永松家住宅



無指定・公開
長崎県雲仙市国見町神代丙地内
建築年代/1700年前後
用途区分/武家
残存建物/主屋
公開状況/不定期に公開 (雲仙市の公有化建物である)

島原半島の北部、平成17年7月に重伝建地区に選定された国見町神代小路内に所在する旧武家屋敷である。佐賀藩鍋島家の飛び地である神代周辺は、本藩初代の鍋島勝茂の伯父に当たる鍋島信房の所領地として発展した陣屋町で、特に神代小路は上級家臣団の住区として落ち着いた佇まいを今に伝えている。環濠集落となる住区内の南端に位置する当住宅は、主要道路である上小路に面して低く石垣を築き、その上に笹垣を廻らせた優しい印象を醸す上品な屋敷構えで、屋敷への入口には門を立てず笹垣で桝形を築いて玄関を直接望めぬ様にしているが、こうした奥床しさと寄棟造茅葺の曲屋形式を採る主屋の素朴さが相俟って、実に清々しく郷方の武士らしい居住まいの正しさが伝わってくる。昭和49年の民家緊急調査時の記録によれば、神代小路内に式台玄関を有する武家屋敷は古くは4軒のみであったの事であるから、当家は家臣団の中でも有力な地位にあったものと思われる。


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