平田家住宅
Hirata



登録有形文化財 (平成29年5月2日登録)
大分県中津市耶馬渓町平田字川原田1062
建築年代/明治初期/大正12年増築)
用途区分/地主・実業家
登録範囲/主屋・新座敷
公開状況/非公開

修験の名峰・英彦山を源とする山国川の中流域、菊池寛の小説で有名な青の洞門の少し南方の平田地区に所在する実業家の邸宅である。周囲は中山間部ながら比較的拓けた田園地帯で、山水画を想起させるような耶馬渓の美しい景色に囲まれた土地柄である。屋敷の近くには耶馬三橋と称される多連石造アーチ橋のうち、大正12年完成で中津市の文化財にも指定される馬渓橋が架かり、地域には自然の美しさだけではなく文化の香りさえも漂っているように思える。さて平田家は城井村で代々大庄屋を務めた家柄で、特に明治、大正、昭和の時代に活躍した吉胤氏は耶馬渓鉄道株式会社の社長を務めるとともに、城井村長、県議会議長、貴族院議員などを歴任、県政財界で大いに活躍したことで知られる。屋敷は三階建に銅板葺の唐破風屋根の玄関を構える主屋を中心に配し、その西側と北側を120mに亘って鉤の手に取り囲むように米蔵や稲屋が建ち、南側には副玄関を介して新座敷が繋がっている。明治初期の百姓一揆後に新築された主屋は、当初は二階建であったものを大正12年に三階部分を増築し望楼座敷としたことが判っており、その趣意は周囲の耶馬渓の景色を眺めるためであったことは容易に窺える。その威容は大分県を代表する近代和風建築として喧伝されるに相応しいものである。

馬渓橋について
 中津市指定文化財  大正12年完成。羅漢寺橋、耶馬渓橋と共に耶馬三橋と称される。
耶馬渓橋
 大分県指定文化財 大正12年3月竣工 唯一の8連石造アーチ橋。 日本百名橋に選定されている。

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