山中家住宅
Yamanaka



 
無指定・公開
山口県萩市浜崎209-1
建築年代/昭和6年(1931)
用途区分/商家(海産物商)
残存建物/主屋・附属屋・土蔵
萩城下の北東に位置する浜崎地区は、日本海に注ぎ込む松本川の河口部に拓かれ、藩の蔵屋敷や船蔵が置かれた長州藩における海の玄関口であった。実際、この地は町奉行管轄の萩城下ではなく、浜崎宰判という浦方を取り締まる役所の管轄であり、藩政初期の頃には浦方の武家地として成立したものの、藩政中後期にはその立地条件から魚問屋など海産物を扱う商人が集住する形に変貌を遂げたようである。当住宅は浜崎地区を縦断する本町筋に東面して建つ近代和風商家で、周囲の町家と比較して二階の建ちの高さは、比較的新しい時代を表すものである。3間程の間口に対して奥行きは20間半程にも及ぶ鰻の寝床状の敷地で、表通りに東面する主屋は下手に中庭まで続く通り土間を設け、土間に接する形で縦に「店の間」、「中の間」、「座敷」の床上部3室を配置する。中庭、附属屋を介して最奥には明和8年(1771)建築の土蔵を配するが、蔵前には作業庭が拡がる。山中家は、海産物商を生業とし、関西方面との取引もあったとのことであるが、当住宅に移り住んだ頃には商売は終えていたようである。たが、昭和初期の建築ながら伝統的な様式の建前で、「下町のお店」という感じが良く伝わる町家建築である。





 

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