阿藤伯海旧居
Atou Hakkai



その他の写真

 
無指定・公開
岡山県浅口市鴨方町六条院東2385
建築年代/江戸末期(推定)
用途区分/大地主・漢詩人
残存建物/主屋・長屋門・離れ・隠居屋・土蔵・台所棟・湯屋
公開状況/公開 【阿藤伯海記念公園】

JR鴨方駅の東方1km程の丘陵地にひっそりと隠れるように所在する漢詩人・阿藤伯海の旧邸である。
明治37年に当住宅で生まれた伯海は東京帝国大学を卒業したのち漢詩の世界に傾倒し、第一高等学校で漢文学の教鞭を取ったものの、若くして職を辞し郷里で隠者のように大半を過ごした人物である。これだけの経歴では彼の偉大さは今一つ伝わって来ないに違いないが、当時においては「当代一の漢詩人」と称されたとのこと。凡人には判りづらいが、多分に世捨人的な資質が詩人には必要なのかもしれない。
住宅については、屋敷中央に本瓦葺平屋建の主屋が建ち、これを囲むように表側に長大な長屋門、前庭東側に隠居屋、背後には台所等の建物を配する。江戸末期に建てられたと推測される主屋は、非常に抑制の効いた建物で、地主としての分限を超えぬように努めたような印象である。一方、台所などはどこかの寺院の建物の様に骨太な建築で、通常では雑多に扱われがちな存在であるにも関わらず、当家の場合は実に印象的な建前である。主屋を臥龍洞、離れは虚白室と称しているが、その名は彼の生き様を具現化しているようである。


 

一覧のページに戻る