南丘家住宅
Minaoka



 
紀の川市指定文化財
和歌山県紀の川市粉河3310
建築年代/江戸末期
用途区分/餌差役(藩主鷹狩りの餌調達役)
指定範囲/主屋・離れ・蔵
公開状況/時々に公開
世の中にはいろいろな仕事があるが、江戸の世にあっても同じであった。
紀州藩においては鷹狩りにおける職制として餌差役というものがあり、れっきとした藩士身分であった。仕事内容は主に鷹の餌を調達する役柄であったらしいが、先日、NHKの番組で日本で最後に残る鷹匠(2023年6月30日放送・「鷹を継ぐもの」・山形県庄内地方に済む松原英俊氏の話)の特集が放送されていたが、そこでは鷹の餌として兎や鶏を与えていたが、紀州藩の場合は小鳥だったらしい。すなわち餌差役は小鳥を捕まえる役職なのである。そもそもは鷹狩りそのものが武士のスポーツであったことから想像されるが、武士階級にのみ許された芸事として囲い込むことで格式的な演出が必要だったのであろう。
この役柄は和歌山城下と粉河に置かれたことが判明しており、当住宅は、全国に知られた粉河寺の門前にある。住宅は外観的に町家の形式を取っているため、餌差役などとは全く想像も及ばなかったが、実際は餌差役のみで生活していくことができたのであろうか。住宅の立地から粉河寺の寺侍でも兼務しているのではないかと想像もするが、その辺りについての解説はない。主屋は江戸末期の建物で、離れは明治から大正期の建築。(みなおかけじゅうたく)



 

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