石井家住宅
Ishii



福岡県指定文化財
福岡県朝倉郡朝倉町大字宮野字湯ノ隈1371
建築年代/江戸時代(寛政12年以前)
用途区分/農家
指定範囲/主屋
公開状況/外観のみ
筑後川に沿って東へと車を走らせること40分。延々と続くかに思われた広大な筑後平野もついに終わりに差し掛かったかと感じられるようになってくる、その辺りが朝倉の町である。筑後川の両脇にようやく山が狭まってくるこの一帯は、よほど果物の栽培に適した気候風土なのであろうか、柿や葡萄、梨などの栽培畑があたり一面に広がっている。なかでも柿については大振りだがしっかりとした味わいのものが採れることで有名である。志波柿と呼ぶらしい。当家が所在する集落一帯もやはり柿畑一色である。何となくな違和感を醸しながら茅葺屋根の主屋が柿林の中にポツンと残されている。果実畑がいつの頃よりこの地域に拡がったかは定かではないが、やはり農家建築は稲穂が揺れる田園の中にあってこそ映えるもののように思われた。当家の造作についてはこの地域に典型的な「くど造り」で、炊き口に該当する凹部が建物の前面にくる「前谷型」と呼ばれるものである。現在は無住で内部も公開されていない。それもそのはずで当家は文化財に指定されているにも関わらず、半壊状態にあるからだ。周囲に支柱を立てなんとか倒壊を免れている様子であるが、内部は荒廃の極みである。建物の規模も決して大きなものではなく、確かにあまり面白味のある建物ではないが、ちょっと酷い。解説板だけが妙に立派なのがかえって泣ける。(2005.5.16記)

 

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