされる危険性を回避しようとしたことが、そもそそもの始まりではなかったのかと個人的には考えている。
藩政期においては、大口は薩摩藩領に属し、藩独特の領国支配制度である麓集落が形成されていた。すなわち鹿児島城下で収まりきらない武士階級を領国内の主要な地域に配置し、在地化させることで領国の治安を維持していた制度で、彼ら郷士が集住し形成していた集落が「麓」である。
祁答院家は、その雅な姓からも想像されるとおり郷士階級に属しており、麓集落内にあるとともに分棟型の民家の中でも大型に分類される家である。


 

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