有近家住宅
Arichika



国指定重要文化財 (平成24年12月28日指定)
山口県山口市徳地八坂971
建築年代/明治25年
用途区分/酒造業・地主
指定範囲/主屋・米蔵・長屋・漬物小屋・正門・仕込蔵及び留蔵・瓶洗場・土地
公開状況/非公開

中国自動車道の徳地ICから3km程北上した小規模な在郷町に所在する旧酒造屋敷である。国道489号線を津和野方面に向かう途上、道路傍から臨む桁行19間半にも及ぶ土蔵造の酒蔵は、威容を誇るだけでなく黄褐色の荒壁仕上でとても風情が良い。当住宅が所在する八坂集落には、今でも旅館などの町家が僅かながらに建ち並ぶが、当住宅も明治中期の建築当初は街道に面して主屋を構えていたとのこと。大正期に曳家して後退させ、現在に見られるような邸宅型の屋敷構えに改めたらしい。当家の周囲には遮る建物がなく、近代の屋敷景観を臨むのに格好の環境である。


【文化庁報道発表】
有近家住宅は、山口市東部の徳地八坂に所在し、防府から津和野に抜ける街道に面して敷地を構える。江戸時代から酒造業を営むとともに、明治時代には周辺の農地や山林を所有する当地方有数の地主となった。主屋は明治25年に街道に面して建てたものを大正13年に曳屋して現在地に移したと考えられ、曳屋に合わせて玄関や応接室、隠居屋などが増築され、現在の屋敷構えが整えられた。さらに昭和8年には防府の毛利本邸にならったとみられる秀麗なつくりの表座敷が増築された。有近家住宅は、建物の構成や室内の意匠に近代における発展の過程が認められ、当地方における近代の大規模住宅の展開を示すものとして重要である。


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